海外で家造りをする大学生!? 立命館アジア太平洋大学の「ハビタットAPU」に話を聞いてみた!
大分県にある立命館アジア太平洋大学(略称:APU)に、「ハビタットAPU」という国際ボランティア団体があります。このハビタットAPUは「海外で家を造る」といった活動をしているそうですが、主にどんな国で家造りを行っているのでしょうか。代表のアジア太平洋学部3年・山中脩平さんに詳しい活動内容や、その活動の魅力などのお話を伺いました。
■主に東南アジア、南アジアで家造りをする
――「ハビタットAPU」の活動について教えてください。
山中さん ハビタットAPUは、世界で住宅支援を行う国際NGO団体「Habitat for Humanity」(以下HFH)の学生支部です。そのため「家」に焦点を当てて活動しています。主な活動として毎年の春と夏の長期休暇を利用して、海外に家を建てに行きます。そこで掛かる費用は自費です。先ほど大まかに海外とは言いましたが、主に東南アジア、南アジアの国々で活動を行っています。
――自費だと負担も大きいのではないでしょうか。
山中さん より多くの方々にハビタットAPUやHFHの存在、現在のアジア諸国の貧困住居問題を知ってもらいたいという思いで、広報活動や啓発活動をしています。その広報活動の一環として、毎月一回最寄りの駅やデパートの前をお借りして募金活動をしています。そこで得た資金は、海外で活動する際に使用するセメントやレンガといった家を建てる上での大切な資材費へと変わります。
――ハビタットAPUはいつから活動しているのでしょうか? また、現在は何人くらいが所属されていますか?
山中さん ハビタットAPUは2006年11月3日に発足しました。現在のメンバー数は37人です。
■家があることは当たり前ではない
――ハビタットAPUの活動実績を教えてください。
山中さん 2007年から海外住居建築活動を行い、フィリピンに2回、タイに2回、ネパールに2回、インドネシアに2回、インドに2回、スリランカに2回、マレーシアに2回、カンボジアに1回、計15回渡航をして活動を行ってきました。直近だと、2016年2月にフィリピンのバンタヤン島で活動をしました。
――ハビタットAPUの活動の魅力を教えてください。
山中さん ハビタットAPUで活動をしていて思うことは、どんな活動を通してでも「誰かのために」という思いがあること。これが一番の魅力だと思います。活動の一番の軸である「海外での家建築」では、この家に住まわれる方のためにと思い、自分は頑張ることができます。またメンバーの誰かが頑張っていると、その人のために頑張れたりします。
――誰かのため、だからこそよりがんばれるのでしょうね。
山中さん 家建築に訪れる場所は初めて行くようなところばかりで、言葉も通じません。しかし自分が汗水垂らして頑張っていると、誰かが幸せになり笑顔が生まれます。その笑顔を見た瞬間が、言葉は通じなくとも「心で通じ合えた瞬間」だと僕は思います。こういった経験ができるのは非常に価値がありハビタットの魅力です。
――山中さんはハビタットの活動からどんなことを学びましたか?
山中さん 「家」の大切さです。私たちは大学生になるまで実家暮らしをして、大学に入学すれば1人暮らしをするなど何不自由のない生活を送っています。いつも出掛けるときは自分の家を出て、用が終われば自分の家に帰ってくる。家があるのが当たり前の生活をしています。しかしハビタットAPUに所属してから、アジア諸国の貧困住居問題について考えるようになり、家があることが当たり前ではない家族が世界中にはたくさんいるという事実を学びました。
――日本人にとっては考えられない世界ですよね……。
山中さん そういった事実を知り、海外に家を建てに行きました。僕が初めて活動に参加して訪れた国がインドでした。インドの村の人々はある程度家を保持していたのですが、見るからにぼろぼろで実際に人が住めるような場所ではない、そう思ってしまいました。でもそこに住む人たちからすればそれが当たり前です。最初はその差を知って複雑な気持ちになりました。しかしそこで「自分はインドに何をしに来たのか」を熟考して出た答えが、「現地の人たちにも家の大切さ」を知ってもらいたいということでした。
――家の大切さをあらためて知ってもらう、ということですね。
山中さん 本当に知ってもらえたかは定かではありませんが、家を建てることで「その人の幸せ」を建てることができたのだと感じました。これは今までの経験の中で一番濃いものになりました。周りから見れば自己満足だと思われるかもしれませんが、自分のしたことに間違いはないと誇りを持って言うことができます。