【お薦めの1冊は？】はじめての「ミステリー小説」おどおど　＃あつまれ！_おどおど学生。

2022/11/08

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日本人は世界で最もミステリー小説が好きな国民などといわれます。学生の皆さんの中にも、ミステリー小説が大好きな方もいらっしゃるでしょう。しかし一方で、これまで全く触れてこなかった、あるいは今ではすっかりミステリー小説を読むことから遠ざかっているという人もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、それはもったいないことです。ミステリー小説はとても面白いのです！

今回はミステリー小説の魅力やお薦めの1冊について、株式会社早川書房の『ミステリマガジン』編集部の井戸本幹也さんに指南をお願いしました。

ミステリー小説の魅力とは？

ミステリー小説の魅力とはなんでしょう。なぜ多くの人がミステリー小説にハマるのでしょうか。井戸本さんに伺ったところ……

井戸本さん：「謎」があって、それが論理的に解かれる。それがミステリー小説の大きな魅力です。しかし、謎を解くだけではなく、事件の後に主人公や登場人物がどのように変化したのか、成長したのかといったところまで描かれているのがいいミステリー小説ではないでしょうか。「魅力的な謎、その解明だけではなく、一般小説の良さも兼ね備えた」といえばいいでしょうか。

――とのことでした。やはりミステリーには「魅力的な謎」が必要なのです。

初心者が「最初の1冊」を選ぶポイントは？

ミステリー小説は無数にありますが、「なにか読みたい」と思ったときにはどのように1冊を選ぶべきでしょうか？井戸本さんに選び方を聞きました。

井戸本さん：ミステリーというのはネタバレに弱いジャンルです。ミステリーファンはその辺を心得ていて、ネット上にも「できるだけ早く読んでほしい」といった推薦をしている小説があります。ネタが割れると面白くなくなってしまう作品ですね。

例えば、アガサ・クリスティーの『アクロイド殺し』などはその代表的な作品で大変面白いのですが、ネタバレしてしまうと初めて読んだときの衝撃を味わえなくなってしまいます。ですから「早く読んだ方がいい」と薦められる作品から手に取る、というのは一つの方法です。

そのように推薦される作品というのは、エポックメイキングな作品が多いです。だからこそ皆さんが「ネタバレがないうちに読んでほしい」と言うわけです。

また、古典といわれる名作から読み始めるというのも一つの方法です。というのは、ミステリー小説は150年以上の歴史※があって、今もコンテンツがどんどん生み出されています。これからもなくなることはないでしょう。

このような歴史の積み重ねがありますので「あの名作を下敷きにして新たな作品」をといった試みも多く、それが分かって初めて面白いという作品もあるからです。

例えばアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』はミステリー小説では古典の名作ですが、パロディーやリスペクトした作品がたくさんあります。そのような作品は、やはり大本の『そして誰もいなくなった』を読んでいないと面白さがいま一つピンとこなかったりします。

先人のミステリーマニアたちが歩んできた道を一歩一歩後からついていくのもいいのではないでしょうか。

※世界初の推理小説といわれるエドガー・アラン・ポー作の『モルグ街の殺人』が発表されたのが1841年。仮にこれをミステリー小説の起源とするならすでに181年たったことになります。『モルグ街の殺人』に登場する探偵オーギュスト・デュパンは後のシャーロック・ホームズの原型になったとされる人物です。デュパンはわずか3作品にしか登場しませんが、それでも強烈な印象を残す名探偵。しかも作品は、今読んでも面白いのです。