合羽橋のプロに聞いた! いいフライパンってどんなもの? 選び方は?
みなさんは家でフライパンを使っているでしょう。フライパンはなくてはならない調理道具ですが、いろいろあってどんな製品を購入したらいいのか迷いませんか? 今回は、フライパンの選び方についてプロに取材しました。
東京都「合羽橋」で調理器具を販売している『飯田屋』の飯田結太専務取締役にお話を伺いました。飯田屋は大正元年創業の老舗専門店。飯田結太さんは、10歳のときにお母さんからフライパンをプレゼントされて以来、良質なフライパンにこだわり、コレクションしているほどの専門家です。
飯田専務に「いいフライパン選びのコツ」を伺いました。飯田専務によれば、「大きさ」「素材」「板厚」にこだわって選ぶのが良いそうです。
■1人暮らしなら「26cm」サイズを選ぼう!
まず「大きさ」(サイズ)ですが、1人暮らしの場合は、
●「26cm」のフライパン
を選びましょう、とのこと。フライパンは2cm刻みで製品がありますが、26cmサイズは1人暮らしには最適サイズだそうです。24cmだと、野菜炒めを作るときにキャベツなどの葉物がこぼれがち、とのことです。
また、できれば小さなサイズ、例えば20cmのフライパンと併せて2つそろえると便利だそうです。朝食の目玉焼きを作ったり、ちょっとウインナーを炒めたりといった場合には小さな方を使えばいいですからね。
■フッ素加工フライパンは「厚いもの」を選ぼう!
次に「素材」ですが、現在は「8:2」くらいの割合で「フッ素加工」されたフライパンを選ぶ人が多いそうです。フッ素加工されたフライパンは、こびりつかず洗うのが簡単ですが「それでも十分に手入れをしないといけない」とのことです。
というのは、素材(主にアルミ製)にフッ素を塗布した構造になっているのですが、「フッ素加工が摩耗して剥がれていく」からだそうです。そこで注目しなければならないのが「板厚」です。
厚ければ厚いほどその加工が長持ちするので、厚いものを選ぶのが良い、とのこと。「☆マーク」でその厚さを表現した製品がありますが、☆マーク6つで満点、4つ以上で「テフロンプラチナ」となるそうです。購入する際にはこのマークに注目しましょう。
厚いほどフライパンは重くなりますが、飯田専務によれば「頻繁に炒飯や野菜炒めなどで、フライパンをあおる調理をやる方以外は、そこまで持った重さを気にしないでもいいのではないでしょうか」とのことです。
また「最近はIH用フライパンも増えています。IH用の方が厚い場合が多いので、ガスコンロで使うにしても、あえてIH用の製品を選ぶのもいいでしょう」とアドバイスを頂きました。
*……「テフロン加工」も「フッ素加工」と同義です。
■フライパンはここに注意!
フライパンの扱いについて、飯田専務にお話を伺いました。
――フライパンの扱いについて注意する点を教えてください。
飯田専務 フッ素加工されたフライパンを使っていらっしゃる人が多いと思いますが、
●空だきはしない!
●調理後すぐに洗わない!
●洗うときは「金だわし」「たわし」を使わない!
●スポンジで洗うときも、研磨粒子が入っていないスポンジを使う!
に気を付けてください。
なぜか、フライパンを買うと「空だき」しないといけないと思い込んでいる人がいらっしゃいますが、それは「鉄のフライパン」や「中華鍋」の場合です。空だきをすると、その高温によってせっかく塗布されたフッ素加工が分解してしまいます。ですので空だきは絶対にいけません。
さらに、調理後にすぐに水を流してフライパンを洗う人がいらっしゃいますが、これは良くありません。フッ素加工は急激な熱変化に弱いのです。高温になったものを急激に冷やすと、塗布された部分が割れて剝がれてしまうのです。ですから、調理後しばらく置いてから洗うようにするといいでしょう。
洗うときには、「金だわし」「たわし」を使わないようにするのも、塗布されたフッ素加工が剝がれないようにするためです。また、スポンジであっても研磨粒子が入っているものは同様にフッ素加工を剝がしてしまいます。スポンジを買うときには、研磨粒子が入っていないことを確認してください。
そもそもフッ素加工は実は水に弱いのです。フッ素を塗布された表面は「多孔質」のもので、穴がたくさんあって、これが摩擦を軽減しているのですが、ここに水がたまりやすくなっています。水が入り込み、ここからフライパンを浸食し、フッ素加工が剝がれやすいのです。フライパンで、フッ素加工が剝がれるのは多くの場合「水」のせいです。