弁護士に聞いた! セクハラの基準や境界線「結婚はまだ?」はアウト? セーフ?
厚生労働省は、会社での「セクハラ」についての防止策を講じるよう事業主への周知を行っています。しかし、セクハラ事案はなかなか減らないようです。今回は、セクハラの基準、また法的にどのような事案になるのかといったことをアディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士に聞いてみました。
■「労働者の意に反する性的な言動」は会社における「セクハラ」!
――セクハラについて、法律上はどのような規定になっていますか?
篠田弁護士 「セクハラ」は「セクシュアルハラスメント」の略で、直訳すると「性的嫌がらせ」となります。広い意味では、社会全般において「性的な嫌がらせ」に該当する行為はセクハラとなります。ただ、一般には、会社などの「職場におけるセクハラ」が取り上げられることが多いので、これを中心にお話ししましょう。
――厚生労働省がいろんな資料を出して、事業主へ周知を行ってますね。
篠田弁護士 職場におけるセクハラは、厚生労働省の説明によれば、「職場において行われる労働者の意に反する性的な言動」となります。
「セクハラ行為を労働者が拒否したら降格処分にする」などの労働条件上の不利益を受けたり、「性的な言動により就業環境が害される」ことをもってセクハラと判断されることになります。
――厚生労働省の定義によると「意に反して……」という点が重要なようですね。
篠田弁護士 「意に反する」か否かは人それぞれですから、「本人が嫌がっているか」のほか、「平均的な労働者の感覚」も基準に考えるべきとされます。
「性的ニュアンスを有するかどうか」も、いわばケースバイケースとなるため、客観的な言動自体のほかその他周辺事情を総合的に考慮して判断せざるを得ません。
――判断が難しそうですね。
篠田弁護士 一発アウトと考えられるのは、嫌がっているのに無理やり「胸を触る」とか、「キスをする」といった行為ですね。これは明らかに「セクハラ」でしょう。
そこまでには至らない「食事に誘う」行為や、「今日の服似合っているね」といった発言となってくると、グレーゾーンといえそうです。ただ、「本人がやめてください」と明確に抗議した行為については、その行為を継続するとセクハラになるといわれています。
――なるほど。
篠田弁護士 グレーゾーンの行為も、本人が嫌がっているにもかかわらず繰り返され、これにより精神的苦痛を感じているのであればセクハラに該当するといえるでしょう。