大学生の一人暮らしでかかる費用の平均は? 1ヶ月の収入・支出目安と節約のコツ
これから大学に進学する人も、すでに進学している人も、一人暮らしを始める際には、「いったい、いくらかかるの? 」と気になるのではないでしょうか。
ここでは、一人暮らしで1ヶ月にかかる費用の目安、費用を節約するコツについてお伝えします。
大学生の一人暮らしの生活費用はどれくらいかかる?
平均的な一人暮らしの大学生を想定し、1ヶ月の生活費がいくらかかるか見てみましょう。
独立行政法人 日本学生支援機構が「令和2年度学生生活調査」を公表しています。令和3年9月30日に発表された大学昼間部の調査結果(速報値)から、全国の大学生の生活費用がどうなっているのかを見ていきましょう。
※ここから先のグラフは、独立行政法人 日本学生支援機構の「令和2年度学生生活調査」を元に著者が作成したものです。
一人暮らしの大学生の支出はいくら?
まず、一人暮らしの大学生の支出と収入について見ていきましょう。
国立大学で一人暮らしの大学生の支出
国立大学で一人暮らしの大学生の支出(年間)のグラフはこのようになりました。
- ・授業料など学費としてかかるもの:579,000円
- ・食費などの生活費としてかかるもの:1,142,800円
年間になるので、生活費としてかかっているものを12ヶ月で割ると、それぞれ
- ・食費:24,033円
- ・住居・光熱費:44,200円
- ・保健衛生費:3,350円
- ・娯楽・し好費:11,408円
- ・その他の日常費:12,242円
- ・生活費合計:95,233円
となります。
学費としてかかる579,000円を12ヶ月で割ると48,250円になるので、
1ヶ月あたりの学費の平均48,250円+1ヶ月あたりの生活費の平均95,233円=143,483円
国立大学に進学して一人暮らしをしている大学生の1ヶ月あたりの平均支出は143,483円になりますね。
私立大学で一人暮らしの大学生の支出
私立大学で一人暮らしの大学生の支出(年間)のグラフはこのようになりました。
- ・授業料など学費としてかかるもの:1,322,700円
- ・食費などの生活費としてかかるもの:1,091,600円
年間になるので、生活費としてかかっているものを12ヶ月で割ると、それぞれ
- ・食費:22,283円
- ・住居・光熱費:40,250円
- ・保健衛生費:3,592円
- ・娯楽・し好費:11,308円
- ・その他の日常費:13,533円
- ・生活費合計:90,967円
となります。
学費としてかかる1,322,700円を12ヶ月で割ると110,225円になるので、
1ヶ月あたりの学費の平均110,225円+1ヶ月あたりの生活費の平均90,967円=201,192円
私立大学に進学して一人暮らしをしている大学生の1ヶ月あたりの支出平均は201,192円になりますね。
生活費としての支出は国立大学でも私立大学でも大差なし
生活費としてかかる支出は国立大学でも私立大学でも大差ないようです。
- ・国立大学の1ヶ月あたりの生活費:95,233円
- ・私立大学の1ヶ月あたりの生活費:90,967円
私立大学は学費の負担が大きいのですね。
一人暮らしの大学生の収入は?仕送りやアルバイトはどうなってる?
一人暮らしの大学生の収入についても見ていきましょう。
国立大学で一人暮らしの大学生の収入
国立大学で一人暮らしの大学生の収入(年間)のグラフはこのようになりました。
- ・家庭からの給付(仕送り):1,164,800円
- ・奨学金:317,400円
- ・アルバイト:320,800円
年間収入を12ヶ月で割ると、それぞれ
- ・家庭からの給付(仕送り):97,067円
- ・奨学金:26,450円
- ・アルバイト:26,733円
- ・収入合計(1ヶ月):154,417円
となります。
支出の平均が10万円程度でしたので、数値だけ見ると5万円程度余裕がある状態ということになりますね。
私立大学で一人暮らしの大学生の収入
私立大学で一人暮らしの大学生の収入(年間)のグラフはこのようになりました。
- ・家庭からの給付(仕送り):1,637,100円
- ・奨学金:464,900円
- ・アルバイト:334,600円
年間収入を12ヶ月で割ると、それぞれ
- ・家庭からの給付(仕送り):136,425円
- ・奨学金:38,742円
- ・アルバイト:27,883円
- ・収入合計(1ヶ月):208,083円
となります。
支出の平均が9万円程度でしたので、数値だけ見ると10万円程度余裕がある状態ということになりますね。
私立大学の大学生の方が仕送りが多い
国立大学の大学生よりも私立大学の大学生の方が親からの仕送りが多くなっていました。
アルバイトで稼ぐ金額は大差ありませんでしたので、私立大学生の経済的な余裕は親からもたらされているといっていいでしょう。
一人暮らしの大学生で仕送りなしの場合の費用
収入と支出が出ましたので、大学生で一人暮らし、親からの仕送りが見込めないという人の収入と支出について考えていきましょう。
国立大学で一人暮らし:仕送りなしの場合
先ほど見たように、国立大学に進学して一人暮らしをしている大学生の1ヶ月あたりの支出平均は143,483円です。
国立大学の大学生の1ヶ月あたりの収入は154,417円でしたが、そのうち家庭からの給付(仕送り)が97,067円ありましたので、1ヶ月の収入は57,350円になります。
これを、1ヶ月の支出と比べると86,133円の赤字であることがわかります。
1ヶ月の平均収入57,350円-1ヶ月の平均支出143,483円=-86,133円
支出の中には学費を12ヶ月で割ったものも入っているとはいえ、9万円近い不足分を補うにはアルバイトを増やし、節約を心がけるより他ないでしょう。
私立大学で一人暮らし:仕送りなしの場合
私立大学の場合は、一人暮らしをしている大学生の1ヶ月あたりの支出平均は201,192円です。
私立大学の大学生の1ヶ月あたりの収入は208,083円でしたが、そのうち家庭からの給付(仕送り)が136,425円ありましたので、1ヶ月の収入は71,658円になります。
これを、1ヶ月の支出と比べると129,533円の赤字であることがわかります。
1ヶ月の平均収入71,658円-1ヶ月の平均支出201,192円=-129,533円
親の援助なしには私立大学への進学は難しいと言われる理由がわかる気がしますね。
お金の心配を少なく大学生活をするなら節約も大切
あなたがしっかり単位を取得しており、就職も決まっている大学4年生であれば、アルバイトをたくさんこなすなど収入を増やす手段もあるでしょう。
しかし大学1~2年生なら、授業にちゃんと出席して、単位を取ることが何よりも大事です。
「アルバイトに力を入れ過ぎてしまい、後になってから卒業できるか不安に……」
なんていうことになってしまっては、元も子もありません。
普段から意識して節約を心掛け、支出を押さえながら生活するのがとても大事になります。
ここからは、大学生の皆さんにもぜひ実践してほしい節約テクニックをご紹介していきます。
大学生の一人暮らしに役立つ食費の節約術
学生生活をエンジョイするためには、何よりも健康が一番です。毎日のご飯はしっかり食べましょう。
しっかり食べながら、食費を節約するための基本的な3つのポイントを伝授します。
食費節約の基本は自炊
住んでいる地域にもよりますが、外食すると1食につき500円はかかってしまいます。そのため、自炊を基本にしましょう。
ただし、料理初心者の人がいきなり難しいメニューにトライすると、手間もお金もかかってしまうはず。その結果、外食するより高くついてしまったという事態もあり得ます。
レシピ検索サイトで「簡単節約」などの検索ワードを入れ、そこからメニューを選ぶと上手くいきますよ。
友達と一緒に食事を作れば楽しみながら節約できる
自炊が基本と言いましたが、一人で作っていると、だんだんとワンパターンになるのも事実です。しかし、色々な材料が必要な料理だと、一人で材料を揃えていると予算オーバーになることも。そんなときは、友達を誘ってみましょう。
「うちで一緒にご飯作らない? 」と声をかけてみてください。特に鍋料理など材料の多さがものを言う料理のときは、この作戦が有効ですよ。
買い物と下ごしらえはまとめてやると時短になる
食費の節約は、買い物の段階から始まっています。なるべくなら、買い物の回数を減らしましょう。
週1~2回を目安にし、足りないものが出てきたらその都度補充するというパターンが理想的です。また、買ってきた食材は下ごしらえをしてから保存しましょう。野菜は切って冷凍する、肉・魚は下味をつけて小分けにするなど。
ちょっとひと手間加えるだけで、使いやすくなる上に保存も利きます。節約という意味では、食材をダメにするのは大きなマイナスなので、ぜひ心掛けてくださいね。
水道光熱費の節約術
日々生活していれば、水道光熱費が掛かります。これを0にするのはハッキリ言って無理でしょう。
上手に節約するには、どうすれば良いのか考えてみました。
シャワー・お風呂の入り方の工夫で節約に
疲れて帰ってきた後には、シャワーを浴びてさっぱりしたいですよね。
シャワーを使うときは時間に注意しましょう。一般的に、シャワーは1分間で12リットルの水を消費するといわれています。
一般的なお風呂の水量は200リットルとされているので、17分シャワーを出しっぱなしにしていると、お風呂の浴槽1台分の水を使ってしまう計算に。
シャワーを浴びるときは手短に済ませ、ゆっくりしたいときは浴槽にお湯を張ってつかることをおすすめします。
残り湯洗濯のポイントは洗剤の量
自分の家の洗濯機で洗濯をする場合、残り湯を使いましょう。「残り湯だと汚れが落ちないのでは? 」と思われるかもしれませんが、大丈夫です。すすぎを真水で行えば問題ありません。
残り湯を洗濯に使う場合は、ポンプがあると便利です。浴槽から洗濯機に、残り湯をスムーズに移動できます。ホームセンターや家電量販店に行けば2,000円程度で購入できるので、ぜひ使ってみてください。
ここで気を付けてほしいのが、洗濯をする際の洗剤の量です。使えば使うほど落ちるどころか、逆にすすぎに時間がかかってしまいます。当然ながら電気代や水道代もかかるので、節約の面からみると明らかにマイナスです。
コインランドリー派・自宅派の人の両方にいえることですが、洗濯をする頻度は週1~2回程度にしましょう。
一人暮らしであれば、洗濯物の量もそれ多くはないはずです。下着などは手洗いで済ませると、より洗濯物の量を少なくできますよ。
通信費の節約は格安SIMとモバイルルーターを徹底活用
大学生活にスマートフォンは必需品です。友達・恋人とのやり取りに活用している人も多いでしょう。また、インターネットに接続できるパソコンも不可欠。レポート作成やリサーチなど、使うシーンは思った以上にあるはずです。
しかしこれらの基本料金も、節約する上では気にしてほしいところ。例えばスマートフォンの場合、大手キャリアのデータ通信パックは月額3,000円以上します。
データ量が増えれば増えるほど、金額が上がるので注意が必要です。さらに、これに音声通話ができるようにするための料金も加わるので、携帯代だけで1万円を超えることも。
格安SIMなら、月額2,000円程度からデータ通信も音声通話も使えるパッケージが設定されています。これを上手に使えば、かなりの節約になりますよ。
また、「忙しくて家では寝に帰るだけ」という大学生の場合、モバイルルーターを契約して持ち歩くのもおすすめします。家にいないのに固定インターネット回線を引いてしまうと、基本料金ばかりかかってしまい、あまり使っていないという事態に陥ってしまう可能性があるからです。
格安SIMを使う場合は1か月に使えるデータ量に制限がかかっている場合も多いので、アプリのダウンロードや画像の視聴には気を付けてください。モバイルルータを使えば、データの消費量も少なくて済みますよ。
一番大きな固定費は家賃!節約するポイントは?
一人暮らしの場合、一番の支出になるのが住宅代(=家賃)です。この住宅代、どうすれば節約できるのでしょうか。
物件探しは大学近くの不動産業者を当たる
大抵の大学では、地元の不動産業者と提携しています。大学に通いやすく、家賃もリーズナブルで、ある程度状態のいい部屋を優先的に紹介してくれるので、ぜひ活用してください。
どこの不動産業者と提携しているかは、大学の生協・購買部に行けばすぐに教えてもらえます。
契約更新時に家賃交渉するのもあり
これは新入生というより、2~3年生の方に取り入れてほしいテクニックです。長く住み続けていれば、契約の更新を迎えるでしょう。その際に、家賃交渉をしてみてください。
不動産会社にとって、空室を作られるのは大きな損失です。「多少家賃が安くなってもいいから、住み続けてもらいたい」と考える担当者は多いでしょう。
交渉のタイミングとしては、大学の新入生が部屋を探す1~3月ではなくて、4~5月あたりが一番良いかもしれません。「自分だけでは交渉なんてできない」という方は、家族に手伝ってもらうのも1つの方法です。
生活スタイルの合う友人とルームシェアも検討して
1人では住めないような部屋でも、2人で住めば……ということで、ルームシェアもおすすめします。仲の良い友達がいれば、声をかけてみてください。
ただし、共同生活を営むわけですから、家賃や諸経費をどう折半するか、人を招き入れるときはどうするかなど、細かいところまでルールを決める必要があります。
もちろん、お互いの家族から承諾を得ることも大事です。上手に使えば家賃の節約効果は高いですが、それなりの気遣いも必要になる点を覚えておきましょう。
その他日常生活の節約術
大学生活をエンジョイしながら節約するためのテクニックはまだまだあります!
衝動買いはしない
「これ欲しい! 」と思ったら、その場で買ってしまってはいませんか?
たまになら構いませんが、いつもそんな状態では到底節約にはなりません。事前にしっかりリサーチをしてください。
価格比較サイトやインターネット通販を活用して、情報を見比べる癖を付けておきましょう。なお、電化製品の場合は人件費がかからない分、インターネット通販の方が一般的には安くなっています。
「時間がかかってもいいから安く買いたい」という場合は、ぜひ活用してください。
消耗品はまとめ買いしておく
トイレットペーパーなど生活に不可欠な消耗品は、インターネット通販でまとめ買いするのをおすすめします。
持って帰る手間がいらない上に、安いことも多いでしょう。節約の観点からは、買い物に行く頻度を減らすのがとても有効なので、通販もぜひ活用してくださいね。まずは自分の生活パターンを認識し、何をストックしておけばいいかを考えてみましょう。そこから、まとめ買いすべきアイテムを探せばバッチリです!
レンタル用品を上手に利用する
たまにしか使わないものなら、買わないで借りるという選択肢があるのも覚えておいてください。特にキャンプ用品やパーティードレスなど、普段使わないものはレンタルサービスを使ってみましょう。
デートには無料・格安スポットも取り入れる
彼氏・彼女がいる人なら、毎回のデートをどうするかは悩みどころなのではないでしょうか。お金のかからない楽しみ方も積極的に取り入れてください。
無料・格安スポットでも十分に楽しめる場所はたくさんあります。浮いたお金で、記念日デートに向けて備えるのも素敵ですよ。
高い参考書籍は図書館を活用
論文やレポートの作成のためには、綿密な情報収集が不可欠です。充実した図書館が使えるのが大学生の特権なのですから、ぜひ活用しましょう。
また、東京近辺に住んでいるなら、国立国会図書館もおすすめ。日本で出版されたほぼすべての本・新聞・雑誌の記事を閲覧できます。
マンガも所蔵されているので、「読んでみたいマンガがあったけど…」という場合に活用できるのもポイントが高いですね。初回に登録手続きを行う必要があるので、学生証を忘れずに持参しましょう。
飲み会の幹事は節約になる
大学生活では頻繁に行われる飲み会。ここにも節約のポイントが詰まっています。
レストラン予約サイトでは、お店によって「幹事割」を設けているケースがあります。つまり、宴会コースを予約すると幹事1名分の料金は無料(もしくは格安)になるというサービスです。
これを活用しない手はありません。浮いた分は、メンバーから徴収する会費を安くすることで還元すれば、とても喜んでもらえます。まさに一石二鳥ですね。
節約しながら上手に大学生活を楽しんで
一人暮らしでかかる費用の平均から、節約しながら大学生活を楽しむコツについて考えてみました。
節約となると、どうしても「お金を使わないこと」と考えてしまいがちです。しかし、一人暮らしの大学生がやるべき節約は「賢くお金を使うこと」です。
しっかり考えて、大学生活をエンジョイしてくださいね!
執筆:菊地美亜(ナレッジ・リンクス)
FP事務所シルバースプーン代表、AFP。一般企業の経理職や税理士事務所での勤務を経てライター活動を開始。税務会計の専門誌で記者を務める傍ら、FP資格を活かしたコラム等を執筆。