弁護士に聞いた! セクハラの基準や境界線「結婚はまだ?」はアウト? セーフ? 2ページ目
■ひどいセクハラの場合は「強制わいせつ罪」「強姦罪」になる!
――法的にはどういう扱いなのでしょうか?
篠田弁護士 法的な扱いとしては、
●セクハラ行為は「不法行為(民法709条)」に該当し、
これによって被った精神的損害の賠償を慰謝料として請求することができます。会社がセクハラ防止に努めなかった等の事情がある場合には、会社に対して「職場環境配慮義務違反」(また「職場環境保持義務」)として損害賠償請求をすることも視野に入ります。
――会社に責任があるとされることもあるのですね。
篠田弁護士 また、度を過ぎたセクハラ行為は犯罪になる可能性もあります。
例えば、暴行や脅迫を用いて下着の中に無理やり手を入れる行為などは「強制わいせつ罪」に該当し、「6カ月以上10年以下の懲役」に処せられます。
また、無理やり性的関係を持ったということになれば「強姦罪」に該当し、「3年以上の懲役」に処せられることとなります。
■セクハラの裁判例では悪質なケースが多い! 羽交い締めにしてカニ挟み!?
――実際にセクハラと認定された事例にはどのようなものがありますか? どのような事例がセクハラになるのでしょうか?
篠田弁護士 実際に「セクハラ」と認定され、慰謝料請求を認めた裁判例となると、裁判を起こすくらいですから、やはり相当悪質なケースが多いです。具体的には「胸やお尻を触ったり」「ホテルでの一泊を強要したり」といったケースです。
飲み会での行き過ぎた行為がセクハラと認定されるケースもあります。
広島で起きた事件ですが、
「会社の忘年会で上司らが、女性社員数名に対し、背後から羽交い締めしてカニ挟みをしたり、逃げようとするその足首をつかんで引き寄せカニ挟みをしたり、脇の下から両手を回して抱きつくなどの行為を行った」
という事案があります。このケースの慰謝料は、
・80万円が4名
・150万円が1名
・250万円が2名
でしたが、被害者側も一緒に盛り上がっていたことを理由に2割を「過失相殺」として減額されています。
いずれにせよ、職場そのものでなくとも、業務と関連のある場所で行われるセクハラは、一般に職場におけるセクハラとして慰謝料請求の対象となります。