「身に覚えのない責任でも、自分ごととして捉えて消化していくのが大人かなと思う」Novel Core 連載 vol.5

「世の中に存在している音楽はできる限り聴きたい」Novel Core連載vol.3
新世代のラッパー、シンガーソングライターとして多彩な活動を続けるNovel Coreさんのキャリアや表現者としてのこだわりに迫る連載企画。第5回、6回は特別編として、学生のみなさんから寄せられたお悩みに、自身の経験を交えながら答えていただきました。
ーー“大人”とはどんな存在?
「身に覚えのない責任でも、自分ごととして捉えて消化していくのが大人かなと思う」
――今回は事前にNovel Coreさんに相談したいお悩みを学生のみなさんから募集したので、届いたお悩みに答えていただきたいと思います。最初のお悩み相談です。
僕の頃は20歳で成人だったのですが、20歳になったタイミングが、ちょうどメジャーデビュー直後でした。大人と言われる年齢でメジャーデビューして、自分の制作に関わる人たちの数が明確に増えて。いろいろな人の力を借りてやっているんだということが可視化されたので、「大人になったんだ」と自分に言い聞かせたところがあります。
――自覚せざるを得なかったと。
そうですね。「俺、大人になったっぽい」みたいな(笑)。ただ20歳って、大学に通っていたり、就職している人もいたり、中にはバイトをしながら夢を追いかけている人もいて。なかなか自分が子どもから大人になったと認識するタイミングって難しいのかなとも思います。
――十代のときに、早く大人になりたい気持ちはありましたか?
どちらかと言うとなりたくなかった側かもしれないです。できる限り今のままでいたい気持ちが強かったです。自分の身に降りかかってくるいろんな責任だったり、自分自身の気持ちとは裏腹に何かしなきゃいけないことだったり、そういうものに対する拒絶感があって。特に学生時代はそれが強かったですが、20歳になったぐらいで子どものまんまじゃいられないみたいな気持ちが強くなりました。
――コアさんは早くから世に出ていたので、十代の頃から大人に見られることが多かったのではないでしょうか。
よく「ませてる」とは言われていました(笑)。Zeebraさん主宰の「GRAND MASTER」にいた17歳ぐらいのときに、印象に残っている言葉があって。「コアは良くも悪くも先のことを考え過ぎて、達観し過ぎている。だから良い意味で馬鹿になって、もう少し甘えを覚えたほうがいいよ。甘えられる人って可愛げがあるし、生きていきやすくなると思うよ」みたいなことをZeebraさんに言われて。その当時は何を言われているのか全然分からなくて、「どうしよう……」って感じだったんです。
――誰かに甘えることに抵抗があったということですか?
自分的には甘えているつもりだったんです。むしろ甘え過ぎているんじゃないかと。もっと自分でやらなきゃ、もっと自分で考えなきゃみたいな意識が働いていました。振り返ってみると、確かに当時は甘えるのが下手だったのかもしれません。今は甘えまくっていますけどね(笑)。
――周りに気を遣っていたということでしょうか。
そうだったと思います。お仕事で関わるのは30・40代の方ばかりで、同年代と関わる機会がなかったんです。Zeebraさんとお仕事に行かせてもらったときも、現地で紹介していただく方々は、みんな年上。そこに混ざってアーティストとしてやっていく以上、「自分、まだ若いんで!」みたいなテンションではやれないなという思いがあって、頑張っていた感はありました。
――大人とばかり接していると、同世代に対する違和感みたいなものもあったのではないでしょうか。
ギャップを感じることが多かったです。同世代の子たちと自分では、目指しているものに対する意欲の強さに差を感じる瞬間があって、思ったよりもみんな焦っていなくて。自分だけがめちゃくちゃ焦っていて、「ヤバい……明日にはこれを叶えてなきゃ!1年後にはこうなってなきゃ!」みたいなことを思いながら生きていたので、ふとしたときに「俺って生き急いでいるのかな」と思うこともありました。
――甘えられるようになったことで、焦燥感はなくなりましたか?
今でも人から見たら、生き急いでいるように見える瞬間や浮き足立って見える瞬間があるかもしれません。ただ、どうして僕がそんなに焦っているのか、どうして毎日必死こいて頑張ろうとしているのかを理解しようとしてくれるスタッフさんたちとOUTER(※ファンの呼称)がたくさんいるので、「理解してもらえない」という孤独感はなくなりました。
――ゆてぃーさんの質問にあった、コアさんにとって“大人”とはどんな存在でしょうか。
年齢を重ねるごとに、自分の身に降りかかってくる責任の数は増えていきます。「これって俺のこと?」みたいな身に覚えのない責任もありますが、そこで「俺には関係ないし」って思わず、自分ごととして捉えて消化していくのが大人なのかなって思います。ただ無理に大人になろうと意識する必要はないですし、僕自身も「マジで子どもだな」って思うときも多いです。
――どんなときに子どもだなって思うんですか。
一般社会だと「それって基本的になしじゃない?」みたいなことでも、「やってみたいっすね」というテンションで押し切ってしまう。良くも悪くもわがままを通すことが多々ありますし、もっと大人な対応もできたのかなと思いつつ、それが自分のスタイルだとも思うし。周りに迷惑かけちゃっているかもとか、僕の判断でスタッフさんたちがあたふたすることもありますが、先のことを想像しながら決断できているだけでも、昔と比べたら大人になったのかなと思います。
――環境にも人にも恵まれているのに、病んでしまう自分が嫌い
「環境と人に恵まれていても不安やストレスを感じるのは普通のことだから自分を責め過ぎないで」
――次のお悩み相談です。
僕も最近になって自分をコントロールできるようになってきました。メジャーデビュー直後は、めちゃくちゃ不安定でしたし、メジャーデビューして半年も経たないうちにお休みをいただいたこともありました。そのときは気持ちが追いつかなかったのですが、人に頼れただけでも安定しているほうだったのかもしれません。学生時代はもっと不安定で、家族に迷惑をかけた時期もありました。思春期って、自分がこうしたいと思っていても、それに抗ってしまう気持ちや感情もあって、心と人格が剥離してしまう時期なので、あまり自分のせいにしないであげてほしいです。誰もが通る道だし、しょうがないことですから。時間が経つにつれて、少しずつコントロールできるようになっていくものなのかなって思います。
――お休みの期間はどのように過ごしていたんですか。
音楽や制作から距離を置いて、バスケをしたり、映画を観に行ったり、音楽以外で好きなことに時間を使おうと思ってお休みをいただきました。でも休んで3日ぐらいで、結局ブースに向かって何かしら音楽を作り始めていて(笑)。その期間に音楽が天職なんだと再確認できたので、すごく充実した時間でした。
――不安定な状態に陥ったときに、誰かに相談しましたか。
そのときはギリギリまで言えませんでした。言えない環境だった訳じゃなくて、むしろ言いやすい環境でしたが、勝手に気を遣ってしまって。メジャーデビューした直後だし、オーディション番組『THE FIRST』が始まるタイミングで、BMSGとしても「ここから!」というタイミングで、自分だけ止まるのってヤバくないか……という気持ちでした。でもレコーディング前日に感情を言語化できなくて、一文字も歌詞が書けない状態で朝を迎えてしまって。さすがに、これはまずいと。ここで無理してレコーディングに行ったら、何かが壊れてしまう気がして。LINEで日高(光啓)さんに連絡させてもらって、状況を説明したら、「心配しなくて大丈夫だよ。温泉でも行く?」みたいな連絡をくださって、お休みをいただくことになりました。
――家族にも迷惑をかけたというお話がありましたが、当時はどんな心情だったんですか。
自分が自分じゃないみたいな感覚で、何に対して怒っているのか、何に対してイライラしているのか分からない。とにかく家にいたくないという拒絶反応が出てしまって、毎晩のように暴れて、お母さんや姉と喧嘩してという感じでした。
――家族以外に対しても、拒絶反応はあったんですか?
外では平常心を保って、家に帰ってきてから爆発するみたいな感じでした。そんな僕に家族も正面から向き合ってくれたので、すごく救われましたし、気がついたら治っていました。
――今は家族以外にも本音を言えるようになったんですね。
そうですね。何か違和感を抱いたら、人に伝えられるようになりました。少なくとも一番近しい距離にいるスタッフさんたちには、仕事のことに限らず、日常生活の不安やストレスなども伝えるようにしています。だから今は自分の中だけで、とどめている違和感はほぼありません。
――十代の頃は自分のもやもやを言語化するのは難しいですよね。
学生時代って、言語化できない無数の感情と向き合い続ける時期が絶対にあります。それってしょうがないことだし、周りの人たちも理解してくれるはずです。ちゃんまゆさんのように、環境と人に恵まれていても、不安やストレスを感じるのは普通なこと。たとえば生まれつき裕福な家庭に育った子が、貧乏な家庭に育った子よりも悩みがないかというと、そんなことは絶対にない。誰もが不安やストレスを抱えるからこそ、自分を責め過ぎないでもらいたいです。
――負の感情をどうやったら消化できる?
「瞑想をしながら自分自身が何に対して不安を抱いているのか、普段の自分とは違う視点から考えてみて」
――今回の最後のお悩み相談です。
――ちゃんまゆさんのお悩み相談に近いですが、感情をコントロールするヒントを教えていただけますか。
感情のコントロールが一番難しいですよね。僕もみんなはどうやってコントロールしているのか気になります。ガス抜きになる楽しいことを見つけたり、ルーティン化するものを作って整えたり。あとは意識を変えて、周りの人たちも自分と同じだと仮定して生きていくことで救われていくパターンもあります。僕の場合は後者ですけど、感情のコントロールに関しては人それぞれですよね。
――コアさんも負の感情が蓄積することはあるんですか。
今はないですけど、十代のときは悲しさや悔しさ、怒りの感情が蓄積することはありました。具体的な解消法を挙げるとするなら、感情のコントロールには瞑想がいいと思います。日高さんが、めちゃくちゃ瞑想をする人で。先ほどお話したメジャーデビュー直後の休んだときも瞑想を勧められました。今でもアルバムとか、大きめの作品を制作するときは情緒不安定になります。それは自分でも分かっているので、そういう時期は、必ず寝る前に瞑想すると決めています。
――具体的に瞑想の方法を教えていただけますか。
自分自身が何に悩んでいるのか、何に対して不安を抱いているのかなど、普段の自分とは違う視点から、俯瞰で見て考えることを瞑想では大事にしています。そうするだけで、「どうしてか分からないけど、めっちゃムカムカする」みたいな理由がない怒りは消えます。負の感情を自分の中で噛み砕いていく時間を作っています。瞑想をする際にオススメなのが「Meditopia」というアプリです。僕も日高さんに教えてもらったんですが、ヒーリングミュージックが流れる中、「呼吸に集中してください」みたいな音声ガイドもあって、すごく集中がしやすいです。瞑想していると、自分は今ここにいて、東京都があって、日本があって、宇宙があってという感じで視点がどんどん広くなって、いかに自分が小さなところに躓いているのか明確になるので、ぜひ試してほしいです。
PROFILE
Novel Core
東京都出身、22歳。ラッパー、シンガーソングライター。
SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル "BMSG" に第一弾アーティストとして所属。メジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』とメジャー2ndアルバム『No Pressure』が2作連続、各チャートで日本1位を獲得。Zeppを中心とした大型のライブハウスを周遊する全国ツアーや、豊洲PITでの単独公演を全公演即ソールドアウトで成功させ、来年1月には日本武道館での単独公演が決定。
その存在感を確かなものにする一方で、FERRAGAMOやETROなど、トップメゾンのモデルに起用されるなど、ファッション業界からも注目を集める新世代アーティスト。
公式サイト:https://novelcore.jp/
Twitter:@iamnovelcore
Instagram:@iamnovelcore
TikTok:@iamnovelcore
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/novelcore
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取材・文/猪口貴裕
撮影/武田敏将