技術も心も磨く指導! 少年野球チームの若き監督は現役大学生!
長野県佐久市の少年野球チームに、現役大学生の監督がいるのをご存じでしょうか。長野大学社会福祉学部3年の尾沼秀一さんです。今回は小学生たちを率いる若き監督に、監督になったきっかけや指導する中で難しかったこと、また将来の展望などを伺いました。
■戸惑いよりも興味が強かった監督就任
――いつから監督をされているのですか?
尾沼さん 大学1年のときでしたので、2013年の冬からですね。
――監督をすることになったきっかけは何だったのでしょうか?
尾沼さん 大学1年の秋に、小学校時代に所属していた少年野球チームのコーチから「監督をやらないか?」と連絡を頂いたのがきっかけでした。
――引き受けることになった要因は何でしょうか?
尾沼さん 僕自身も小学校から野球を始め、中学・高校と続けていましたが、けがで野球の道を諦めてしまいました。それでもやっぱり野球が好きだし、何かの形で携わりたいと思っていましたし、また自分の知識を広めるのに役立つのではと考えて引き受けることにしました。
――戸惑いはありませんでしたか?
尾沼さん いえ、戸惑いはありませんでした。興味の方が強かったですね。
――指導されているのは、長野県佐久市の「中央区少年野球チーム」ということですが、どのようなチームですか?
尾沼さん 地域の育成会に所属しているチームでして、何度も市の大会でも優勝を経験しています。歴史も長く、自分が所属していた時期も考えると最低でも15-16年は続いているチームなのではないかと思います。恐らく長野県内でも長い方に入るのではないでしょうか。
――現在、何人が所属されているのでしょうか。
尾沼さん 現在チームは15人です。小学校3-4年生が中心です。毎年11月にシーズンが終わるのですが、その後の3-4月で毎年6-7人くらいが入ってきますね。
――実際に子供たちの監督になられてどうでしたか?
尾沼さん とてもにぎやかですね(笑)。
■技術だけでなく人間性も磨く指導
――指導面ではどうでしょうか? どんなことに苦労されていますか?
尾沼さん やはり子どもによってスタートが違うため、技術の指導は難しいと感じるところです。一番下は小学校1年ですから、上の学年の子とは筋力もかなり違いますし、全員に同じ練習をさせても効果が出ません。それぞれに合った指導を考え、実践しないといけない点は面白いですが、苦労する点でもあります。
――1年生と6年生では体格も大きく違いますよね。
尾沼さん 練習も基礎的なことを行なうとすごく地味になってしまって、子どもたちからするとつまらない練習になってしまいます。そうなると集中する時間も短いのでもっとしっかりやりたいのに……という感じになります。打撃練習などはすごく楽しそうにやります。子供たちの集中力との戦い、メリハリの部分は苦労します。
――集中力の管理も大事な仕事なのですね……。
尾沼さん 「野球をやるために集まっている」というスポーツ少年団と違い、親から行くように言われたり、友達が入っているから自分も入ったというような子もいます。そういった子はモチベーションの維持が難しく、例えばうまくできなかった場合はすぐにふてくされてしまう子もいます。時には、こちらが顔色をうかがっている状況になったりもします(笑)。ふてくされている時には指導してもほとんど聞いていないので、どのようにして指導するのかも難しい部分の一つですね。
――モチベーション維持も大事ではありますが、難しそうです(笑)。
尾沼さん ただ、そうした野球に興味のなかった子どもが、野球って面白いと思ってくれるとうれしいですよね。
――他には、指導する上でどういったことを心掛けていますか?
尾沼さん 指導した子どもたちに、中学、高校になっても野球を続けていてほしいと思っているので、勝ち負けに関係のない「野球の楽しさ」を感じてもらえることを心掛けています。また、野球の技術面だけでなく、「人間性」も大事です。例えばあいさつがしっかりできるなど、礼儀は大切にしています。
――野球に限らず、礼儀は大切なことですよね。
尾沼さん 「道具を大事にする」ということも重要なことです。野球道具は親御さんたちが働いたお金で購入されているものです。道具が揃っていること、野球ができることを当たり前と思わず、親への感謝の気持ちを忘れないようにしてほしいとの思いが、そこにはあります。これらは自分自身が野球をする中で学んだことなので、しっかりと子どもたちにも教えたいと思っています。
――技術面ではどうでしょうか?
尾沼さん 技術的な部分では、中学や高校での野球に生かせることを教えたいと考えています。技術的な部分は、自分自身もまだまだ分からないことが多いので、高校野球の指導者を中心にさまざまな野球関係者の方に話を伺い、自分も勉強しています。
話を聞かせていただくと、やはり人によって野球の考え方は違う部分があり、野球に対して考えが全て一緒ということはまずありません。さまざまな人から話を聞き、自分自身の野球の考え方を作っていきたいと思います。伺ったことを中心に、自分の考えも含めて子どもたちには指導しています。