また、大手企業中心に8月から一斉に選考を開始すると、特定の学生に内々定が集中してしまい、辞退率の読みが困難になります。そして、大企業の就職活動が一段落した後に採用を行う中小企業は、活動期間が短くなるために必要な人材が確保できない可能性も。さらには、選考開始から内定式まで2カ月しかないため、追加募集が間に合わなくなる可能性もあります。
しかしそもそもこのルールの目的は、学生が3年生まで勉強に専念できる環境を整えること。3月解禁なら、留学した学生も大きく不利になることはありません。また、短期決戦になれば学生が応募先をもっと真剣に絞り込み、堅実に活動することが考えられます。これは企業と学生の双方にメリットとなります。
企業から大学に対しては、学生が無理なく就職準備ができるよう、キャリア教育やインターンシップの充実を求める声が上がっています。今後は学生自身が学業と平行して、企業を選ぶ力をつけていくことが必要になるでしょう。(了)
文・鈴木恵美子