【理系学生に聞く】ものづくりにソフトウェアをどう活用した? シミュレーションのハードルを下げたツールとは

学生の窓口編集部

PR 提供:MathWorks Japan (マスワークス合同会社)
お気に入り!

あとで読む

学生が小型レーシングカーを作って競う「学生フォーミュラ」が、今年も9月に開催。ものづくりや車に情熱を注ぐ学生たちが全国各地から集まり、大会は大盛り上がりでした。

 今回は学生フォーミュラに参加した2人にインタビューを実施! ものづくりに興味を持ったきっかけや、小型レーシングカー作りの過程、実際に使用したソフトウェアなどをうかがいました。

今回、参加してくれた学生たち!

ふじわらさん

京都工芸繊維大学 工芸科学部 電子システム工学課程

ほしのさん

名古屋大学 工学部 機械・航空宇宙工学科

身近な人やものへの興味が、
進路選びのきっかけに

――今の学部を選んだ理由を教えてください。

父親が電気工作に携わっていたことが、工学系分野に興味を持った理由のひとつです。その分野の中でも、将来的に役に立ちそうな集積回路や電磁波工学を勉強しようと、電子システム工学課程に進学しました。

もともと車が好きだったことがきっかけです。自動車の工学について詳しく書かれた本を読んで、工学系学部を志しました。

――普段の授業や部活ではどのようなことを学んでいますか?

主に機械工学についてです。ものづくりのための環境も整っていて、機械加工体験を受講した学生は大学内の工作機械を使えます。

電子システムに関する理論の授業が多いです。マイクロコンピュータを扱ったこともあります。

学生フォーミュラでも活躍! 
小型レーシングカーを作る部活動

――授業以外でものづくりをする機会はありますか?

部活で学生フォーミュラプロジェクトに取り組んでおり、小型レーシングカーを作っています。

僕も部活で小型レーシングカー作りに力を入れています。学生フォーミュラへの参加を、学生主体で進めている部活です。

学生フォーミュラって何?

自動車技術分野で活躍したい学生たちが小型レーシングカーを開発し、技術や性能、デザイン、マーケティングなどを競う大会。技術力向上のほか、ものづくりの厳しさや楽しさを知ることを目的に開催。2024年9月には第22回大会が実施され、京都工芸繊維大学は総合1位、名古屋大学は総合2位に輝きました。

――部活の規模はどれくらいですか。

全体で約50人です。僕は電気自動車の車両制御を担当しました。システムを制御するために使う「ECU」という部品のプログラムを書く役割です。チームには少数ですが経済学部や情報学部の学生も参加していて、スポンサーへの情報発信など得意な分野を活かしています。

名古屋大学

アドバイスをしてくれる先輩も含め、全体で約50人です。僕はマシンの安定性に関わるサスペンションの設計と、「走行会」と呼ばれる試走の企画などを行いました。弊チームは所属学部によって担当する役職やパーツに制限を設けていないので、デザイン系や化学系の学生も設計などに参加しています。

京都工芸繊維大学

――学生フォーミュラに参加された経緯や興味を持った理由を教えてください。

新入生の頃、授業終わりに学生フォーミュラプロジェクトのメンバーから勧誘されたことが、興味を持った理由です。工学系の学部に入ったからにはものづくりをしたいと思っていましたし、以前から実績のある部活だったので入部を決めました。

車が好きだったことや、2019年に学生フォーミュラの大会をテレビで見たことがきっかけです。大学生になったらこういう活動がしたい、と強く思いました。

――開発した小型レーシングカーの特徴を教えてください。

2024年は、スピードを下げなければ曲がれない「低速コーナー」への対応強化をコンセプトにしました。2023年の大会で、ほかのチームよりも低速コーナーが弱い、という課題がわかったからです。また、今年から学生フォーミュラのコースが変更になり、低速コーナーがかなり増えたのもコンセプト設定に影響を与えています。スムーズにターンに入れるようボディを見直し、カーボンモノコックという軽量フレームを採用しました。

実際に大会に出た京都工芸繊維大学の小型レーシングカー

名古屋大学は毎年電気自動車で参加していることが特徴です。ここ数年はカーボンファイバーを利用した軽量な車体を採用し、4つのタイヤにモーターをひとつずつ配置しています。それぞれのタイヤの回転数を個別に決められるので、前輪を調整して加速力を高めたり、トルクベクタリング(※)をしたりできます。総合的に戦闘力の高いマシンをめざしました。

※トルクベクタリング:駆動力を左右のタイヤで変え、カーブの際の性能を高める技術

――開発中にこだわった部分を教えてください。

全体の得点を上げるために、「エンデュランス」と呼ばれる競技での性能を高めることにこだわっています。この競技では周回路を約20km走らなければいけないので、バッテリーの容量を大きくして耐久力はそのままペースを上げました。 ほかに力を入れたのは、トルクベクタリングです。今年は新たな制御方法を導入し、理想的な走行と実際の走行の差を補正するような駆動力を導き出しました。

名古屋大学の作業中の様子

コンセプトに沿って全員で開発することにこだわりました。2023年の大会でも優勝はできましたが、どうしてあのマシンが速かったのかわからない、というのが正直なところで。そのため今年はしっかり方向性を決め、各パーツがやりたいことをやるのではなく、同じ目標をめざして開発したんです。僕は目標となる具体的な数値を出す立場でもあったので、シミュレーションをたくさん行いました。

ものづくりの強い味方! 
学生からも好評の「MATLAB」

――どのような目的でシミュレーションを行いましたか?

まず設計の前段階でシミュレーションを行い、どのような数値目標にするかを決めていきました。最初にチーム全体でマシンの方向性を話し合うのですが、その段階ではまだ曖昧な表現になっています。これをもっと具体的な数値で表現するためにシミュレーションを用いました。

設計に必要なパラメーターを求めたり、限られた走行回数で成果を出したりするためにシミュレーションを行いました。事前にシミュレーションをしておけば、走行会を効率化できます。パラメーターはこれくらいの値にするとよさそう、こう入力したらこの出力が得られそうなど、シミュレーションのおかげで傾向がつかめました。

――シミュレーションにはどのようなツールを使いましたか?

「MATLAB」と、学生フォーミュラ向けパッケージに含まれている「Simulink」をよく使いました。ほかにも他社の解析ツールや流体力学解析のソフト、エンジン開発に用いられる解析ソフトなどを使っています。

僕も「MATLAB」と「Simulink」をシミュレーションに使いました。流体力学や材料力学をシミュレーションするときは、他社のソフトを用いています。

「MATLAB」とは?

MathWorks社が提供する、プログラミング・数値解析ソフトウェア。自動車の開発にも用いられており、データ解析やシミュレーション、設計などに活用されています。 また、「Simulink」はブロック線図環境を用いたシミュレーションが得意なソフトウェア。ほかのパーツやプログラムの影響を見たり、時間軸でどのような変化が起こるのかをシミュレーションしたりできます。「MATLAB」のアドオン製品なので、シミュレーション結果の解析やパラメーターの最適化に役立てられています。

「MATLAB」の詳細はこちら

「Simulink」は車両全体の開発に、「MATLAB」はタイヤのデータやログデータの解析に使っています。「MATLAB」は計算ツールに特化しているからか、あらかじめ入っている数式やプログラムが豊富だと感じました。 たとえば低速コーナーに進入するときの応答性を確かめるときは、二輪モデルを作ってシミュレーションを行い、適切なパラメーターを導き出しています。大まかな傾向をつかむには二輪でも充分なので、弊チームの技術力でも作れる二輪モデルでシミュレーションしました。

僕たちも最初は二輪モデルを用いて、加速競技に関するシミュレーションを行いました。旋回に関するシミュレーションをするときは、四輪モデルを使います。「Simulink」上でモデルを動かし、プログラムを書き換えるとどんな挙動になるのか検証してから走行会で実機を走らせました。

――使った感想はいかがですか?

とくに「Simulink」がなかったら、マシンの開発は難しかったと思います。イチから手書きでECUに組み込む制御プログラムを構築するのはさすがに無謀なので……。式を書いて入力すると、ほかのブロックから受ける影響を自動的に反映してくれるのも大きなアドバンテージです。そのためECUの選定をするときも、「Simulink」を使えることを条件にしています。

「Simulink」は操作が直感的で、プログラミング未経験者でも使いやすいと思いました。弊チームは学部に関係なくさまざまなパーツを担当しているので、知識や経験の差に関係なく使えるのはありがたかったです。

僕も最初に部活に入った頃は、プログラムのコードを手書きする知識や経験があまりなくて。それでもすんなりと使えたのは、「Simulink」の可読性の高さや直感的な操作のおかげだと思います。

ほかのシミュレーションツールは特定の言語やプログラミングの知識がないと操作が難しい場合もありますが、「Simulink」はブロック線図で表現されているのでわかりやすいですよね。あらかじめ豊富なブロックセットが用意されていますし、別の機能などを付け足したくなったときも比較的簡単にできました。

「MATLAB」のヘルプにも助けられました。サンプルのコードやブロック線図、ライブラリも充実していて、参考にできる情報が多いのも嬉しいです。 あと、「Simulink」は改変が簡単なのもよかったです。普通のプログラムでは、どこかを一箇所変えると、その影響がどこに波及するかを考えコードや数式を修正しなければいけません。でも「Simulink」では途中の変化を連続的に計算してもらえるので、デバックのしさすさを感じました。限られた開発期間を有効活用できて、とてもありがたいです。

――シミュレーションをすることで、どのような力が身につきましたか?

MATLABでシミュレーションのハードルが一気に下がりシミュレーション、開発、検証といった一連の流れを実行しやすくなりました。このサイクルを回そうという意識がチーム全体に芽生えたのも大きな効果です。

さまざまなものをモデル化して確かめてみよう、という意識が身につきました。部活だけでなく、普段の授業で使っている機械の挙動などについてもモデル化する意識を持てるようになったので、ものづくりに対する思考プロセスが変化したと思います。

――小型レーシングカー開発に、シミュレーションは必須だと感じましたか。

シミュレーションなしでは開発できないと思っています。学生はお金も時間も限られているので、何回もマシンを作り直すことはできません。だからこそシミュレーションでどういった挙動が起こるのかを事前に解析しなければ、効果的な車両開発ができないと思いました。

車を作ること自体はシミュレーションなしでもできるかもしれませんが、性能や後工程への影響を考えると、省かないほうがいいと思います。「こういう性能が必要だ」と明示するためにはシミュレーションが必要です。もしそれを勘で決めたとしても、目標を達成するためにどんなコードを書かなければいけないのかわかりませんし、実機の評価もできません。

将来は車を作る人に。
未来へつながるものづくりへの情熱

――小型レーシングカー開発を通して感じた楽しさを教えてください。

コンセプトに沿って設計をして、それがうまくいったときに楽しさを感じました。とくに今年は低速コーナーが続く「Mコーナー」という箇所でほかのチームと差をつけることができ、とても嬉しかったです。

学生フォーミュラ時の京都工芸繊維大学

狙い通りにマシンが動いたときはもちろん、新しい機能を実装しようと試行錯誤しているときがいちばん楽しいです。新たな学びを踏まえてものづくりをすることにも楽しさを感じます。

学生フォーミュラ時の名古屋大学

――将来はどのような仕事に就きたいですか?

まだ迷っていますが、一般車メーカーやレース業界のエンジニアとして働ければと思っています。学生フォーミュラでの経験を活かせると嬉しいです。

自動車開発の仕事に携わりたいです。大学に入る前はガソリンエンジンなど内燃機関の開発をイメージしていましたが、学生フォーミュラに参加したことで車両制御やECU向けプログラムの開発にも興味がわきました。希望通りの仕事を担当するのは難しいと思いますが、実現したら嬉しいです。

***

シミュレーションを取り入れた小型レーシングカー開発で、ものづくりのやりがいや楽しさを知った学生たち。シミュレーションのハードルを下げる「MATLAB」は、ものづくりに取り組み始めた学生の大きな支えとなっていました。自動車開発に限らず、幅広い分野のものづくりの味方となる技術計算言語ソフト「MATLAB」を、一度使ってみてはいかがでしょうか。

「MATLAB」の詳細はこちら

関連記事

「大学生活」カテゴリの別のテーマの記事を見る

編集部ピックアップ

学生の窓口会員になってきっかけを探そう!

  • 会員限定の
    コンテンツやイベント

  • 会員限定の
    セミナー開催

  • QUOカードPayが
    貯まる

  • 抽選で豪華賞品が
    当たる

一歩を踏み出せば世界が変わる無料会員登録

この記事に関連するタグ

あなたのきっかけを探そう

気になる #キーワード をタッチ

テーマから探そう

あなたへのきっかけが詰まった、6つのトビラ

会員登録でマイナビ学生の窓口をもっと楽しく!

閉じる
マイナビ学生の窓口に会員登録(無料)すると、
お気に入り機能などを利用してもっと便利にご活用いただけます!
  • 抽選で豪華賞品が
    当たる

  • 会員限定の
    学割でお買い物

  • 会員限定の
    セミナー開催