【イベントレポート】後編『理系女子(リケジョ)キャリア本音会議 第二弾 with 日産自動車株式会社』#大学生の社会見学
2021年3月10日に開催したイベント『理系女子(リケジョ)キャリア本音会議 第二弾 with 日産自動車株式会社』のログ記事【後編】をお届けします。
前編では、リケジョたちの仕事内容や福利厚生、学生時代の就活方法など、幅広くうかがいました。イベントに参加した方はその振り返りとして、参加できなかった方は内容を参考に仕事・働き方について考えるきっかけにしてみてください。
【ゲスト】 日産自動車
天本奈々子
人間工学性能開発エンジニア
クルマを運転する人たち、乗る人たちが安全・快適に運転・操作を行うために必要な車両デザインを人間工学の観点で開発し、評価するための実験を行っています。
山口良子
コネクティッドカーIVIシステム開発エンジニア
電子電装部品IVI(センターディスプレイ)のナビゲーションシステムに求められる機能を設計開発しています。
濱口有香
パワートレイン・EV 開発・アライアンスコーディネーションオフィス主担
電気自動車および電気自動車を動かす心臓部分となるパワートレインを日産・ルノー・三菱で協力して開発を進めるための戦略策定サポートを行っています。
コーポレートHP:https://www.nissan.co.jp/
採用HP:https://www.nissanmotor.jobs/japan/NE/
【インタビュアー】 理系女子大生コミュニティ凛
理系女子大生コミュニティ凛とは、ライフプランを考える理系女子によるメディアです。凛は、メンバーの興味関心に基づいて、キャリア選択や進路選択に関する活動をしています。そして、それを発信することで、より多くの人に自身のライフプランについて考えるきっかけになって欲しいと考えています。
■参加メンバー
今西菜々花さん
勝俣真希さん
RIN | 理系女子大生コミュニティ凛 (@rin_girls) · Twitter
日産自動車で働くために必要なスキルって?
――それでは視聴者からの質問を紹介します。皆さん、インターンには参加しましたか?
天本: 私の就活当時は今ほど大々的にインターンを募集していなかったので、インターンには行きませんでした。
山口: 日産ではなく、他社のインターンに参加しました。インターンの経験は就活中にしかできないことなので、行ってみると面白いと思います。
濱口: 私は参加しませんでした。「そういうのもあるんだ」くらいの認識で就活をしていました。
――英語でのコミュニケーションは、どのくらいのレベルが求められているのでしょう? 英語が勉強できる制度はありますか?
天本: レベル感の表現が難しいですが、流ちょうに話すことができればよいに越したことはないのですが、それよりも英語に対して苦手意識がないことは大事かもしれません。苦手意識を持ってしまうと、本来ならわかる言葉もわからなくなってしまいますから。
教育制度は社内にもありますが、何よりも大切なことは自分のやる気です。どれだけ知識を得たいと思っているか、その本気度が重要だと思います。
山口: 会議で通用する英会話くらいのレベルは求められます。私はもともと英語が嫌いで、英語を話せないまま入社しました。でも、私の部署はかなり英語を使うので、「習うより、慣れろ」という感じで、英語の会議に出ても問題ないレベルにまで強制的に成長しました。
濱口: 私の部署では日産、ルノー、三菱の三者で会議をするので、英語力は高ければ高いほどよいです。会議の議事録を英語で書く機会もあり、これが想像以上にタフで難しいのですが、そのおかげで仕事の中で英語力を磨いているといった感じです。
――今、社内で盛り上がっている自動車業界のホットな話題は何でしょう?
天本: やはり「自動運転」ですね。
山口: 私の部署では、「UX=ユーザーエクスペリエンス」がホットな話題になっています。ユーザーにどのような体験をしてもらうかを考えるのですが、この分野では海外勢が非常に優れており、日本の自動車業界の弱いところだと思います。
濱口: 私の周りは「電動化」です。自動車業界のホットな領域は「CASE:C(Connected:コネクテッド)、A(Autonomous:自動運転)、S(Shared & Service:シェアリング/サービス)、E(Electric:電動化)」のどれかに分類されますが、私の場合はE(Electric:電動化)です。
世界中でカーボン・ニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)の重要性が増している中、日産も2030年代早期に主要市場の新型車をすべて電動化すると宣言しています。私の部署では、この目標実現に向けて取り組んでいます。
――グローバル企業で働くうえで、どんなスキルや知識が必要ですか?
天本: コミュニケーション能力でしょうか。国籍やバックグラウンドが異なる人たちと一緒に働くなかで、「この人はこういう考え方をするんだ」と、それぞれの考え方を尊重したうえで、目標実現に向けて協力体制を創っていくことが重要になります。
山口: 私も同意見です。日産は世界中に自動車を提供しているので、そもそも対象となるユーザーが多国籍なんです。そのために世界中にある日産開発拠点の人たちと一緒に仕事をしていくのですが、そのうえで大切なスキルとしてやはりロジカルシンキングが一番求められると思います。
濱口: あとは物事をシンプルに伝える力でしょうか。グローバルな会社なので、それぞれ価値観も違う。そういうときにあれこれ言うより、とにかくシンプルに、エッセンスを凝縮して伝えることが大切です。
――車について知識がなくても大丈夫でしょうか?
天本:まったく問題ありません。私が働く車両実験部は、実際に車に触れて評価実験をする部署ですが、車の知識がない人もいます。教育制度もあるので、そこで車がどう作られていくのか、基礎の基礎から教えてもらえますよ。
山口: 私はそもそも自動車への興味があまり高くない状態で入社しました。なので、入社当時は知識もありませんでした。でも、必要な知識を学ぶ機会がありますので、入社後にしっかり学んでいただくとよいと思いますよ。
濱口: まったく問題ないですね。むしろ、新入社員には車の知識などではなく、自由な考え方が求められています。知識がないことに、何かビハインドを感じることはありません。
リケジョたちが重視した「企業選び」のポイントは?
――仕事をするうえで、最も大切にしていることはありますか?
※日産本社ビル
天本:いろんな業務がありますが、それぞれ何のためにやっているのか、その背景を理解するようにしています。背景の理解が間違っていると、せっかく時間をかけても全然違うアウトプットになってしまうので。
山口:私は、不明確なポイントを残さないよう意識しています。人と一緒に何か進めようとすると、コミュニケーションのなかで抜け漏れがあって、クリアにし忘れていたところがちょっとずつ出てきます。なので、わかりやすい言葉で明確化することを重視しています。
濱口:シンプルに、かつ合理的に物事を考えることです。そうすることによって伝えるエッセンスが凝縮され、伝わりやすくなります。それに伴い物事に対する考え方も、「なぜ、こうするのか」という問いに対して明快な答えを持つことができるのですごく大事にしています。
――今後の夢や目標はありますか?
天本: 「このことなら天本に聞けば間違いない」と信頼されるエンジニアになりたいと思っています。
山口:私の部署で開発した機能はそのままCMに出ることもあるので、いろんな人に自慢できるくらい良いものを作りたいな!と思っています。
濱口:私はお二人とは異なるのですが、スイスのアイガーという山に登りたいと思っています。そのためには普段から体力をつけないといけないし、夏には2週間の休みが必要です。となると、今から調整しないと間に合いません。トレーニング時間の確保も含めて計画的に進めようと思っています。
――女性のライフイベントでもっとも重要視する項目は何でしょう?
※事業所内託児施設「まーちらんど・みなとみらい」
天本:ある程度のレベルであれば、企業間にそんなに差はありません。それより、福利厚生などの制度がどれだけ活用されているか、実際の会社の方に聞くことが大事かと思います。
山口:あまり福利厚生を有効活用するタイミングになっていないので、まだ具体的にイメージできませんが、実際に体験している人に具体的な話を聞くのがいいと思います。
濱口:在宅ワークに力を入れている会社は、女性にとって働きやすいと思います。私は今、会社と在宅と半々で働いていますが、通勤時間をカットできるのはすごいアドバンテージです。そのぶんバランスも取りやすくなりますし、ライフイベントに対しても上手く活用できるツールだと思います。
――就職でもっとも重要視した点は何ですか?
天本:人の雰囲気です。「自分らしく働ける雰囲気」を重視しました。
山口:私は場所で選びました。いかに快適に仕事ができるかを意識したので、自分の働きやすいライフスタイルが何かを考え、それに合った企業を重要視して就活しました。
濱口:私はその仕事に携わっている自分を想像して、ワクワクできるかを考えました。そこでピンとこないのであれば違うのかもしれないと思ったので、直感も大事にしましたね。
――企業選びの軸は何だったのでしょうか?
天本:エンジニアの雰囲気が自分に合っているかどうかのみですね。
山口:市場から求められる価値が今後も続く業界であることを意識しました。やはり自動車産業はなくならないだろうと思いましたし、給与が高いことも意識して選びました(笑)。
濱口:自動車業界に決めた理由は、それが「ものづくり」だったからです。車が身近な製品であること、そして自分が作った製品が世の中に出るということにワクワクしそうだと思い、最終的に自動車業界に決めました。
リケジョたちが大学生に伝えたいこと
ー今の大学生に何かアドバイスをお願いします。
天本:興味を持ったら、まずはやってみることですね。若いうちしか吸収できないこともありますし、知識や経験を積むうえでも、たくさんチャレンジをしてほしい。そして、自分には無理と思うことでも、諦めるのではなく、周りにアドバイスを求めてみましょう。私たちもアドバイスできますし、頼られるとやっぱりうれしいので、ぜひ私たちを含めた社会人を頼ってください。
山口:学生時代は比較的自由な時間が多いと思います。なるべく自分の好きなこと、興味のあることに、積極的に時間を使うといいと思います。研究で忙しいと思うかもしれませんが、就職してからのほうが忙しくなるので、ぜひ今しかできないことをやっておきましょう。それが例え就職に直結しないことでも、いつか回り回って役立つと思います。
濱口:今のうちから自分の軸に沿った行動を意識的にとっていくといいと思います。何にチャレンジするときも、判断基準が自分の中になければ不安になるかもしれません。でも、軸があれば、必ずそこに立ち返ることができます。今からそういった練習をすれば、社会に出ても役立ちます。社会で活躍している人は、やはり自分の考えと行動がブレていません。
――最後に、日産自動車株式会社 人事部の岩本さんにお聞きします。日産自動車の社風とは? そして、日産が求める人財はどのような人でしょう?
岩本:日産自動車は、社員が何をしたいのかをすごく大事にする会社です。日産自動車に適している人は、「情熱的」、「革新的」、そして「挑戦的」といったキーワードに響く方だと考えています。これらのキーワードに「ピン」とくる方はぜひチャレンジしてほしいと思います。
――最後に、何か告知があればよろしくお願いします。
岩本:日産では、チャレンジしていける人をお待ちしています。日産自動車では、実際に社員の声を聞いていただく機会を設け、仕事内容についての情報などもお伝えしています。ぜひ、QRコードから採用ホームページを御覧ください。