【明治の先輩社員】栄養商品開発部 開発2G:鈴木美記子さん
大阪大学大学院 医学部 保健学科卒。2010年入社。およそ5年間の研究職としての経験を経て、2017年4月より栄養営業本部 栄養商品開発部 開発2Gにて、粉ミルクの商品開発を担当する。
お菓子や乳製品、食品、飲料など多岐にわたる明治の製品の中で、栄養食品というジャンルに分類される粉ミルク。赤ちゃんの成長に欠かせない大事な食品です。今回は株式会社 明治でこの粉ミルクの研究、そして商品開発に携わっている鈴木美記子さんにお話を伺いました。
▼株式会社明治の先輩社員をもっと見る!
株式会社明治の先輩一覧
今のお仕事はどんな内容?
私が現在の部署に異動になったのは今年の4月からです。入社後1年間は、埼玉工場で粉ミルクを作る現場を学び、その後2年目から今年3月までは、小田原の研究所の乳児栄養グループというところで主に母乳研究やその結果を活用した粉ミルクの栄養設計の仕事をしていました。噛み砕いて説明しますと、母乳の栄養成分を分析して、粉ミルクをどのようにしたら限りなく母乳に近づけることができるか探る研究です。4000人以上のお母様から提供していただいた母乳をひとつひとつ分析していくのですが、母乳中には本当に多くの成分が含まれていて中にはすごく微量の成分もあるので、分析方法を構築するだけで一苦労ということもよくあります。また、個人差や日内変動が大きい成分もありますので、ただ測るだけでなく、結果を読み解く作業も大変重要な要素です。
国内では例を見ない明治ならではこだわりは、母乳や粉ミルクを飲んだ子供がどのように成長していくかまで追っていくこと。粉ミルクを飲んで育った子供と母乳で育った子供を比較して、同じように発育しているかどうかを約40年前から粉ミルクの栄養設計を変更する度に確認しており、今までに協力していただいた方は20万人を越えました。この調査では赤ちゃんの体重や身長だけでなく哺乳量やうんちの状態もチェックします。母乳育ちの赤ちゃんと同じように着実に成長することは粉ミルクを使う赤ちゃんの親御さんにとって最大の安心材料になると思うんです。近ごろでは乳児期に摂取したものや、胎児期の環境が一生の健康を左右するという研究結果も多く発表されていることを考えると、粉ミルクの栄養設計を行うことに改めて重い責任を感じます。
現在は栄養商品開発部へ異動になり、できあがった製品の情報をどのようにお客様に伝えていくかを考え、情報発信する仕事にも携わっています。粉ミルクのような栄養食品は商品の性質上、この成分はどういう理由で身体にいいのかなどきちんと説明しなくてはいけないので、パッケージひとつとっても他の食品とは違う難しさがあるんです。研究職時代に学んだ知識を活用しつつ、現在の研究職メンバーとも連携しながら、どうすれば製品の魅力が正しく伝わるかを考える日々です。
一番楽しかった&つらかった仕事は?
赤ちゃんの健康を考えた上で、粉ミルクに添加する必要がある成分があったのですが、粉ミルクは法律の規制が厳しい分野で、そう簡単には成分を増やすことができません。海外では普通に入れられている成分が、日本では規制されていて入れられないという場合がけっこうあるんです。お医者さんや学会の力を借りて、成分の有用性を会社から行政に数年をかけて訴え続け、最近、いくつかの成分の添加が認可されました。入れる必要性や安全性を検証し、またその成分の原料メーカーさんなどにも協力を仰ぎながら、何度も申請を重ねてやっと認可にこぎつけたときはうれしかったですね。
▲先天代謝異常症のための治療用特殊ミルク
明治では健康な赤ちゃんのミルクだけではなく、アレルギーや先天代謝異常をもつ赤ちゃんのミルクを製造し、そのラインナップは20種類を越えます。先天代謝異常用のミルクが患者さんに無償提供されていると知った時は驚きました。それぞれの病気に合わせて栄養設計上の細やかな配慮が必要で、要求される知識も多くて大変ですが、患者様のご家族から感謝のお言葉をいただいた時など、とてもやりがいを感じます。
実は、私には今2歳になる子供がいるのですが、子供を産む前と産んだ後では、粉ミルクに対する向き合い方が変わったと思います。乳幼児の栄養をより一層考えるようになったのはもちろん今まで当たり前に扱ってきた母乳サンプルや発育調査のデータの1つ1つに重みを感じるようになりました。
今の会社を選んだ理由は?
大学時代は医学部 保健学科に所属して臨床検査技師の資格を取得しました。資格、それも医療系の資格を取れば、一生の仕事にできると思ったのが志望理由ですが、病院実習をしたり、非常勤で働いたりするうちに考え方が変わっていきました。病院では薬を飲み、治療を受けて健康を目指すことが基本ですよね。そのように病気を治すことも大事ですが、そもそも病気にならないように健康な身体をつくることも大事なんじゃないかと考えるようになって。健康を「食」でつくることができればいいなと思って、食品関連の会社を何社か受けました。
なかでも明治を選んだ理由は、企業理念に魅力を感じたからです。私が入社した当時は、「明治製菓」と経営統合して今の株式会社 明治になる前の「明治乳業」だったのですが、「健康って美味しい」をスローガンにしていました。苦い薬を飲むんじゃなくて、おいしくって健康ってなんていいんだろうと。病院での治療以外にも、健康を目指す方向性はいろいろあるんだなと気づいたことが、そのまま「この会社で働きたい」という思いにつながっていきました。