イスラム教のイメージが変わる！？魅惑の礼拝堂（モスク）『東京ジャーミイ』に大学生ライターが行ってみた！

2024/12/19

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こんにちは！ガクラボの瀧田風歌です。「イスラム教」と聞いたとき、あなたは何を思い浮かべますか？スカーフを巻いた女性、豚肉を食べてはいけない、厳しそう、などそれぞれイメージを持っていると思います。

日本で生活していると触れる機会がほとんどないイスラム教ですが、イスラム教徒の数は現在約20億人で、キリスト教の約24億人に次いで世界で2番目に信者が多い宗教です。2100年までにはイスラム教徒の数がキリスト教徒を抜いて世界1位になるという予想もあります。

今回は、影響力が今後ますます増えていくであろうイスラム教について自分の目で見て学べる場所『東京ジャーミイ』へ行ってきました！

目次
・『東京ジャーミイ』とは？
・いざ、『東京ジャーミイ』の中へ！
・実はあなたの身近にも！イスラム世界発祥のあれこれ
・宗教とは…？イスラム教とは…？
・取材を終えて…
・帰りはハラールマーケットでお買い物も！

『東京ジャーミイ』とは？

東京ジャーミイは、東京都渋谷区の代々木上原駅から徒歩5分のところにある、日本最大のモスク（イスラム教の礼拝堂）です。「東アジアで最も美しいモスク」と言われています。

その歴史は、ロシア革命を逃れて日本へ避難してきたトルコ人の要望でつくられたのが始まりなのだそう。有名なプロボクサー、モハメド・アリも訪れています！

いざ、『東京ジャーミイ』の中へ！

東京ジャーミイ・トルコ文化センターの広報を担当する下山茂さんガイドのもと、東京ジャーミイの中を案内していただきました。

現在の建物は2代目で、トルコから職人と材料を集めて造られています。外観だけでもうっとりしますよね。

履物を脱いで、いよいよモスク内へ！

入った瞬間に息を呑む美しさです。真っ白な壁に青い装飾がよく映えています。

イスラム教では偶像崇拝が禁じられているため、アラベスク（植物文様）やカリグラフィ（文字模様）で美しく装飾されています。

女性は、モスク内でヒジャブ（髪や肌を隠すための布）を巻く必要があります。スカーフや帽子があれば持参してOK！持っていなくても現地で無料で借りることができます。

実際にヒジャブの巻き方を教えていただきました！

最後は後ろで結んで、完成！どうですか！？

取材に同行してくれた学生さんは黒いスカーフを持ってきていたので、お借りした黒いアバヤ（丈の長い上着）と合ってとても素敵ですよね。

モスクでは男性と女性に分かれて礼拝しますが、その理由は、礼拝に集中するためだそう。男性は1階で、女性は2階です。2階からの眺めもとてもきれい！人気のフォトスポットになっています。

礼拝が始まるとのことで、後ろで見学させていただきました。礼拝の時間を告げる呼びかけの声（アザーン）が歌のようでとても美しく、印象に残っています。義務の礼拝が始まるまでは、自由な時間。礼拝をする人もいれば、本を読んでいる人もいました。

（礼拝中の画像）義務の礼拝では、横一列に並びます。これは、人間は神の前では平等であることを示しています。国も民族も年齢も職業も違う人が、兄弟のようになる時間です。礼拝後に、握手を交わしたり抱き合ったりすることもあるそう！

実はあなたの身近にも！イスラム世界発祥のあれこれ

下山さんに伺った、イスラム世界発祥のものをご紹介します。

（1）算用数字（アラビア数字）

みなさん馴染みのある数字。この形、どうやって作られたか知っていますか？実は、算用数字は「アラビア数字」で、イスラム世界で生み出されたもの。なんと数字を書いたときにできる“角”の数が数字に対応しています。実際に“角”を数えてみてください。ゼロは“角”がないですよね！

（2）チューリップの発祥はオランダではない！

チューリップと聞いて国を思い浮かべるとしたら、オランダが思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。しかし、チューリップはトルコ発祥！オランダに持ち込まれてから、約2000回も品種改良を重ねて今の形になったそうです。トルコ発祥の原種のチューリップはトルコの様々な装飾に見ることができます。

みなさんがイメージするチューリップとは少し違うのではないでしょうか。人間の手が加えられていないため、原種のチューリップは神が創り出した象徴的存在になっているそうです。モスクの中にもたくさん描かれているので、ぜひ探してみてくださいね。

（3）みんな知ってる「あれ」も「これ」も実はイスラム世界が発祥！

イスラム世界発祥のもの、まだまだあります。下の図はイスラム世界で生まれたものを地図に並べたものです。

カメラ、コーヒー、万年筆…え、これもそうなの！？と思うようなものがたくさんあってびっくり！こんなに多くの身近なものがイスラム世界で生まれていたとは、びっくり。私たちの生活の中に潜むイスラム文化を、もっと探してみたくなりました！

宗教とは…？イスラム教とは…？

次に下山さんに伺った、宗教やイスラム教についての興味深いお話をご紹介します。

（1）宗教とは…「人間とは何か」を考えること？

みなさんは宗教とは何か、考えたことはありますか？私はほとんど考えたことがなかったので、問われた際、戸惑ってしまいましたが、最近では高校でも探究活動を行う学校が増え、「宗教とは何か」をテーマに課題を出す学校もあるそうです。

答えは人それぞれですが、下山さんは「宗教とは何か」を考えることは「人間とは何か」を考えることだとおっしゃっていました。

「理性と科学だけで人間は理解できません。人間はそれだけで割り切れない、もっと不可解な生物です。人間と同様に不完全で弱い宗教は、何千年も前から人間に寄り添ってきました。宗教は、弱い人間を支えるためにあります。」という下山さんのこの言葉を聞いて、宗教とは何か、少しイメージがつかめたような気がします。これからも自分なりに考えていきたいテーマです。

（2）食事は身体の栄養、礼拝は心の栄養

1日に5回あるイスラム教の礼拝の時間は、食事の時間帯と同じ。人間は身体と心でできているので、“食事で身体の栄養を摂取する”のと同じように、“礼拝によって心にも栄養”を取り入れる、そんな意味があるそうです。身体だけでなく、心もしっかりケアをする。確かに、健やかに生きていくために必要なことだと思いました。

（3）日本でのイスラム教に対する偏った捉えられ方

日本のみなさんは、イスラム教に対してどんなイメージがあるでしょうか？「野蛮で未開な宗教」「テロリスト」「慣習が厳しい」…などのイメージがある人も多いかもしれませんが、実はどれもメディアの報道による偏ったイメージです。その偏ったイメージが植え付けられ、放置されてしまっていることを下山さんは危惧されていました。

お話を伺って、私は日本で暮らすイスラム教徒の方々が宗教を理由に嫌な思いをすることなく安心して過ごせるよう、メディアや教育現場でネガティブなイメージを作らない努力が必要だと思いました。

また、日本では宗教に関する話題が敬遠される風潮があると感じています。知ろうとしないために誤ったイメージが増殖してしまうので、もっとオープンに宗教について話し、みんなで考えてみても良いのではないか、と思いました。