オバマ大統領の日本訪問、ドイツの報道はどう語った?【学生記者】
こんにちは、早稲田大学3年のHDです。現在留学中で、ドイツのハイデルベルクという街で生活しています。
2016年5月26日・27日に行われた伊勢志摩サミット後のオバマ大統領のスピーチは世界中で注目されましたね。戦後から歴史問題に取り組んでいるドイツからしても、この話題はとても興味深いものでした。今回はそのドイツの報道がオバマ広島訪問についてどのように言及していたかをお伝えします(3月26日Zeit参考)。
1.歴史教育
「唯一の被爆国、日本はこのオバマの広島訪問に深く感動しているようだった。」
「しかしそれはどの程度のものだろうか?昨年の調査によると多くの日本の生徒は原爆が落とされた日を知らないようだ。」
もちろん日本では原発が落とされたこと、その被害の大きさは十分に学ばれています。しかしこのアンケート結果は、ナチス時代の歴史教育を徹底しているドイツにとって衝撃的だったのです。
2.学び合う姿勢
「日本では被害側の歴史が強調され、加害国としての歴史は学ばれないらしい」
さてこれは広く議論されている内容ですね。ドイツは戦後西ドイツアデナウアー首相を発端に周辺国と歴史教育をもとに国際強調に努めてきました。研究が進むにつれ、ドイツ以外の国もユダヤ人強制連行に関与したことが明らかになり、この歴史をヨーロッパ全体のものとして語り継いでいこう、という「歴史のコスモポリタン化」が進みました。
上のZEIT記者の言葉の裏には、国と国、人と人が一緒に学び合い、共に次世代の平和を築いてほしい、歴史問題の解消に努めることが国家の威信に繋がることに気づいてほしい。という、国そして私たち国民への願いが込められているように思います。
3.筆者の視点
このZEIT記事は日本に対して少々厳しめの姿勢で書かれていました。しかしこちらのドイツ人と話をしていると、どうやら「歴史を引き継ぐ」という観点で苦戦しているのはドイツも同じようです。歴史に興味がないから勉強しない、という生徒もやはりいるそうです。この記者の姿勢は、ドイツ国民に向けてのメッセージでもあったのかもしれません。
「国民として覚えていて当然」という意識から「歴史に興味があるかないか」という個人の思考の問題になってしまっている、これが共通の課題ですね。書いていて私もひやりとします。
<大学生のまずこれステップ>
1.歴史教育はなぜ必要なのか、考えてみる
2.いまどのような歴史問題が日本で問題になっているのか、考えてみる。
3.日本の立場が他の国ではどのように捉えられているのか、違いを見てみる。
文・HD