失語症の方と“伝わる”をつなぐ仕事とは?言語聴覚士に聞いた意思疎通支援のリアルとやりがい #つながる体験部

学生の窓口編集部

PR 提供:厚生労働省
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病気や事故をきっかけに「話したいのに言葉が出てこない」「意味を理解できない」といった症状が起こる「失語症」をご存じですか?今回の #つながる体験部 は、そんな失語症の方の意思疎通を支える「言語聴覚士」という専門職の方にインタビュー。失語症の方との接し方や仕事内容について伺いました。

さらに、講習で学ぶことで、一般の人でも失語症の方の支援に関わることができる「失語症者向け意思疎通支援者」についても、詳しく教えていただきました。

INDEX:

失語症の方を支援する言語聴覚士ってどんな仕事?
誰にでも起こりえる「失語症」とは?
「言葉が出ない」「伝わらない」失語症で困ること
言語聴覚士は失語症の方をどう支援するの?
生活を支える仕事を通して、社会復帰の喜びを分かちあえる
普段のコミュニケーションにも活かせる『失語症者向け意思疎通支援者』の学び
Q. 今日の感想は?

#つながる体験部とは?
「#つながる体験部」は、聴覚・言語機能・音声機能・視覚・盲ろう・失語など、障害や難病によって意思疎通に困難を抱える人と、その周りの人との“伝える・伝わる”を支える「意思疎通支援」をテーマに、実際の現場を取材・体験しながら学んでいく企画です。身近な体験を通じて、“つながる社会”について考えていきます。

失語症の方を支援する言語聴覚士ってどんな仕事?

取材したのは、千葉県習志野市にある、東京湾岸リハビリテーション病院。脳卒中や事故などで急性期治療を終えた方が、日常生活や社会復帰を目指すための回復期リハビリテーションを担う専門病院です。

こちらで言語聴覚士として活躍している土佐林 有紀(とさばやし・ゆき)さんに、失語症の方の意思疎通を支える仕事や、現場での関わり方について伺いました。

失語症の方への支援を専門的に行っているのが、言語聴覚士というお仕事の方々なんですよね。

はい。言語聴覚士は国家資格で、言葉や、食べることなどの障害に対して、評価や訓練、支援を行う専門職です。失語症の方への支援の場合は、言語機能の回復や、生活の中での意思疎通を支える役割を担っています。

誰にでも起こりえる「失語症」とは?

この『失語症』とはどういう状態のことを指すのでしょうか?

失語症とは、簡単に言うと『言葉の障害』です。話すことだけでなく、相手の話を聞いて理解すること、文字を読んだり書いたりすることなど、言語に関わる力が脳の損傷によってうまく働かなくなった状態を指します。

今回初めて失語症という症状を知ったのですが、失語症になるきっかけとしては、どんな病気や出来事が多いのでしょうか?

一番多いのは、脳梗塞や脳出血などの脳卒中です。そのほかには、交通事故などで頭を強く打ち、脳が損傷されることで失語症が起こる場合もあります。

脳梗塞や脳出血などの脳卒中というと、高齢の方に多いイメージがあるのですが、失語症を発症するのは何歳くらいの方が多いのでしょうか?

50歳以上で多くなる、いわゆる働き盛りの年代です。ただ、20代や30代の方でも発症することがありますし、80代、90代の方でも起こります。ですので、年齢に関係なく、誰にでも起こりえる障害だと言えますね。

「言葉が出ない」「伝わらない」
失語症で困ること

脳卒中になった人は、必ず失語症になるわけではないんですか?

はい、必ずしも失語症になるわけではありません。脳のどの部分が、どれくらいの範囲で損傷されたかによって、症状は大きく変わります。失語症になられても、脳のどこが損傷したかによって、症状の出方は人によってさまざまです。

具体的にどんな症状が見られるのでしょうか?

代表的なのは、言葉を理解する力よりも、話す力に障害が出るタイプです。この場合、言いたいことは頭にあるのに、言葉がなかなか出てこず、たどたどしい話し方になります。
一方で、話し方は比較的流暢でも、相手の話を理解する力が大きく低下しているタイプもあります。この場合、言い間違いが多く、会話がかみ合わないため、周囲に誤解されやすい特徴があります。

一言で失語症と言っても、症状がいろいろあるのですね。しかも見た目では分かりにくいから、失語症と気づいてもらえないこともありそうです。

そうですね。まひやケガがない場合、失語症は見た目では分かりにくいケースも多いので、「元気そうなのに言葉が出ない」「何を言っているか伝わらない」といったことで、ご本人が大変さを感じてしまうことも少なくありません。

そうですよね。他に失語症の方が困るのは、どんな場面ですか?

特に不自由を感じやすいのは、電話でのやり取りや、役所などの手続き、複数人での会話です。話の流れについていけず、孤立感を抱いてしまうこともあります

失語症は日常生活における会話や、やり取りに影響がでるのでとても大変なのですね。

言語聴覚士は失語症の方をどう支援するの?

失語症の方に対し、土佐林さんは、言語聴覚士としてどのような支援を行っていますか?

まずは失語症の患者さんの状態を正確に把握するために言語能力において「どのような困難を抱えているのか」、「どんな力が保たれているのか」を確認します。その上で、言葉を思い出す練習や、理解しやすくするための言語訓練を行っていきます。

リハビリというと、訓練のイメージが強いですが、それだけではないんですね。

そうですね。ご本人だけでなく、ご家族への支援も大切です。どんな関わり方をすると意思疎通しやすいのか、日常生活での工夫をお伝えします。また、必要に応じて外出訓練を行い、退院後の生活を見据えた支援も行います。

失語症の方と意思疎通を図るときに、特に大切なことは何でしょうか?

ゆっくり、簡潔に話すことと、相手の話を最後まで聞くことです。言葉だけに頼らず、写真や時計、文字など視覚的な情報を使うことで、理解しやすくなります。

また、メッセージアプリでのやり取りでは、ひらがなよりも漢字を使ったり、スタンプを送ったりすると伝わりやすいと思います。

なるほど! スタンプならお互いに楽しくコミュニケーションが取れそうですね。

生活を支える仕事を通して、社会復帰の喜びを分かちあえる

土佐林さんご自身は、どんなきっかけで言語聴覚士になろうと思ったのですか?

もともと医療や福祉の分野に興味があり、進路を考える中で言語聴覚士という仕事を知りました。調べていくうちに、私たちの生活に欠かせない「コミュニケーション」や「食べること」を支える仕事だと分かり、とても魅力を感じたんです。人と話したり、関わったりすることが好きだったので、実際現場で働くようになってからも、自分に合っているなと思います。

支援に携わる中で、特に心に残っている経験はありますか?

50代で失語症になり、一度仕事を離れた方が、長いリハビリを経て職場復帰されたケースです。言葉の障害がある中で働くことは簡単ではありませんが、少しずつできることを積み重ね、再び社会に戻られた姿を見て、この仕事の意義を強く感じました。

それはうれしいですよね!患者さんの喜びを感じられる仕事って素敵です。

普段のコミュニケーションにも活かせる『失語症者向け意思疎通支援者』の学び

失語症の方への支援として、私たちにもできることはありますか?

そうですね。自治体が実施している講習で失語症についての知識やコミュニケーションの工夫を学ぶことで、「失語症者向け意思疎通支援者」として、失語症の方の生活支援をすることができます。これは、失語症の方が日常生活や社会の場で困ったときに、コミュニケーションの面からサポートをする役割です。たとえば、市役所での手続きや病院の受診、買い物などに同行して、本人の言いたいことが相手に伝わるよう手助けをします。当事者の方が社会とつながり続けるための“橋渡し役”として関わっていくイメージですね。

学校で勉強して資格を取得しなくても、学べる機会があるのですね! 『失語症者向け意思疎通支援者』になるにはどうすればいいのですか?

自治体が実施している『失語症者向け意思疎通支援者養成研修』の受講を修了すると、失語症の方の要望に応じて自治体から依頼が入り、支援をすることができます。

まずは講習を受けるのですね! もしこれから失語症の方に出会ったとき、私たちはまずどんなことを意識すればいいでしょうか?

大事なのは、相手のペースに合わせること。ゆっくり簡潔に話し、相手の言葉を最後まで聞くことが基本になります。また、早とちりして相手が言いたいことを決めつけないことも重要です。

また、サポートをするときも、すべて代わりに伝えようとせず、あくまで当事者の方を中心にすることが大切です。言葉が出にくい場面では、写真や文字を使ったり、相手に少し待ってもらうよう伝えたりして、やり取りがスムーズになるよう橋渡しをします。本人の意思を尊重しながら、社会とのつながりを支えることが大切な役割になります。

なるほど、失語症の方だけでなく、普段のコミュニケーションにも役立ちそうですね。ありがとうございました!

Q:今日の感想は?

失語症は誰にでも起こりえる身近な障害なんだと感じました。これまで「言葉が出ない」という一面しか想像できていませんでしたが、聞くことや読むことにも困難が生じる場合があると知り、見た目だけでは分からない大変さがあることにも気づけました。
また、支援は「すべて行う」のではなく、困っているポイントに気づき、本人の意思を尊重しながら必要なところをサポートすることだと分かったのも大きな学びです。将来どんな仕事に就いても、相手の立場に立って伝え方を工夫する姿勢は活かせると思いました。まずは、失語症者向け意思疎通支援者について、さっそく調べてみます!


失語症の方に対する支援は、専門職だけでなく、講習を受けることで、立場を問わず「失語症者向け意思疎通支援者」として関わる道があります。特別な資格や経験がなくても、相手の話を丁寧に聞き、伝え方を工夫する姿勢があれば、社会との大切な橋渡し役になれます。
医療や福祉を目指す人はもちろん、将来どんな分野に進むとしても、人と向き合う力は必ず役立つはず。まずは「知ること」から一歩踏み出し、学びの選択肢として調べてみてはいかがでしょうか。

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