東京大に出向して研究に没頭。仮説検証が当たればアドレナリンもMAX!中央研究所未来価値研究部・川村淳さん【株式会社 ロッテ】
所属部署:中央研究所未来価値研究部
経歴:入社以来、基礎研究や「嚙むこと」の啓発業務を担当。現在は、未来価値研究部に所属。
また東京大学に出向し、高齢者における口腔機能低下の研究を行っている。
「将来の“なりたい自分”がまだわからない」ーーそんな悩みを抱えるみなさんに、いろんな企業で活躍する先輩たちの姿を通してロールモデルを見つけてもらう企画「#お仕事図鑑」。
今回はお菓子やアイスでおなじみの「ロッテ」で働く先輩社会人にインタビュー。
中央研究所未来価値研究部で基礎研究に励む川村淳さんに、日々の仕事内容や学生時代に取り組んだことについてお話を伺いました!
――川村さんは、どんな学生時代を過ごされていたのでしょうか?
大学1〜2年生の頃は、フットサルの部活とアルバイトに明け暮れるという、実に学生らしい学生時代を送っていました。3年生では研究系サークルで遺伝子の研究に時間を費やして、4年生から修士の頃は研究室に籠もって製薬の研究をしていました。
※サークルメンバーとの一枚
――学生時代に一番頑張ったことは何ですか?
研究サークルの活動です。サークルメンバーとチームを組んで「iGEM」という合成生物学(遺伝子組み換え)の世界大会に出場したのですが、遺伝子を組み替えて、心理学で有名な「囚人のジレンマ」を再現する大腸菌を作成し、金賞を獲ることができました。部門賞としても、優秀遺伝子群賞にもノミネートされるなど、結果も残せて楽しかったですね。
※3年生の大会時
――仕事で役に立っている学生時代の経験を教えてください。
大学4年生から入っていたラボは、先生が不在であることが多かったので、同じ研究室に所属している人たちとディスカッションしながら、半ば自立した形で研究を進めていました。その影響で、仕事中も自分で考えながら意見を出せていると思っています。
――就活前にやっておいたほうがいいことはありますか?
いろんなものを見て、いろんなことに挑戦することが大事だと思います。人や国、育った環境ごとに常識があります。社会に出れば、自分の考えている常識とは異なった現象も起こるので、そこでしっかりイレギュラー対応できるかどうかは、これまでどれだけの経験をしてきたかに左右されます。
学生時代にできるだけ見聞を広げておくと、社会に出てからも役立つはずです。
※卒業旅行
――今の会社を選んだ理由を教えていただけますか?
もともと健康に関わる仕事がしたいと思っていたので、製薬業界に行くことも考えました。でも、体調が悪くなってからにアプローチする製薬より、健康に直結する食品のほうがもっと多くの人の手に取ってもらえると考えて、食品の会社にしようと決めました。
そのなかで、お菓子だと食べる・食べないが自由に選べて、かつ間食として食べられるという意味でも面白いかなと思ったんです。お菓子=メタボリックみたいなイメージを、お菓子=健康にできたらいいな、という反骨精神のようなものもありました(笑)
ロッテを選んだのは「雪見だいふく」や「爽」、「クーリッシュ」など、独創的な商品が多いので、自分がちょっと変わった提案をしても受け入れてくれる土壌がありそうだと思ったからです。
――今のお仕事の内容について教えてください。
主に機能性表示食品や特定保健用食品など、食品の健康効果に関わる研究をしています。
また、今はロッテに所属しながら、東京大学に出向しています。東京大学では、いろんな企業の人と一緒に、「高齢化社会の健康課題に対して何ができるのか」ということを研究しています。
――この仕事ならではの特徴的な作業は何でしょう?
純粋な研究だけでなく、商業的なアウトプットまで計算しなければいけない、ということでしょうか。自分のやりたいことだけでなく、会社のメリットも考えなければいけないので、たとえば、私がいきなり「自動車を研究したいです!」と言っても、会社の事業内容と離れているので難しいです。
また、出向先ではいろんな企業の方々や学校の先生もいるので、ロッテのメリットも考えつつ、全体でどんな研究をするのか、そのバランス調整をするのが特徴的な作業だと思います。
――実はあまり知られていない仕事の「秘密」はありますか?
ロッテの健康訴求は、お客様に誤解を与えないことを第一に考えて、慎重におこなっているんです。
例えば、睡眠に効果的な商品を作るとして、もともと睡眠で悩んでいる人が効果を実感できても、そもそも睡眠に悩んでいない人たちは効果が感じられないという場合もあると思います。そういう場合、CMや広告で「睡眠にお悩みの方へ」と一文を入れないといけません。
社内でしっかりと議論して、官公庁で定められたルールを守りながら、商品特長をどう伝えるか、表現に腐心しているということは、人にはあまり知られていない「秘密」かもしれませんね。
――今の仕事のやりがいを、どういうときに感じますか?
自分の研究が新たな商品開発につながり、その商品がお客様に届くということです。SNSはもちろん、お客様相談室にも「この商品はすごくよかったです」「私に合っています」といった声が届いたりすると嬉しくなります。また研究者としては、作成する論文の本数が増えることにもやりがいを感じますね。
――今の仕事の面白いと思う点や魅力も教えてください。
研究中に、仮説検証が当たったときなどはすごく楽しいですね。いつも試験するときはとても気を遣いますし、本当に健康にアプローチできるのか、いろんな調整や検討を経て、悩みに悩んだうえで進めていくので、きちんと結果が伴うとアドレナリンが出ます(笑)。
――では、今の仕事に求められるスキルは何でしょう?
論文を読み解く力や、実験の計画を練る能力、仮説を立てる能力も大切ですし、よく言われる「PDCA」(※)の部分はこの仕事でも求められます。あとは社会人になるとただ研究しているだけではなく、別部署とのやり取りも必要になってくるので、コミュニケーション能力はどうしても必要です。
(※)Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクル
――今まで一番印象に残った仕事は何ですか?
うちの会社は、入社一年目のときから「やりたいことがあったらやってみて」と言ってくれる社風です。実際に私もペパーミントに関する研究を、試験計画から論文作成まですべて担当させていただきました。「年次が若くても、こんなに自由に仕事をさせてくれるんだ」と印象に残った仕事でした。
――オフタイムの過ごし方についてもお聞かせいただけますか?
考えながら遊ぶのが好きなので、インドア的な趣味ではボードゲームなどでよく遊んでいます。あとは身体を動かすのも好きなので、以前は会社の福利厚生の制度を使ってジムにいったり、今ではランニングをしたりしてほどよく運動しています。
――プライベートの中で仕事に活かされていると思うことはありますか?
それこそ、ボードゲームは仮説検証や予測が大事になってくるので、今の仕事にも活きているかなと感じます。また、運動をすると思考がリセットできるので、オンオフの切り替えに役立っていると思います。
――最後に大学生へのメッセージをよろしくお願いいたします。
就活は精神的なプレッシャーになることもあると思いますが、企業の人が忖度なしで話してくれるのは就活中くらいしかないので、これをいい機会だと思って楽しんでみてください。
個人的に、就活中に周りを見て感じたことですが、就活には「3分の1ルール」というものがあると思っています。エントリーシートを出しても通るのはだいたい3分の1、そこからさらに内定をもらえるのはだいたい3分の1……といったように、どんなに頑張っても運に左右される要素はあるので、深く考え込まないでほしいと思います。
あとは残りの大学生活を楽しんで頑張ってください。応援しています!
※記事内容及び社員の所属は取材当時のものです。
文:猿川佑
編集:学生の窓口編集部
取材協力:株式会社 ロッテ