地域での農作業がキャリアの原点に──現場で学んだ経験が、経済産業省の仕事につながった
「経済産業省(以下、経産省)って、理系や経済学部の人が行くところでしょ?」──そんな固定観念を持つ学生は少なくないはず。
しかし、今回お話を伺った製造産業局の関さんは、農業・地域活性化という一見遠回りな経歴を武器に、日本の産業政策の最前線に立っています。農業というバックグラウンドをもつ彼女が、なぜ経産省の扉を叩くことになったのか。その軌跡と、仕事への思いを伺いました。

農村に通い続けた学生時代──「現場を知る」という原点
――大学時代はどのように過ごされましたか?
関さん:大学では農業系の学部に所属し、地域活性化や農山村地域について専攻。座学にとどまらず、週末や長期休みには実際に地方の農村地域へ滞在しました。
そこで、農作業や地域イベントの手伝いを通じ、現地の方々と深く交流する機会がありましたね。
――その経験は、今の仕事にどう生きていると感じますか?
関さん:大学での座学だけでなく、実際に地域の方と対話し、自ら作業を経験することで「現場のリアルな課題」を認識できました。この「現場の声を聴いて物事を考える」というプロセスは、今でも仕事の基本姿勢として染みついていると感じます。
また、所属していた「地域環境科学部」は、名前だけでは活動内容が伝わりにくい学部ですが、農業を軸に環境問題や社会システム、地域づくりを多角的に学ぶ場所でした。そこで培われた「現場に飛び込み、人の話を聞いて考える」というスタンスは、入省後も変わらず活きています。
加えて、幅広い分野を横断的に学んだことで、未知の領域に対する抵抗感がなくなりました。 その際に身についた「学ぶ姿勢」があるからこそ、現在の多様な業務にもアレルギーなく挑戦できているのだと感じます。

地方自治体の「土木職公務員」を目指していた私が、経済産業省へ
――経済産業省に入省したきっかけを教えてください。
関さん:実は、もともと経済産業省を目指していたわけではありませんでした。
大学で地方創生を学ぶうちに「広く社会に貢献できる仕事がしたい」と考えるようになり、当初は地方自治体の土木職を志望していたんです。
転機となったのは、就職活動の途中でたまたま参加した、経済産業省の説明会でした。そこで担当者の方からお話を伺う中で、経済産業省では国家公務員試験の農業区分や土木区分などの技術系で入省した職員であっても、事務系と分け隔てなく幅広い業務に携われることを知ったんです。
専門性に縛られず挑戦できる環境が非常に新鮮で、「ここなら自分の可能性がより広がるはずだ」と強く感じ、志望するようになりました。
農業系出身が鉄鋼業界へ──「知らない」を強みに変える
――現在、どのような業務に取り組んでいますか?
関さん:現在は製造産業局の総務課に所属しています。
主な業務は、諸外国による関税措置が日本の産業へ与える影響の把握や分析です。また、そうした措置を受けて困っている産業界の方々に対し、どのような支援策が必要かを検討し、取りまとめる業務も担っています。
――入省後、業務の中で一番やりがいのあった経験を教えてください。
関さん:昨年、製造産業局の金属課で鉄鋼業界を担当していた時のことが非常に印象に残っています。
国内の鉄鋼需要の見通し策定や生産計画に関する業務に携わったのですが、私は大学で農業系を専攻していたため、鉄鋼業界については全く知見がありませんでした。はじめは知らない専門用語ばかりで、覚えるだけでも必死でしたね(笑)。
ですが、実際に現場へ足を運び、業界の方々とたくさん会話を重ねる中で、少しずつ自分の中に知識が蓄積されていくのを実感できました。その「分かってきた」という瞬間の喜びは、今でもよく覚えています。
また、製造業を取り巻く様々な制度を運営する際は、業界の方々に内容を深く理解していただき、伴走しながら進めていく必要があります。現場の実態を丁寧に把握した上で対応に努めた結果、業界の方から「現場を理解して対応してくれてありがとう」と感謝の言葉をいただいたときは、この仕事ならではの大きなやりがいを感じました。
学生へのメッセージ──「自分の直感を信じて、飛び込んでみてほしい」

――最後に、就職活動中の学生へメッセージをお願いします。
関さん:経産省は、バックグラウンドにとらわれず、様々な業界や仕事に挑戦できる環境が整っています。
私自身、「土木区分で入省したら、その分野の仕事しかできないのでは」と思い込んでいました。しかし実際には農業系出身でも鉄鋼を担当し、現在は産業政策全般に関わっています。
ぜひ学生のうちに、一見「将来に関係ない」と思うことでも、自分の興味を掘り下げてみてください。
農村で泥まみれになった経験が、今の自分の「現場を見る目」の根っこになっているように、どんな経験も必ずどこかでつながっていきます。少しでも「面白そうだな」と感じたなら、自分の好奇心と直感を信じて、まずは話を聞きに来てほしいと思います。
農村を歩き回った学生が、日本の産業政策を支えるキャリアへ。一見すると「関係なさそう」な経験こそが、現場と政策をつなぐ唯一無二の武器になっていました。あなたの今の経験も、きっと未来のどこかで「線」としてつながるはずです。
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関係なさそうな経験が、いつか必ず仕事につながる。農村での学びを原点に、日本の産業政策を支える関さんの姿は、キャリアに正解はひとつではないことを教えてくれます。もし「理系・経済学部じゃないから」と敬遠しているのであれば、一度経産省のインスタグラムをのぞいてみてください。あなたのやりたいことが、ここで実現できるかもしれません。















