実は3回目のタピオカブーム! その流行の原因は?
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昨年から今年にかけて、タピオカが日本で大ブームになっています。最近は落ち着きましたが、一時期はタピオカ入りミルクティーの写真をインスタグラムなどSNSでたくさん見掛けましたよね。
しかし、タピオカ自体は以前からありましたし、以前にもなんどか流行したこともありました。では、なぜタピオカブームは再燃したのでしょうか?

タピオカ人気が復活した理由について、立教大学 経営学部の有馬賢治教授に回答いただきました。
「台湾食」がブームになる中で改めてタピオカに注目が集まった
今回のタピオカブームは、1992年、2008年に続く3回目のブームになります。第1次ブームのときには「白いタピオカにココナッツミルクを入れたスイーツ」として流行しました。第2次ブームのときは、台湾から「快可立(Quickly)」「EasyWay」などのタピオカティーのブランドが日本に上陸し、流行を牽引しました。
今回のタピオカブームは、先に台湾の食べ物、例えば台湾かき氷や小籠包などが流行し、その流れの中で起こったものと見ることができます。台湾の食事がまず一般に広まり、そこで改めてタピオカミルクティーが取り上げられたというわけです。
「インスタ映え」が意識された結果
再流行したもう一つの理由は、「インスタ映え」という言葉に代表される「SNSを介したコミュニケーションの力」と考えることができます。
最近では、みんなカメラ付きのスマホを携帯していますし、多くの人が「映える写真を撮りたい」という気持ちを持っています。このような気持ちになるのは「承認欲求」の表れと考えることができます。
つまり、映える写真を撮ってみんなにほめてほしい、認めてほしいという心理があるわけです。
台湾のタピオカティーの人気店が渋谷、原宿エリアに出そろい、そこでタピオカミルクティーを持って写真を撮る。それがSNS上で称賛され、それを見た人が行き、また写真を撮る……という流れができ、流行を勢いづかせたのです。
つまり今回のタピオカブームは「ミルクティーを買って、写真を撮り、アップロードするまで」のブームということもできるでしょう。
実際、タピオカ入り飲料を販売している店は「映え」を意識した、おしゃれできれいな雰囲気のいい外見、インテリアを備えていますね。映える写真を撮りたいというニーズに応えているわけです。
今回のタピオカブームについては、「インスタ映え」を意識する人々が大きく後押しした結果といえるのではないでしょうか。
さらに有馬先生にこれからはやりそうなものについて伺ってみました。
チーズティー
すでにプチブームといいますか、あちこちで取り上げられるようになっていますが、「チーズティー」は流行するかもしれません。チーズティーは、ウーロン茶、台湾茶、紅茶などの上にチーズクリームを載せたものです。
地方の「和ものスイーツ」
2019年は令和元年。この令和は「万葉集」から取られているということで、改めて万葉集に注目が集まったりしています。そこで和もの、特に地方にしかない和のスイーツなどは流行するかもしれません。
インバウンドが大きく増加し、その結果として改めて日本人が日本の魅力に気付くといったことも増えていますからね。
いずれにしても、個別に「これが流行する!」と当てるのは難しいことですが(笑)、何がはやるにせよその流行には「インスタ映え」など、SNSが大きな役割を果たすのではないでしょうか。
タピオカブーム復活には、インスタグラムなどSNSが大きな役割を果たしたとのこと。また、復活に先んじて台湾食の一般化があったようです。
実はタピオカブームというのは、今回で3回目。第1次タピオカブームは1992年のことですから、大学生読者のみなさんのお父さん、お母さんの世代ならご存じのはずです。ひょっとしたら、みなさんの子供が大学生になったころにまたタピオカブームが来るかもしれませんね。
イラスト:小駒冬
文:高橋モータース@dcp
教えてくれた先生

有馬賢治 Profile1962年愛知県生まれ。立教大学 経営学部教授。
1992年、早稲田大学 大学院商学研究科博士課程単位取得。著書に『マーケティング・オン・ビジネス―基礎からわかるマーケティングと経営』(新世社,2016年,共著)、『マーケティング・ブレンド -戦略手段管理の新視角』(白桃書房,2006年)、『Business Journal』連載「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」http://biz-journal.jp/series/k... 、「今さら聞けないマーケティング 基礎の基礎講座」 http://biz-journal.jp/series/k... などがある。