【朝日新聞の先輩社員】情報技術本部 開発部 ICTRADチーム:田口雄哉さん
2017年奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究所修了。同年、朝日新聞社に入社。
文系大学を卒業後、一度は就職したものの、自分のやりたいことを見つけ、大学院に進学。2年間の猛勉強を経て、朝日新聞社に入社した田口さん。そんな田口さんが行っている新聞社における技術開発の重要性や、田口さんが、本当にやりたいことに辿り着くまでのお話を伺いました。
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今のお仕事はどんな内容?
私は主に、自然言語処理という技術を朝日新聞のビジネスに活用するための研究と、プログラミングなどによる技術開発に取り組んでいます。例えば、新聞記事を「経済」「政治」などの項目別に分類する作業を今までは人の手で行っていたのですが、今は自然言語処理技術を生かして自動で行うことができています。
こうした開発の仕事をしつつ、他社と共同研究をしながら、さらに先の未来を見据えて自社に役立つような技術開発もしています。例えば、アメリカではすでに、スポーツの試合結果などのストレートニュースの記事をAI(人工知能)が書いているという例もありますが、近い将来は日本でもそのようになるように開発を進めているのです。だからといって、AIが記者にとって代わるということではなくて、朝日新聞社の記者は、特集記事など人間にしか書けない記事に集中できるようにAIが補助していく、そんな記者のアシストをしていけるような研究開発を日々行っています。
一番楽しかった&つらかった仕事は?
入社して間もない頃に、あるコンペティションに参加したいと上司に相談したことがありました。そのコンペティションは、人工知能の技術である機械学習の手法で、フェイクニュースを識別する国際的なコンペでした。テーマが新聞に深く関わるものであったことから、参加者名に朝日新聞社の社名を使って参加してみたいと思いました。ただ、日本だけでなく世界中の方が参加する大きなコンペティションでしたから、万が一ビリになったら世界中にそのことが知られてしまうリスクもあって、社名での参加は難しいと思いつつダメもとで相談してみたんです。それなのに、誰も止めないどころか、おもしろそうだからやってみたらと背中を押してもらって参加することができました。その結果、全世界で16位という結果を残せたのはうれしかったですね。
最終的にはビジネスにつながる成果を出すような研究はしなければならないのですが、「こういう理由で、こういう研究をしたい」と自分から研究テーマを提案したり、そうして提案したもので実際に研究開発をさせてもらえています。上司や幹部の人たちが描いたアウトラインに沿ってただプログラミングのために手を動かすというよりも、最初の構想時点から自分が関わらせてもらえているという実感があるので、とてもいい環境だと思っています。
今の会社を選んだ理由は?
実は私は朝日新聞社が2社目なんです。大学を卒業して最初に就職したのは、ウェブ系の会社で、編集やマーケティングの仕事をしていました。その仕事も楽しかったのですが、ウェブ系のメディアは新聞よりも更新回数が多いので、同僚にはある意味24時間情報ジャンキーになれるような人が多かったんです。でも、私はそうはなれないと思い、働くうちに自分の特性と噛み合っていないという気持ちが強くなっていきました。
そんなとき、以前から興味のあったテクノロジーをきちんと勉強してみようと思って、会社を辞めて大学院に入学しました。プログラミングの勉強は全くしたことがなかったのですが、いざやってみたら性に合っていたんですね。それで、そのまま博士課程に進もうかと考えていたときに、たまたま参加した就職フォーラムで、朝日新聞社の方が「これからは研究開発をしっかりやって行きたい」と話しているのを聞き、興味を持ちました。歴史が長く、データをたくさん持っている会社が研究開発を前向きに考えているなら、おもしろいことができるんじゃないかと思い、採用試験を受けました。