大学でコイも育ててるってほんと!? 『中庭でお弁当を食べる会』とは #なぞサークル調査隊
早稲田大学のサークルの中には、「どんな活動をしているのだろう」と不思議になる「謎のサークル」が数多くあります。
例えば『中庭でお弁当を食べる会』は、どういった活動をしているのか気になりませんか? 名前のとおり中庭でお弁当を食べるだけなのか、それとも他にもいろんな活動をしているのか……。その実態に迫ります!
中庭でお弁当を食べる以外にも主な活動がある
『中庭でお弁当を食べる会』の会長・中野ち子(のち子)さんに、活動内容や設立の経緯などを伺いました。
会長の中野ち子(のち子)さん
――『中庭でお弁当を食べる会』はどのようなサークルなのですか?
のち子さん 「西早稲田キャンパスの中庭でお弁当を食べる」というサークルです。活動時間は主に2限が終わって3限が始まるまでの50分間ですね。テスト期間とか大学がない日は活動しません。
――参加人数はどのくらいですか?
のち子さん 人数は30人以上です。ただ、必ず参加しないといけないサークルではないので、日によって参加人数はまちまちです。参加したいときに参加するという感じです。本当にお弁当を食べるだけなので……。
――雨の日でも活動するのですか?
のち子さん 前は雨の日でも無理して中庭で食べたりしていましたが、さすがにやめました。あと、夏になると人が来なくなりますね。
――屋外だけに天候に左右される活動なのですね。
のち子さん 中庭でお弁当を食べる以外では、生協のお弁当のレビューを書いていて、これはTwitterで公開しています。私とは別の会員が書いているのですが、ちょっと冷たいレビューになっているので、生協には少し距離を置かれています。
――なるほど(笑)。会員同士で飲み会を行ったりは?
のち子さん 飲み会もたまにします。飲み会の後は、いろんな所を歩き回るのが定番ですね。地図を一切見ずに早稲田からお台場まで歩いたり、自転車でディズニーランドに行ったりしました。
ディズニーに行ったときは、着く頃にはちょうど朝日が見られるのではと思っていたのですが、完全に日が昇った後で絶望したのを覚えています。
――他にはどんな活動をしていますか?
のち子さん キャンパスの中庭の池でコイを育てています。私が1年のときに中庭の工事が行われ、そのときに謎の池が出現したんです。最初は生き物がいないただの水たまりだったのですが、中庭でお弁当を食べる文化を広めるためには中庭をなるべく魅力的な所にしたいと思ったので、池にコイを放して育て始めました。
コイが泳ぐ中庭の池
――コイの育成も大事な活動なのですね。
のち子さん 池にすまわせる魚を釣ってきたり、エサをあげたり、池の掃除をしたりしています。池の生態系の管理ですね。みんなで釣りに行くのはなかなか楽しいですし、池のコイの成長を見守るのも楽しいです。
決まって昼休みにエサをあげるので、魚もそれをわかっているのか、昼休みになると顔を出します。かわいいです。ただ、先日池周辺の施設を塗り替える際に、池の魚が別のキャンパスの池に移されて、3年くらい育ててきたコイがいなくなってしまいました。さすがに悲しかったですね……。
――サークルと一緒に成長してきたコイですから、ショックだったでしょうね。今は池に何もいないのですか?
のち子さん 気を取り直してまた子供のコイを放しました。まだまだ小さいし、臆病なのであまり顔を出さないのですが、模様もきれいでかわいいので、私が大学を卒業しても「理工キャンパスのコイ」としてかわいがってほしいですね。
最初は「架空」のサークルだった
――『中庭でお弁当を食べる会』はどのような経緯でつくられたのですか?
のち子さん 私が大学1年の頃につくりました。2015年ですね。早稲田大学の理工キャンパスの学食はめちゃくちゃ混雑するので、それに絶望したのが設立のきっかけです。人は多いしめちゃめちゃ並ぶし、ようやく買えても席がなくてひどい環境でした。
立って食べることもありました。大学の学食に憧れを持っていましたけど、初日で崩壊しましたね。それで逃げるように中庭で昼食を食べ始めました。
――特にサークルをつくろうというわけではなかったのですね。
のち子さん はい、別にサークルをつくろうとしたのではなく、何人かで昼食を食べていただけでした。その後、中庭で昼食を食べるという「架空のサークル」として、『マイルストーン』という早稲田の情報誌に載せようということになったのですが、そこから少しずつ実体を伴うようになり、本当のサークルになりました。
学食の混雑解消のために、中庭でお弁当を食べる文化を広めたいという狙いもありましたね。
――サークルのモットーはどんなことですか?
のち子さん 「今日ぼっち飯だな……」というとき、中庭に行けば誰かしらいて、交流できる環境をつくることを大事にしています。「みんなでぼっち飯!」がモットーです。矛盾した言葉ですけど、本当にこんな感じの気楽な雰囲気の中で活動しています。
SNSで中庭で食べたお昼ご飯をレポート
――誰かと食事するのは楽しいですからね。
のち子さん ちょっと愚痴になってしまうのですが、理工キャンパスでの学生生活はいろいろとストレスがたまります。授業は難しい、レポートには追われる、人は多い、冷房は効かない、一面銀色の壁、男女比がおかしい、学食はめちゃめちゃ混む……。
せめて食事のときくらいはストレスなく過ごしたいですからね。中庭で太陽の光を浴びながら食事をすることで気分転換になり、ストレスが減ったという人も多いです。
――会長としてのこだわりはありますか?
のち子さん サークルは自由で楽しいことが一番大事だと思っているので、そこは意識して活動しています。
リラックスして昼食を食べたい人におすすめ
――どんな人に入会を勧めたいですか?
のち子さん 学部の首席みたいな人から留年してる人まで、本当にいろんな人がいるサークルです。例えば、混んでいる学食や教室で食事をすることに抵抗がある人はおすすめですね。
ほかにも、精神的に追い込まれている人や、ストレスがたまっていてつらいという人にもおすすめです。
――自由で楽しい環境で昼食を取る中で、気持ちもリラックスできるかもしれないですよね。
のち子さん そうですね。友達が少ない人にもいいと思います。
――最後に今後の目標や展望を教えてください。
のち子さん 「何かを成し遂げよう!」という会ではないので、絶対的な目標はありません。ただ、「中庭でお弁当を食べる文化」をもっと広めたいですね。殺伐とした学食の混雑も改善されるし、学生のストレスも解消されるので……。
昼に適当に集まって、何をするでもなくただ食事をするサークルもありだと思います。サークルの「新しい在り方」を提唱したいですね。あとは生協の人たちともっと仲良くしたいですし、子供のコイを大きく成長させるのも目標です。
――ありがとうございました。
『中庭でお弁当を食べる会』は、その名のとおり中庭で楽しくリラックスして昼食を食べるサークルでした。慌ただしい学生生活の中ではいろいろとストレスがたまるものですから、お昼ご飯くらいはゆっくり食べてストレスを軽くしたいもの。
そうした人にはまさにうってつけのサークルといえるでしょう。また、「コイの成長を見守りたい」という人にもおすすめだそうですから、気になる人はまずはTwitterアカウントで活動内容をチェックしてみてはいかがですか?
(中田ボンベ@dcp)