「小さい会場でも、大きい会場でも、両方の景色が想像できるライブを目指す」Novel Core連載 vol.4

「世の中に存在している音楽はできる限り聴きたい」Novel Core連載vol.3
新世代のラッパー、シンガーソングライターとして多彩な活動を続けるNovel Coreさんのキャリアや表現者としてのこだわりに迫る連載企画。第4回目は、自身と同じアティテュードを持つメンバー同⼠が結集したハウスバンド「THE WILL RABBITS」メンバーとの出会いやライブのこだわりなど、バンドをテーマにお話を伺いました。
メジャーデビュー前から切磋琢磨してきたメンバー

――2023年7月19日にNovel Core& THE WILL RABBITS名義の1st Single『BYE BYE』をリリースしました。バンドメンバー4名それぞれとの出会いをお聞きしたいのですが、ドラムの佐藤響さんとは一番付き合いが長いんですよね。
響さんとは僕が15歳のときに渋谷の路上で出会い、当時は週3、4日のペースで一緒に路上パフォーマンスをしていました。年こそ離れているけど、友達・仲間で、お互いにフラットな関係でやっていました。僕が路上パフォーマンスから身を引くタイミングで、「いつか僕が大きな会場を単独で埋められるアーティストになったら、バンドのドラムをお願いしたい」と言いました。それで僕がメジャーデビューをして、バンドという形でライブをやろうというところまで来たタイミングでお声がけさせてもらって、6年越しの約束を果たすことができました。
――佐藤さんはどんなタイプのドラマーですか。
とにかく努力家で、音作りに関して真摯。ちょっとしたスネアのピッチとか、しっかりと細かい音まで聴いていますし、人一倍努力するタイプの方ですね。あと気遣いがすごくて、リハのたびにスタッフさんの分まで必ず差し入れを持ってきてくれるんですよ(笑)。
――路上でやっていた頃から、音楽性はCoreさんと共通していたんですか?
ジャンルでいうと、ヒップホップが大好きなのと、手数が多い系のジャズを通っている方なので、音楽的な志向的は近いです。今年4月に響さんに誘ってもらって、ウォルフガング・ムースピール(g)のライブを一緒に観ました。ブライアン・ブレイド(ds)とスコット・コリー(b)とのトリオだったんですけど、会場が久々のコットンクラブというのもあって、二人で超テンションが上がっちゃって。ちょうど『BYE BYE』収録の「One,Two,Three」のレコーディングを控えていたので、なんらかの影響は受けたかなと思います。
――6年越しに再会して、佐藤さんのプレイスタイルの印象はいかがでしたか?
路上でやっていたときはスネアとハイハットとキックのみの超ミニマムセットだったんですけど、普通はツーバスでやるところを片足で叩いたりとかするんです。そういう変態的な部分がパワーアップしているなと感じましたし、「こういうことをやってみたら、どんな音が出るんだろう」と、いろんなアプローチに対して好奇心旺盛だなと。幾つになっても少年の心を忘れない方なので、一緒にいて楽しいですね。
――DJ & マニピュレーターのDJ KOTAさんとも長く組まれていますよね。
KOTAくんと出会ったのは、2018年にZeebraさん主宰のヒップホップレーベル「GRAND MASTER」からデビューさせてもらったタイミングです。「今後アーティストとしてやっていくんだったら、バックDJは絶対に必要だよね」という話をZeebraさんとしていて、「僕的には年齢が離れ過ぎてないほうが、コミュニケーションが取りやすいのでありがたいです」とお伝えしたんです。それで4名ぐらい候補をいただいて、KOTAくんのプロフィールを見ていたら、「トラックが作れる」と書いてあって。これは、いつか絶対に活きてくるスキルだと思って、声をかけさせてもらいました。
――実際、KOTAさんのトラックメイキングのスキルは活かされているんですか?
ここ1年ぐらいのライブで大いに活かされています。トラックをステムデータからいじってイントロを新しく作ったり、曲の構成を変えたり、ライブごとにアプローチを変えるのを大事にしているので、その作業はトラックを作れる人じゃないと絶対にできないんです。バンド編成になってからはマニピュレーターも一緒にやってもらっているので、一気にKOTAくんの作業量も増えて、今はライブでパソコンを3台使っています。
――もともとKOTAさんも積極的に、いろんなことに挑戦するタイプだったんですか?
僕と出会って以降だと思います。そもそもスクラッチプレイもあまりやるタイプじゃなかったんですけど、やってほしいとオーダーしたり、最近のツアーではパッドを導入してドラムを叩いてもらったり。今までKOTAくんがやっていなかったことを次から次に僕がリクエストして、それに対して全て「やるよ」って応えてくれる。好きな音楽のジャンルも、もともとはヒップホップだったんですけど、僕が聴く音楽の幅が広いのもあって、いろいろ聴かせたら、「面白いね」と言ってくれて、今はいろんなジャンルを聴いています。二人で一緒に何年もかけて成長してきたなという感覚がありますね。バンドの中では僕とやっている歴が一番長いので、大黒柱的な立ち位置にいてもらっています。
クリエイティブ面でも頼りになるメンバーが集まった
――ギターのYuya Kumagaiさんは、どのような出会いだったのでしょうか。
去年6月3日にKT Zepp Yokohamaで開催したワンマンライブ「1st ONEMAN LIVE “I AM THE TROUBLE”」をバンドでやることが決まって、良いギタリストがいないか響さんに相談したんです。「Coreくんのバンドだったらヒップホップ好きな人じゃないと駄目だよね」と言われて、紹介していただいたのがKumaさんで。響さんによると、「彼はNFLスーパーボウルのハーフタイム・ショーで、ドクター・ドレーたちのパフォーマンスを観て涙を流した男だ」と。僕も感動はしましたけど泣きはしなかったので、相当なヒップホップ好きだなと確信しました。それでスタジオでお会いして演奏してもらったら、素晴らしいプレイだったので即決で「バンドに入ってください」とお願いしました。
――『BYE BYE』制作中に、プロデューサーのChaki ZuluさんとCoreさんの二人で煮詰まったとき、急遽Kumagaiさんに電話してスタジオに来てもらったことがあったとお聞きしました。また「One,Two,Three」は、CoreさんとKumagaiさんの二人でスタジオに入ってコード進行を作ったそうですが、かなり密な付き合いなんですね。
メンバーの中で一番電話がかかってくるのがKumaさんで、プライベートでご飯に行くことも多いです。とにかく熱い方で、THE WILL RABBITSというバンド名が決まってからは、バンドマスターをやってもらっています。バンドやスタジオワークの経験値も豊富ですし、「チームを盛り上げたい!」という気持ちを前面に出してくれるんですよね。
――ライブパフォーマンスからも熱量が伝わってきますよね。
まさにギターヒーローですよね。もちろんKumaさんはロックも大好きで、よくリハーサルにスリップノットのTシャツを着ているんですけど、「スリップノット・バイブスは大事にしたいよね」みたいな話を一緒にしています(笑)。響さんと同じく好奇心旺盛で、最近はベースを買って練習を始めていますし、シーケンスなどが必要な曲もKumaさんが主体になってやってくれています。作詞・作曲もやるし、幾つか自分のユニットを持っていて、ポエトリーなものからハードなものまで総ナメしている。すごくマルチで、映像クリエイター的なこともやっているので、アート性みたいなところに関する理解も深くて、今後はアートワークの相談もしていきたいです。
――キーボードの内村勇希さんがバンドに初参加したのは、今年1月21日に豊洲PITで開催した『Novel Core ONEMAN LIVE -Untitled-』ですよね。
そうです。KT Zepp Yokohamaワンマン後に、ギター・ドラム・DJ・僕の4人で「No Pressure TOUR 2022」をやらせてもらって、豊洲PITではもっとビルドアップしたものを見せようという話になったんです。それでベーシストを入れるか、キーボードを入れるかという話し合いのときに、僕たちの楽曲はシーケンスが重要な曲が多くて、たとえば「WAGAMAMA MONDAIJI」を、ベーシストを入れてやったら、普通のロックソングになってしまう可能性があるなと。だったらシンセベースもあるし、キーボードで別のアプローチを模索したいと、バンドメンバーはもちろん、蔦谷好位置さんにも相談させてもらうなど、いろんな方面から探ったんです。でも、なかなか「この人!」というキーボードが見つからなくて、悩んでいたときにKumaさんから連絡が来て、「下北沢の『music bar rpm』でセッションホストをやったときに来たキーボードの子がめっちゃ良かった。人柄もめっちゃ良い」と言われて紹介されたのが、うっちー(内村)くんで。それで実際に会って、その日にバンドに入ってもらうことが決まりました。
――内村さんの得意なジャンルは何だったんですか?
専攻してきたジャンルは恐らくクラシック方面で、アコースティックなものを主体にしてきた方だったので、うちのバンドサウンドにどう馴染ませるのか、もしかしたらアプローチは大変なのかなと思いました。それで、とりあえず僕の過去の曲をインディーズで出したアルバムも含めて、「全て暗譜してください」という鬼みたいなお願いをさせてもらったんです。そしたら初めてのリハーサルのときに、本当に全曲暗譜してきて、かつ各楽曲に合いそうな音を4種類ぐらい用意して、弾いてくれて。音楽に対する貪欲な姿勢に胸を打たれました。本人的に絶対プレッシャーもあっただろうし、やり辛さもあったはずなんですけど、初っ端から楽しもうとしてくれているのが伝わって来て、本当に素敵な人だなと。ライブの度に仲を深めていって、今ではバンドになくてはならない存在です。
――プレイヤーとしては、どんな印象ですか。
アプローチの種類が多くて、音作りや音量感のバランスも素晴らしくて、俯瞰でバンドを見る能力が高いですね。豊洲PITの規模感でライブをすること自体、1月21日が初めてだったんですけど、「マジで俺より緊張してないんじゃない?」と思うぐらい堂々としていました。ミスタッチとかも一切なくて、怖いぐらい落ち着いているんですよ。ライブを観た日高(光啓)さんも、「とんでもない子を見つけてきたね」とベタ褒めしていました。今後はピアノがメインになる楽曲も増やしていきたいなと思っているので、作曲面でも力を借りる回数が増えるのかなと思っています。
2023年のテーマ「誘いを断らないこと」を実践して気づいたこと

――この一年でロックシーンにアプローチしたいという思いが強くなったそうですが、ライブのこだわりを教えてください。
いろいろなフェスに参加したり、ワンマンライブや全国ツアーをやったりしているうちに、僕は会場の大小に限らず、距離感が近いライブが好きなんだと改めて気づいたんです。あとライブの回数を重ねていくうちに感じたのは、何が起こるか分からないライブ感を大事にしたいんだなと。もちろんワンマンのようにストーリーを作って、演出をゴリゴリ積み重ねて完璧にやるみたいなのも好きなんです。でも根底にあるのはパフォーマンスで、それを補強するために演出があるんですよね。だから目指すべきは、小さい会場で観ても、大きい会場で観ても、両方の景色が想像できるようなライブ。100人ぐらいのライブハウスでやっているときでも東京ドームを想像してもらえるようなライブをしたいし、アリーナでやっているときにライブハウスのような距離感でやっている雰囲気を作りたいというのが自分の中にあって。それを踏まえてロックシーンに対するアプローチは大事にしたいです。
――9月に東京体育館と大阪城ホールで開催する「BMSG FES’23」も、Novel Core& THE WILL RABBITSで参加するんですよね。
昨年の「BMSG FES’22」もバンドで出させてもらったんですけど、今年はうっちーくんをジョインしての参加なので、より熱いライブにしたいですし、BMSGでロックシーンにも軸足を置いているアーティストは僕たちだけなので、自分たちのセクションでお客さんの雰囲気を一変させたいですね。サウンド感やライブのスタイルも含めて、去年とは違う雰囲気のライブになるはずです。
――インディーズ時代はマネージャーと二人三脚で活動していたそうですが、今やバンドメンバーはもちろん、たくさんのスタッフさんたちと作品やライブを作り上げています。学生時代は、いろんな人たちと関わることに臆病になる方も多いと思います。「マイナビ学生の窓口」読者はCoreさんと同世代も多いですが、そういう自分の殻みたいなのを破るにはどうすればいいと思いますか?
僕が今年から実践しているのは、誘いを断らないことです(笑)。昨年末にマネージャーさんにもお伝えしたんですが、2023年はライブに誘ってもらったらできる限り観に行くし、ご飯に誘ってもらったら、仕事で遅くなる可能性があっても絶対に顔を出すと。それによって何らかのチャンスを掴めるようにしようというのが今年のテーマで。それまで僕は人と外食すること自体が少なかったんですけど、今年は行きまくっています。アーティストだけじゃなく、業界の違う人たちとも喋ることで、すごい発見があるし、インプットも増えます。その中で自分の好きなもの、新たに試してみたいことが、どんどん見つかっていくんですよね。
――とはいえ、人付き合いにしり込みするタイプもいますよね。
それって自分の見え方とかも含めて、いろんな感情が邪魔をするってことですよね。もちろん無理に飛び込む必要はないんですよ。ただ中学生の頃に読んだ本でハッとした文章があって。自分が人からどう見られているのか「自分へのフォーカス」ばかりし続けていると、新しいことに挑戦しにくくなったり、人前に立つのに緊張したりする。でも自分が何を伝えたいのかという「相手へのフォーカス」に変えると緊張しなくなるし、新しい挑戦に物怖じしなくなる。それを僕も大切にしているんです。思っているよりも、他人は自分のことを気にしてないから、一歩踏み出す勇気を持ってほしいですね。

PROFILE
Novel Core
東京都出身、22歳。ラッパー、シンガーソングライター。
SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル "BMSG" に第一弾アーティストとして所属。メジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』とメジャー2ndアルバム『No Pressure』が2作連続、各チャートで日本1位を獲得。Zeppを中心とした大型のライブハウスを周遊する全国ツアーや、豊洲PITでの単独公演を全公演即ソールドアウトで成功させ、来年1月には日本武道館での単独公演が決定。
その存在感を確かなものにする一方で、FERRAGAMOやETROなど、トップメゾンのモデルに起用されるなど、ファッション業界からも注目を集める新世代アーティスト。
公式サイト:https://novelcore.jp/
Twitter:@iamnovelcore
Instagram:@iamnovelcore
TikTok:@iamnovelcore
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/novelcore
Novel Coreさんのサイン入りチェキを抽選で2名様にプレゼント!
このインタビュー記事をチェックしてくれた読者のみなさんにサイン入りチェキをプレゼント! 抽選で2名様に当たります。
▼応募方法はコチラ
ーーーーーーーーーーーー
1.「マイナビ学生の窓口」公式Twitter(@m_gakumado)をフォローする
【Twitter】https://twitter.com/m_gakumado
*すでにフォローしている場合も対象になります。
2.下記の投稿をリツイート(RT)
3.下記の応募ボタンから応募する!
学生の窓口会員の方▼
下の応募ボタンをクリックして、学生の窓口アカウントでログインしてください。希望のプレゼントを選択いただき、応募フォームに必要事項をご入力ください!
学生の窓口非会員の方▼
下の応募ボタンをクリックして、まずは「新規会員登録をする」から学生の窓口アカウントを作成してください。
※ブラウザの別タブでフォームが開きます。
登録完了後、もう一度下記応募ボタンをクリックして、学生の窓口IDでログインしてください。希望のプレゼントを選択いただき、応募フォームに必要事項を入力すれば応募完了です!
※会員登録は無料です。応募には学生の窓口会員登録が必須となります。
注意事項
■応募期間
2023年8月31日(木)~2023年9月30日(土)23:59まで
■抽選方法
・当選者は、ご応募いただいた方の中から抽選で決定させて頂きます。審査経過および結果に関するお問い合わせや苦情については応じかねます。
■当選連絡
・当選者の方には公正な抽選後、個別にご連絡を差し上げます。未当選となった方への連絡はいたしませんので、ご理解いただけますと幸いです。
■その他注意事項
・ご応募いただいた方の個人情報が本キャンペーン以外で使用されることはありません。
・ご提供いただいた個人情報は、当選者へのご連絡のために使用させていただき、ご本人の同意なしに第三者に開示、提供することは一切ありません。
取材・文/猪口貴裕
撮影/西邑泰和