自分の作ったクラフトビールが世の中に届くという喜び。若手社員に聞く仕事の魅力【アサヒビール】
所属部署:アサヒビール株式会社 茨城工場 マイクロブルワリー室
業務内容:クラフトビールや海外ビールのライセンス生産品の製造・品質管理、各種技術指導
「将来の“なりたい自分”がまだわからない」ーーそんな悩みを抱えるみなさんに、いろんな企業で活躍する先輩たちの姿を通してロールモデルを見つけてもらう企画「#お仕事図鑑」。
今回は、アサヒビール(株) で働く先輩社会人にインタビュー。
茨城工場のマイクロブルワリー室で、クラフトビールや海外ビールのライセンス生産品の製造・品質管理、各種技術指導など を担当する岡田拓也さんに、日々の仕事内容や学生時代に取り組んだことについてお話を伺いました!
――岡田さんはどんな学生時代を過ごしていたんですか?
学生時代はアルバイトと研究に明け暮れていました。
アルバイトは野球場でビール販売の仕事をしていて、バイトリーダーのような立場で販売員のマネジメントや、野球場の営業企画の方々と一緒に“どうすればもっとビールが売れるか”などを考えていました。
研究のほうは、分析化学と有機化学を主に専門としていて、新しい有機発光材料の研究を行っていました。
※大学院1年時の海外学会
――学生時代に一番頑張ったことを教えてください。
アルバイトと研究もちゃんとやりたかったので、それらを両立させることを頑張りました。学会報告などの時期はアルバイトにも影響が出てとても大変でしたし、そこに就活が加わったときは本当にバタバタしたのを覚えています。
――学生時代の経験で、仕事に役立っているものはありますか?
やっぱりスケジュール管理だと思います。研究はいろんなタスクを並行して行っていたので、常に優先順位を考えていました。それは今の仕事でも変わりません。
あとはアルバイト中に学んだコミュニケーション能力ですね。販売員は100人規模で、多くは女性です。彼女たちに指示することで嫌な顔をされたり、怒られたりもしたので、ものの言い方を工夫する癖がつきました。
※アルバイト時代の岡田さん
――何か就活前にやっておいたほうがいいことがあれば教えてください。
自己分析です。就活は、「自分は何がしたいか」ということをちゃんと考えるいい機会です。私は高校も大学も「みんなが行くから」という理由で行くことにした人間ですが、就活では誰も責任を取ってくれません。本当の意味で初めて自分で決める大きな岐路だからこそ、自分の考えをしっかり持つ必要があります。
就活中に自分の考えを持つことができれば、就職後もブレずに頑張れるはずです。
――今の会社を選んだ理由を教えてください。
お酒やビールが好きだったこと、そして物を通じて世の中に貢献したいと思ったことが一番の理由ですね。
お酒は、いろんな人が手に取って、いろんな人が感動してくれる可能性があります。僕にとってもお酒というものは、何か頑張ったときにみんなで飲んだり、久しぶりに再会した友人と一緒に飲んだりする、喜びに寄り添ってくれるものだったので、お酒を扱う仕事がしたいと思ったんです。
――今のお仕事の内容について教えてください。
マイクロブルワリー室という部署で、主に「隅田川ブルーイング」などのクラフトビールや、ライセンス契約をしている海外のビールの製造、管理を行っています。スーパードライのようなみんなが知っている大衆的な商品ではなく、どちらかというとスタウトやヴァイツェンのような、個性的な味のビールがメインですね。
※原材料を釜に投入しているところ
――この仕事ならではの特徴的な作業はどんなものがありますか?
マイクロブルワリー室は比較的小さな醸造設備であり、大きな工場ではできないような作業も工夫次第で手作業で行えるので、よりアイデアを形にしやすい環境だと思います。
また、大きな工場で大量生産を始める前段階の試験も行っており、工場ではしていない製法や原材料の試験もしていて、ビールの最先端を感じられるという点も面白いですね。
――実はあまり知られていない仕事の「秘密」があれば教えてください。
秘密ではないかもしれませんが、商品として出す前にみんなでいろんなビールを実際に飲んで、「よし、これでいこう」って決める試飲をすることがあるんです。もちろん仕事なので、酔っぱらわないように、水を飲みながら実施したり、飲み込まないで香りや口あたりだけを確認することもありますね。
――今の仕事のやりがいをどこに感じでいますか?
自分の作ったものが世の中に届くことですね。自分の携わった商品がお店で買われているのを見たり、友達や家族に楽しんでもらえたりすると、とてもやりがいを感じます。
――仕事の面白いと思う点や魅力を教えてください。
“ビールの味をつくる”という作業はすごく楽しいですね。もちろん、処方のレシピはもらったうえでビールを造っていますが、結局、細部を決めるのは現場の仕事ですから。みんなが求めているもの、美味しいと思ってもらえるものをつくるという楽しさはあります。
※製造工程でビールをチェックしているところ
――では、今の仕事に求められるスキルは何でしょう?
ひとつはコミュニケーション能力です。工場ではいろんな人と関わりながら働くことになりますから、挨拶や礼儀、時間厳守などは大切です。あとは、何事もロジックツリーを考えること。自分の考えを正確に伝えるためにも、物事の伝え方や資料整理の仕方はもっと勉強しておけばよかったなと思います。
――これまで一番印象に残った仕事について教えてください。
初めてひとりで新商品を作ったときです。最初はレシピが一枚あるだけの状態で、これをつくるにはどんな設計にすればいいかというところから全部自分で考えました。実際に完成したときは、本当に嬉しかった記憶があります。
ビール作りって、わかっているようでわからないことも多いんですよ。最終的な目標は、お客様に「美味しい!」と思ってもらうことなので、ただレシピどおりにはなっているだけではダメ。技術的なポイントを押さえながらも、ちゃんと美味しいと思ってもらえるバランスを探さないといけないんです。
――オフタイムはどのように過ごしているんですか?
コロナ禍以前は、仕事終わりに友達や先輩とよく飲みに行っていました。最近は、家でクラフトビールを飲むことも多くなって、裏のラベルを見ながら「なるほど、こういうふうにつくっているんだなぁ」って考えたりするのも好きですね(笑)。
週末はキャンプに行ったり、野球観戦したりもしています。
――プライベートでの出来事が、仕事に活かされていると感じることはありますか?
外食をしていると、自然と「このビールはこんな料理と合うんだな」などと考えてしまうのですが、そういう経験の積み重ねがビールつくりのアイデアとしても活きてくるのかな、って思っています。
――最後に、大学生にメッセージをいただけますか?
就活中は悩んだり、苦しい思いをすることもあると思いますが、その経験は将来きっと活きてくるので、あまり思い悩まずに就活を楽しんでください!
※記事内容及び社員の所属は取材当時のものです。
文:猿川佑
編集:学生の窓口編集部
取材協力:アサヒビール