自己分析は「今の自分を語る」ことであると、書いてきました。
では なぜ「今の自分を語る」ことが必要か?というと、それは「自分の持つ可能性やポテンシャルが、いかに企業にとって有益か?を、面接官に教えるため」です。
だから、「過去から現在、そして未来」へ、線でつないでいく必要があります。
企業には、人事評価という制度があり、上司との評価面接が行われます。
その際に、与えられた期間中、実際にどんなことを行って、どんな成果をあげたのか? という論点で、自分を説明しなくてはなりません。ビジネスにおいても自己分析は存在します。
また「仕事を辞めて、結婚して専業主婦になったらどうか?」こういったタイミングでも、主婦という視点で、家庭のことを考え、自分の将来を考えるはずです。
ところが、学生や若者は、今まで日々知らなかった世界に触れ、刺激を受け、成長している過程にいるために、意地悪な言い方をすると「今」しか見えていません。
先のことが見えているとするならば、それは例えば、「来月の試験のために、今から準備しよう」とか、「来週好きな人とデートだから、美容院に行ったり、どこに行こうか考えよう」といったことがほとんどではないでしょうか?
(それも大事なことですが……。)
学生生活までは、小中、特に高校と大学では、やるべきことがカリキュラムとして学校サイドから提供されます。
学校サイドから見て、学生は「お客様」。「お客様」からは、授業料という名目で、お金をもらっています。
でも、 社会人は違います。どうやって成果をあげるかということを、自分で考えなくてはなりません。
企業に入った時点で「お客様」ではなくなります。「お客様」は自分以外の人です。 だから今度は、学生時代に学校から受けたサービス提供と同じように、「自分がお客様に対してどうするか?」を、常に考えていかなくてはなりません。
それには、企業の商品や、市場でのアドバンテージをしっかり理解すると同時に、自分自身をしっかりと分析・理解できないと、「お客様」に真の満足は与えられないのです。
「お客様」という称号が、自分にあるのか否か? という点は、学生と社会人の大きな違いで、就活における学生と企業の温度差にもつながります。
面接では、それを埋めるように尽力していく必要があるんです。だから 自己分析は、企業サイドのゴールを意識すべきだ、というのが私の見解です。
「御社の社風に共感して……」
「御社の社会貢献の姿勢に興味を持ち……」
という志望動機は、 企業サイドから見ると「お客様」の視点なんですね。面接にトライしている時点で、学生はすでに「お客様」ではありません。
「お客様」を満足させてための売りとして、自分にはどんなものがあるのか? というアピールを考える必要があります。
自己分析は決して難しくない。難しく感じるのは、企業サイドのゴールを見据えてないからです。
この意識だけで、自己分析は結構楽しくなると思います。多くの学生は、自分なりの方法で自己分析をやっていると思いますが、安易にキーワードを出さずに、ダラダラと結論を引き延ばしてみてください。きっと新たな一面が浮かんでくるはずです。
文・コンテンツ提供●安藤恒久
【プロフィール】
東京農工大学農学部卒。その後福山大学大学院工学研究科修士課程修了。1996年、大手飲料食品メーカーに入社。主に経営部門で会社組織運営に携わる。その後は、ブライダル業界に転身。管理部門の責任者として株式公開業務担当。以降、雑貨商社、IT、教育など多様な業界で事業構築を行う。2005年6月から始めた、「会社側の本音」と「就活生の自信構築」をコンセプトに書き連ねたブログ『会社サイドの就活日記 ~面接は怖くない!企業と面接官の本音を知ってください!~』は毎年 数多くの就活生や新社会人のバイブルとして支持されている。
『会社サイドの就活日記 ~面接は怖くない!企業と面接官の本音を知ってください!~』
http://ameblo.jp/yansono/