「誰かに助けを求めること」も⽴派な冒険の⼀歩!『明けの空のカフカ』作者が語る、「外の世界」へ踏み出す勇気

ガクラボ所属の大学生ライター伊藤さくら(大学2年生)です。2025年7⽉17⽇に発売された、第31回電撃⼩説⼤賞《電撃の新⽂芸賞》受賞作である『明けの空のカフカ』(/KADOKAWA刊)著者の⽔品知弦さんにインタビューしました。
現実世界では想像ができない、⼈間がマイノリティな世界を⽣きる少⼥の冒険記。これだけでわくわくしませんか?今回はそんな物語の作者、⽔品知弦さんに、作品に込めた想いや制作秘話をインタビュー!読書好きな⽅も、本には少し苦⼿意識があるけどファンタジーは好き!という⽅もぜひ読んでいただきたいです!
『明けの空のカフカ』
カフカは空が見えない浮遊洞窟内にある老人ばかりの村で暮らす唯一の子ども。外の世界に憧れを抱きながらも、村に縛られる日々を過ごしていた。 ある日、地上からの来訪者・ハヤテが現れる。なんと彼は、ヒトとは違う犬の特徴を持つ獣人だったのだ。ハヤテの語る刺激的な地上の話に感化されたカフカは、ついに村人たちの反対を振り切り——亡き祖父が遺した飛行機〈コチ三〇六〉を駆り夜明けの空へと飛び出していく! 温かく見守ってくれる大人たちや同世代の友達と出会い成長するカフカは、やがてこの世界のヒトたちの間に起こった悲しい過去を知ることになる。だけどカフカは飛ぶことをやめない、知ることを諦めたりしない。だって——私たちの人生の全てが冒険なのだから! 国内最大規模の公募型小説賞「電撃小説大賞」が贈る、全ての世代に伝えたい感動のジュブナイルアドベンチャー!
著者:水品知弦 イラスト:森沢晴行 発売:2025年7月17日 定価:1,485円 (税込み)
発行:電撃の新文芸/KADOKAWA
詳細ページ:https://dengekibunko.jp/special/kafkasjourney/
⼼が動く瞬間の連想ゲームから⽣まれた物語
本作のユニークな世界観、特に洞窟村と外の世界、動物と⼈間の対⽴という設定はどのように⽣まれたのでしょうか?
この物語の始まりは、実は『スカイガンナー』というゲームのオープニング映像にインスパイアされたんです。特に、ピストル型のエンジンキーが出てくるシーンが、もうドキドキしちゃって!そこから「空っていいなぁ」って思って、連鎖的にカフカの世界観ができていった感じです。
物語の中での「動物と⼈間の対⽴」っていうのは、ちょっと深い話になってしまいますが、弱い⽴場に置かれた⼈たちの暗喩みたいな意味合いがあります。単純に私が動物好きということも⼤きいのですが!

「既存の価値観への疑問」や「⾃分の⽬で⾒て判断することの重要性」が 強く描かれていると感じました。これらのテーマは、読者に最も伝えたいことだったのでしょうか?
はい、その通りです!⼀番伝えたかったのは「価値観が変わることや違いがあることは、全然怖くないんだよ!」ということですね。
主⼈公カフカの成⻑が物語の⼤きな軸となっていますが、彼⼥が⾃分の信念を貫き、困難に⽴ち向かう姿勢を描く上で、特に意識されたことはありますか?
カフカだけではなく、登場するキャラクターみんなに対して、それぞれの個性を著者である私が「否定しないようにしよう」ということを特に意識しました。みんなそれぞれの考えがあるということを、尊重したかったためです。

カフカを外の世界へと誘う少年(ハヤテ)や、カフカを⼼配する村の⽼⼈たちなど、それぞれのキャラクターにどのような役割を与え、彼らを通して何を表現しようとされたのでしょうか?
まずハヤテは、物語の案内役として動いてもらいました。彼は、私の思い通りに動いてくれて、すごく助かりました(笑)。
村のおじいちゃんおばあちゃんたちは、変化を拒む『壁』みたいな役割ですね。
主⼈公のカフカは、⾃分の価値観とか、実際に⾒たものを信じて前に進んでいくという役⽬を託しました。
執筆中に最も印象に残っていることや、苦労された点はどんなことでしたか?アイデアが煮詰まったときにやっていたことや、エピソードがあれば教えてください。
⼀番印象に残っているのは、レースシーンを書き始めた時ですかね。普段は家で書くのですが、その時は早朝にファミレスに⾏ってみたんです。そうしたら、とっても驚くほどスラスラ書けて…!やはり、“煮詰まったとき”は外に出てみたり、何かしら環境を変えることが大切なんだなって思いました。
レースシーンは、YouTubeでエアレースの動画を⾒ながら、イメージを膨らませて書いていましたね。執筆中に煮詰まってしまうことはあるのですが、そんな時でもとにかく“書くこと”をやめませんでした。
不思議なもので、スラスラ書けた時の文章よりも、煮詰まって⼀⽣懸命考えて書いた⽂章の⽅が、後から⾒ると「あ、こっちの⽅が良いな」と思えることが多々ありましたね。

電撃小説⼤賞に⾃⾝の作品を出してみようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
⼩学⽣の時から、本を読むのもストーリーを考えるのも好きでした。中学⽣のときに初めて⾃分で⼩説を書いてみたりもしていました。
ただ、⼤⼈になってからは文章を書くどころか本を読む時間もなくて、読書からも離れてしまっていました。久しぶりに本を読んでみようとしたら、⽬が滑る(文章を目で追っても頭に入ってこない状態)になってしまっていました…(苦笑)。
⼩説は、少し長くて難しく感じるものもありますが「これは⾯⽩い!」と読み始めたらハマることもあると思います。私の作品が、初めて小説を読む方や、久しぶりに⼩説を読んでみようと思う方のきっかけになれば嬉しいです。
あと、実はカフカというキャラクター⾃体は、私が⾼校⽣くらいの頃にはすでに出来上がっていたんですよ。私の中ではずっと“⾃由の象徴”みたいな存在で、「いつかこの⼦を外の世界に出してあげたいな」とずっと思っていたので、作品を出してみることにしたんです。
外の世界に憧れを抱きながらも、何かに縛られてモヤモヤした⽇々を送っている方も多いと思います。⽔品さん自身にも同じようなエピソードがあった のでしょうか?
私は⽥舎で育ちで、“ちゃんとした(?)”⼤⼈や、自分のお⼿本にしたいと思う⼈が周りにいなかったのですが…、本を読むことで、さまざまな世界や価値観を知ることができたんです。
今の学⽣さんたちは、勉強やそれ以外のことでもすごく忙しくしている方も多くて、立ち止まったり抜け出す時間もないかもしれませんが、私の作品をちょっとした『現実逃避』のツールとして読んでもらえたら、すごく嬉しいです。
助けを求めることも⽴派な冒険の⼀歩。⽔品さんからのメッセージ
⾃分⼀⼈で悩みを抱え込んで、解決しようとすると、本当に⾏き詰まってしまうことがたくさんあると思います。そんな時こそ、⾃分の中に閉じこもらないで、思い切って周りの⼈や“外の世界”に助けを求めてみてほしいと思います。
そうすれば、きっと誰かしら、みなさんのその声を聞いてくれる人がいますから!「誰かに助けを求めること」も⽴派な冒険の⼀歩です。応援しています!
取材を終えて…
今回、『明けの空のカフカ』の著者である⽔品知弦さんにインタビューさせていただき、作品の裏話や、温かいお⼈柄に触れることができました。インタビューを通して、水品さんの学⽣時代からの読書への情熱、そしてキャラクターたちへの深い愛情、さらには読者へのメッセージに込められた「外の世界に踏み出す勇気」というテーマに強く共感しました。
特にカフカが⾃分の価値観を信じて進む姿や、ご⾃⾝の経験から語られた「本が教えてくれた世界」の話は、まさに今、多くの学⽣が抱えるであろう「モヤモヤ」への⼤きなヒントになるのではないでしょうか。ぜひ皆さんも『明けの空のカフカ』を⼿に取って、新しい世界への⼀歩を踏み出すきっかけにしてみてください!
『明けの空のカフカ』を3名様にプレゼント!詳しくはこちら取材・文/伊藤さくらさん(ガクラボ所属)
編集/学生の窓口編集部
























