「世の中に存在している音楽はできる限り聴きたい」Novel Core連載vol.3

猪口貴裕

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「自分に素直に生きたほうが絶対に健康的だなと思った」Novel Core連載vol.2

新世代のラッパー、シンガーソングライターとして多彩な活動を続けるNovel Coreさんのキャリアや表現者としてのこだわりに迫る連載企画。第3回目は、学生時代に愛聴していたロックや、ロックから受けた影響、ヤングブラッドとの交流など、ロックをテーマにお話を伺いました。

ボン・ジョヴィを聴いて自分を奮い立たせていた

――かねてからロックがルーツにあると公言していますよね。

ロックに関しては、自分の母親が学生時代にバンドをやっていたのもあって、小さい頃から家でロックミュージックが流れている環境でした。

――お母さんが楽器を演奏しているのを見たことはあるんですか?

見たことはないんですけど、ギターも弾けるし、ドラムも叩くし、ボーカルもやるみたいな感じで、いろいろ担当していたみたいです。それで、よく聴いていたのが王道のハードロックで、「これは聴いたほうがいい」と母親に言われて聴いていたのがレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)。ギターソロが本当にかっこよくて、中学時代は登下校に聴いていました。同級生に「何聴いてんの?」と聞かれて、「レッド・ツェッペリン」と答えると、みんなポカーンみたいな(笑)。あと大きな影響を受けたのはボン・ジョヴィ(Bon Jovi)です。2018年の東京ドーム公演も観に行きました。

――ボン・ジョヴィのどういうところに惹かれたんですか?

超王道のハードロックですけど、歌詞も大好きで。中でも「What Do You Got?」を毎日のように聴いていて。まだインディーズ・デビューする前、日高(光啓/SKY-HI)さんのミックステープ『FREE TOKYO』(2018年)収録の「What are you talking about?」にフィーチャリングで入ったときに、“金を稼ぐ為にやっている事じゃねえ 愛が無けりゃ What Do You Got? Bon Joviの教え”って歌詞に入れたりするぐらい、「What Do You Got?」で歌われている「愛が根っこにないと、人生はただの点を稼ぐだけのゲームだ」みたいな内容が当時の自分の心とフィットしていて。そういうただ商業的な成功のみを追いかけることの空虚さみたいなものを歌ってくれるロックミュージシャンに憧れがありました。「Because We Can」も好きでしたし、ボン・ジョヴィを聴いて自分を奮い立たせていた時期がありましたね。

――2018年の東京ドーム公演を観た感想はいかがでしたか。

小さい頃、母親に何度か東京ドームに連れて行ってもらったらしいんですけど、ほとんど記憶になくて。自分にとって東京ドームでちゃんと観たライブがボン・ジョヴィだったんです。だから会場自体も衝撃でしたし、そこで世界的に有名なボン・ジョヴィのライブをまざまざと見せつけられて、ただただ圧倒されました。ちょうどインディーズ・デビューする直前の時期で、自分が東京ドームのステージに立っている姿を、ボン・ジョヴィに必死に重ねようとしたんですけど、イメージが全然湧かなくて。家に帰ってから、母親に「今までアーティストの先輩も含めて、いろいろなライブを観て来たけど、初めて自分が立っている姿を全く想像できなかった」と言ったのを覚えています。

日本のロックミュージックから受けた影響

――邦楽は聴いていなかったんですか?

母親が80年代から90年代の第二次バンドブームあたりの曲が好きで、家でもかけていましたし、一緒にカラオケに行くと、母親が歌うのはBOØWYやレベッカ(REBECCA)など、その世代の曲だったので、自然と聴くようになりましたし、かなり影響も大きいです。僕もレベッカが大好きで、カラオケで母親と一緒に「フレンズ」を歌ってました(笑)。あと個人的に大好きなのは、第二次バンドブーム後期にデビューしたフラカン(フラワーカンパニーズ)ですね。等身大のロックミュージックという感じがして、自分が思春期真っただ中だった頃によく聴いていました。

――リアルタイムで活躍していたロックバンドよりも、過去に活躍したロックバンドを聴くことのほうが多かったんですか?

圧倒的に多かったですね。スタッフさんたちと話しているときも、「世代観がバグってるよね」ってよく言われるんです。「何でそれを歌えるんだ」って(笑)。

――中でもレベッカが好きだったのは、どういう部分ですか?

歌詞の世界観がフィットしたんですよね。ギラギラした曲調の上で、歌われている内容は思春期の女の子の心情っていう、テーマが身近に感じられたんです。そういう歌詞のテイストと、王道のメロディーが合致していて、すごく自分に合いました。ヒップホップを聴くようになって、一時期は等身大よりも少しかっこつけるみたいな世界観に憧れを持った時期もあったんですけど、今も等身大を歌うロックミュージックは大好きです。

――フラカンの歌詞も等身大で、青臭さや、かっこ悪さをストレートに出しますよね。

まさにそうですね。フラカンを聴きまくっていた頃は自分が思春期で、精神状態がめちゃくちゃだったのもあって、なおさら自分に向けて歌われている感覚がありまました。「元少年の歌」という曲では、“大人だって泣くぜ 大人だって怖いぜ”って平気で歌うし(笑)。それを聴いて、「あ、これでいいんだ」って思えたんです。

――歌い方も影響を受けているなと感じることはありますか?

たぶん無意識に受けているんじゃないかなと思います。歌詞を作る時のリズムの取り方とかも、その世代のロックミュージックから、かなり影響を受けているのかなと。

――レベッカのNOKKOさんはソウルやR&Bの影響も感じられますよね。

そうですね!レベッカはドラムのパターンとかも、歯切れの良いリズムが多くて、あの当時のグルーヴ感が大好きなんです。楽曲のテンションは違うんですけど、自分も「独創ファンタジスタ」で、その当時のロックミュージックからのインスピレーションを歌詞やテンポに入れています。

世の中に存在している音楽はできる限り聴きたい

――2000年代以降だとフォール・アウト・ボーイ(Fall Out Boy)、イマジン・ドラゴンズ(Imagine Dragons)などが好きで、来日公演も観に行ったとお聞きしました。

音楽業界に入ろうと思って、いろんなジャンルを聴いてく中で、時代や国に関係なくオルタナティブ・ロックに惹かれて。特にイマジン・ドラゴンズは、僕が音楽を始めたぐらいのタイミングでヒット曲をバンバン出していて、すごくかっこいいなと思いました。ヒップホップと出会って以降は、ベースにヒップホップのテイストが入っていたりするミクスチャーロックも多めに聴くようになりました。

――イマジン・ドラゴンズは世界的に売れているけど、音楽性は尖っていますよね。

そう、そうなんですよ!メロディーの感覚も不思議というか、決してキャッチーではないんですよね。最近、過去の曲がTikTokに引っ張り出されて再ヒットしてますけど、どこか中毒性のある曲が多くて、その世界観に惹かれました。

――ミュージシャンになる前と後では、ロックの聴き方に変化はありましたか?

かなり変わってますね。最近はUSのロックバンド以上にUKロックのプレイリストを漁るようになりましたし、インディーロックも多めに聴きます。超雑食系というか、偏って聴くのが嫌で。世の中に存在している音楽はできる限り聴きたいという欲望があるんです。60年代の音楽を聴く日もあれば、逆に「今超売れてます!」みたいなジャパニーズポップのプレイリストだけを聴く日もあって、日によって聴く音楽も変わりますね。

――昨年、ヤングブラッド(YUNGBLUD)と食事をしたそうですね。

そうなんです!昨年8月21日に、サマーソニックに出演させていただいたときに、ヤングブラッドがヘッドライナーで来日していて、サマソニを企画制作する「クリエイティブマン」の皆さんが、ヤングブラッドと会わせてくれると。それでヤングブラッドの公演前に日高さんと僕の二人で舞台裏に行ったら、ヤングブラッドが近づいてきて、僕が履いていたピンク色のリックオウエンス(Rick Owens)の靴を見て、第一声目が「ユー・アー・ロックスター!」(笑)。

――へぇー!

ピンクが大好きみたいで、ピンクの靴に反応してくれたんです(笑)。そのときにネイルやファッションの話もして。そしたら後日、ヤングブラッドの彼女、ジェシー・ジョー・スタークがクロムハーツのディレクターをやっているんですけど、クロムハーツの店舗でシークレットパーティーがあって、そこに呼んでいただきました。彼の発言やスタンスからは、現代が求めているスターの姿が見えてくるんですよね。現代が求めるスターは、弱さも強さも隠さず等身大でいて、自分たちの代弁者になってくれるカリスマ。偶像的なスター像が少しずつ変化してきたのかなと思います。

PROFILE

Novel Core

東京都出身、22歳。ラッパー、シンガーソングライター。
SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル "BMSG" に第一弾アーティストとして所属。メジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』とメジャー2ndアルバム『No Pressure』が2作連続、各チャートで日本1位を獲得。Zeppを中心とした大型のライブハウスを周遊する全国ツアーや、豊洲PITでの単独公演を全公演即ソールドアウトで成功させ、来年1月には日本武道館での単独公演が決定。
その存在感を確かなものにする一方で、FERRAGAMOやETROなど、トップメゾンのモデルに起用されるなど、ファッション業界からも注目を集める新世代アーティスト。
公式サイト:https://novelcore.jp/
Twitter:@iamnovelcore
Instagram:@iamnovelcore
TikTok:@iamnovelcore
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/novelcore

取材・文/猪口貴裕
撮影/西邑泰和

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