映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』に登場したテクノロジーで実現したものは? 映画の中の2015年と現実の2015年を徹底比較!!
1985年に公開され大ヒットした『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。1989年には続編の「PART2」が公開されました。「PART2」では、主人公マーティたちがタイムマシンで2015年の世界に行きますが、そこには1985年からすると想像もつかないようなテクノロジーが登場します。では、実際に2015年を過ぎた今、作中の2015年に登場したテクノロジーの中で実現しているものはあるのでしょうか?

実現しているテクノロジー
ホバーボード(宙を浮くスケートボード)
ホバーボードはさまざまな企業、また個人団体が開発をしています。ただそのほとんどが実用化に至っておらず、唯一市販されたのが「ARCA Space社」の「ArcaBoard」のみでした。しかも価格は約240万円と高額だったので、子供のおもちゃ用として遊べるようになるには、まだまだ時間がかかりそうですね。
自動靴ひも調整シューズ
映画の中では、自動で靴ひもを調整してくれるナイキ製の靴が登場しましたが、これは2017年に「ナイキ ハイパーアダプト 1.0」という商品で実用化されました! 内蔵されているセンサーによって、シューレースが自動で締まり、シューズが足にフィットします。また、シューズの脇に2つのボタンがあり、紐をきつくしたりゆるくしたり、自分の好みに調整することができるようになっています。市販価格は8万1,000円(税込み) で、カラーはブラック/ブルーラグーン、ブラック/ユニバーシティー レッドの2色展開となっています。
自動乾燥服 (Self Drying Jacket)
服の中に内蔵されているファンで、濡れた服を自動乾燥させる「自動乾燥服」は、アメリカの「FALYON(ファルヨン)社」が開発しています。見た目も映画に登場するものとそっくりで、機能もほぼ同等になっています。ただ、今回はクラウドファンディングの出資者のみの販売で、残念ながら一般販売はされていないようです。今後に期待しましょう!
FALYON(ファルヨン)社 「Self Drying Jacket」
空を飛ぶ車 「Aero Mobil(エアロモービル)」
「空を飛ぶ車」は、実用化に向けて多くの企業が研究を続けていますが、まだ実用化はされていません。例えば「AeroMobile社」の「AeroMobil 4.0」は、2020年に市販される予定で、現在オフィシャルHPでは予約受付を開始しています。また価格は、120万ユーロから150万ユーロ、日本円で約1億4000万円から約1億7500万円の予定になっています。ただ、映画内で活躍する「デロリアン」のような「AeroMobil 5.0」は、いまだ開発中とのことなので、街中で「空を飛ぶ車」を当たり前のように見掛けるのは、まだまだ先になるでしょう。
ジョーズの3Dホログラム
マーティが『ジョーズ PART19』の「3Dホログラム」映像に驚くシーンがありますが、これは実現されています。例えば『初音ミク』のライブでは、まるで本当にステージに立っているかのように見える「3Dホログラム」がすでに行われています。プロジェクション・マッピングと異なり、投影する対象物なしで立体的に映像を再生できる「3Dホログラム」は、各種イベントを中心に今後も利用機会は増えていくと思われます。
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無人カフェ
2018年にネスレが「ネスカフェ 和おもてなし 無人カフェ(ロボットが接客する無人カフェ)」を期間限定でオープンしました。人型ロボット「Pepper」が接客を担当し、隣にあるIoT対応のロボットが、コーヒーとチョコレート菓子を提供するという仕組みです。また世界初となる、ロボットが働くホテルとしてギネス認定された「変なホテル」は、日本国内ですでに8店舗オープン(2018年12月現在)しています。今後は、こうしたロボットが接客する店がどんどん増えるかもしれませんね。
「変なホテル」
生体認証/バイオメトリック(biometric)認証
作品の2015年では、タクシーの支払いやドアの開閉など、さまざまなシーンで生体認証が用いられていました。現在、生体認証はスマートフォンのロック解除などセキュリティー面でも広く用いられています。今後、日常のあらゆることが生体認証で行えるようになるかもしれません。
ロールタイプの薄型テレビ
2015年のマクフライ家のリビングには、ロールスクリーンタイプのテレビがありました。実際にローラブル(巻き取り型)の有機ELディスプレイは実現しており、今後の実用化に向けてさらなる研究が進められています。また、作中では複数のチャンネルを同時に画面に映していましたが、こうしたマルチ・チャンネルでの視聴も実現しています。
スマートグラス(眼鏡型ウェアラブルデバイス)
映画の中で、マーティの娘や息子が、サングラスのような機器を使って映像を見たり、電話を受けたりしていました。こういったスマートグラスは、すでにいくつかの会社によって実用化されています。ただ、これらの商品は、今後開発されるアプリの数や、利便性次第で、どう評価されるのか変わりそうな製品だと言えそうです。
SONY「SmartEyeglass SED-E1」
犬の散歩用ドローン
2015年のヒルデイルでは、空を浮くラジコンのようなデバイスが犬の散歩をしていましたが、ドローンを使って犬を散歩させることは現在でも可能です。実際にイギリスのメーカーが2017年に「Proflight Walkies Dog Dronea(犬の散歩ドローン)」を売り出しましたが、現在では取り扱いをしていません。まだまだ、法的な問題や安全性など、課題は多いようですね。
実現していないテクノロジー
高性能レンジ&フリーズドライ ⇒ 実現していない
10センチほどの小さなピザをレンジで解凍すると、あっという間にLLサイズのピザになる、というシーンがあります。ただ、ピザをあれほどコンパクトにするのは現在の技術でも難しいでしょう。また、数秒で解凍して、加熱する高性能オーブンレンジもまだ登場していません。
他にも、テクノロジー以外ですと、シカゴ・カブスのワールドシリーズ制覇はすでに実現しています。反対に、天気予報を秒単位で正確に伝えることや、裁判の迅速化を目的にした「弁護士制度の廃止」は行われておりません。『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』を見る際には、映画の中の2015年と、現実の2015年を比べながら楽しんでみるのも、おすすめですよ!
(中田ボンベ@dcp)