ウェルプレイドが期待する5Gとeスポーツの幸せな関係

編集部:ベッシー

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「5Gが自分達にどう関わってくるの?」といえば、スマホの活用方法の変化がまず浮かぶでしょう。スマホを通して「あんなことができる、こんなことができる」と、説明されるなかで、今回はゲームに注目してお話を伺いました。

取材を受けてくれたのは、eスポーツの大会運営や配信などを手掛けるウェルプレイド株式会社の谷田さん。ここ数年で広がりを見せてきたeスポーツの仕事についても伺いました。

教えてくれたのはこの人

谷田 優也さん

ウェルプレイド株式会社
代表取締役社長

eスポーツ専門の会社の仕事とは?

―― 5Gの話に入る前にひとつ質問をさせてください。eスポーツに関する仕事というものは、そもそもどのように仕事が成り立っているのでしょうか?

ウェルプレイドはeスポーツ専門会社として5年前に立ち上げました。僕たちが普段どんな仕事をしているかをお話することが、eスポーツ業界の仕事について理解が進むと思うので、僕たちの話をさせてもらいます。

ゲームを遊んでもらうためのプロモーションは、少し前まで、テレビCMや雑誌広告など露出面を取って認知度を上げていくものが中心でした。ただ、広告が昔より柔軟に買いやすくなったことなどがあり、色んなゲームが広告展開をしはじめて、エンゲージメント(良好な関係構築)がしにくくなったんです。

その結果、一度は遊んでくれるけど継続して遊んでくれる人、明日も明後日も遊び続けてくれる人が少なくなりました。

―― たしかにSNSなどでもゲームの広告をよく見かけますし、新しいゲームがどんどん出てくるのでずっと遊び続けるゲームは少なくなったかもしれません。

そこで重要になってきたのが、「ゲームをやり続ける価値」です。要は、「5年も同じゲームを遊び続けてきたけど、これって何か意味があるんだっけ?」というものに応えるものを用意しようと、ゲームメーカーの人たちが考えはじめました。

そのひとつがeスポーツです。eスポーツは、有名になれるとか、プロになれる、賞金でご飯が食べていけるとか、ゲームの面白さとは違う新しい価値があります。大会に出るためにはゲームを練習しなければなりませんし、大会を観る人もゲームを遊んでくれている人が多く、ゲームを継続する理由になります。

そうして例えば、「これまでテレビCMで使っていた3億円を、3,000万円でeスポーツの大会を10回開催して明日も明後日も来月も遊んでもらおう」のような形で、メーカーさんがプロモーションを展開していきます。

ただ、ゲームメーカーの人たちは、面白いゲームをつくるプロですが、eスポーツのプロではありません。大会のルールを考えたり、大会を配信したり、勝ち残ったプレーヤーをどうやって有名にしていくかを考えたり、といったことに詳しいわけではないので、そういったeスポーツ全般の取り仕切りをウェルプレイドがお手伝いをしています。

―― どのようなeスポーツ大会をサポートされているんでしょうか?

フィンランドにスーパーセルというゲームメーカーがあります。スーパーセルは、『クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)』などをつくっているメーカーで、過去に年間のモバイルゲームの売り上げでナンバーワンもとったことがある大手企業です。

その日本国内の大会運営や、プロリーグの立ち上げのお手伝いをさせていただきました。ほかにも、バンダイナムコの格闘ゲーム『鉄拳』の大会や、地方自治体が主催する大会の運営なども行っています。

5Gはゲーム大会の運営方法を一変させるかも

―― それでは、本題に入っていきたいのですがeスポーツ業界からみた5Gの期待度を教えていただけますか。

正直、めちゃくちゃ難しい質問です。「期待できるといいな」と思っていますが、まだ僕たち自身が5Gの「高速・大容量」「超低遅延」「多数端末接続」といった特徴を体感できていないですからね......。

ただ、5Gがスペック通りの性能であれば、大会やイベントのネットワーク環境構築が大きく変わると思います。というのも、ネットワークの環境構築というのは常に課題なんです。

―― どのような点が課題なのでしょうか?

大会やイベントを開催するときには、ネットワーク環境の構築がされていない場所に、生放送をするためのインターネット回線と、選手がプレイするためのインターネット回線を引くんです。

どちらの回線も大会やイベント中に「接続が切れた」みたいなことがあってはいけません。賞金1億円の大会で「Wi-Fiが切れちゃったから負けました」みたいなことはあってはならないじゃないですか。

―― 絶対に切断されないネットワーク環境を構築するって大変ですね。スマホゲームの大会などはどうやって構築されているんですか?

これまではスマホでプレイするゲームでも、有線LANで接続できる環境を無理矢理つくって、切断がほぼ起こらない状態をつくっていました。

―― これまで運営されてきた大会では、同時にどれくらいの人数がプレイするのでしょうか?

大きな大会だとパソコンで1,000人同時にプレイするようなこともあります。1,000台分の有線LANのネットワークを構築するので、本来必要のないコストもかかっているんです。
5Gが浸透すれば、安定した高速通信が保証されるでしょうし、ユーザー側からみても、普段自分が使っている端末で参加できるようになると思うので、運営側もユーザー側も大きなメリットがあると思います。

5Gでゲームはより身近に

―― 5Gでゲームはどのように変わりますか?

5Gによって環境に依存しなくなると思います。これまでは、安定した高速な通信環境を実現しようとすると有線LANしかなかったので、パソコンやコンシューマーゲーム機(PlayStationやNintendo Switchなど)でしか遊べないオンラインゲームが多くありました。

5Gによってスマホでも有線LANと変わらないスピードが安定して出るようになると、ハードに依存せず高速通信ができる環境が整うので、これまで以上にマルチプラットフォームでゲームが遊びやすくなるようになると思います。

―― eスポーツでの変化はどのようなことがあるでしょうか?

eスポーツの悩みのひとつに、「知らないゲームを知らないなりに楽しむのが難しい」というものがあります。ここを変えたい、変わって欲しいと思っています

eスポーツというと、格闘ゲームが例に挙げられることが多いですよね? あれはなんでかと考えると、「格闘ゲームは分かりやすい」というのがあるんじゃないかと思います。
格闘ゲームは、「相手の体力ゲージがなくなったら勝ち」というのが見ていればわかるので、ある意味、格闘技よりも分かりやすい。だからこそ、eスポーツを説明するときに例に挙がりやすいんだと思うんですが、ほかのゲームジャンルはパッと見ただけでは分かりにくく複雑なものも多いです。

例えば、世界中で大人気のゲーム『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』では5対5のチームバトルがあります。バトルの中では局地戦がそれぞれ行われますし、ちょっとしたミスで戦局が変わったり、大勢が決したりします。こういったゲームの場合は、どこを見てどう楽しむのがいいのかが分かりにくいんです。

楽しみ方がわかれば楽しめるけど、楽しみ方がゲームの画面を見ているだけだとまったく分からないものの穴をどう埋めていくか、みたいなことは永遠の課題です。

誰でも楽しめるような手法をテクノロジーで解決できる時代は来ていると思うので、5Gをうまく活用して、このゲームはどんなゲームで、見所はどこにあって、みたいなのが簡単にわかるようにしていきたいですね


文・取材:砂流 恵介
写真:日比谷 好信
編集:マイナビ学生の窓口編集部

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編集部:ベッシー

昔ながらの大学生活でイメージされるような大学生活を謳歌し、就職活動はちゃんとやらず、社会人のスタートではつまづき、いろんな会社を転職しながらキャリアビルド。学生や若い人のチャレンジを応援したい、頑張れる場を提供したいという想いを持って編集部で活動中。伝えたいメッセージは「自分で考え、自分で動き、人にはどんどん頼りましょう」

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