世界的ブームにも!? フランス人が日本酒を高く評価している件
世界的な和食ブームに引っ張られるように、日本酒の輸出が拡大しています。世界最高クラスの醸造技術をもって造られた日本酒の味は外国人をも魅了しているのです。今回は、その諸外国の中でもフランスにスポットを当てました。
■さすが美食の国!? フランスでは高価な日本酒が売れている!
日本酒の輸出拡大は、2015年(平成27年)2月付けの国税庁の「酒類の輸出金額・輸出数量の推移について」で確認できます。このデータによれば、輸出先の第1位はアメリカ、2位香港。3位韓国、4位中国、5位台湾となっています。
フランスはTop5には入っていませんね。でも、日本貿易振興機構(ジェトロ) パリ事務所による面白いデータがあるのです。
各国の日本酒輸入量(リットル)とその価格を併せて見て、1リットル当たりの単価を算出してみると、フランスは「905円/リットル」となります。この数字は、ヨーロッパの日本酒輸入量の多い国Top5(イギリス、オランダ、ドイツ、フランス、イタリアの順です)の中で、最も高いのです。
確かに輸出入業者が限られているなどのハードルがあって、地域によっては日本酒は非常に高価なものになります。それでも「さすがは美食の国」ですね。フランスの皆さんは、より高級な日本酒を飲んでいらっしゃるようです。
この単価の上昇は年推移でも裏付けられれています。
2000年:652円
2001年:658円
2002年:548円
2003年:563円
2004年:596円
2005年:499円
2006年:577円
2007年:714円
2008年:692円
2009年:755円
2010年:723円
2011年:801円
2012年:775円
2013年:905円
このように、変動はあるものの右肩上がりとなっています。
■フランスにおける日本酒の苦闘!
ジェトロのレポートによれば、日本酒のフランス進出は20年以上前にさかのぼります。1991年には『カーブ・フジ』という日本酒専門店がパリ市内にオープンしています(現在は閉店)。その後、さまざまな試行錯誤の中、徐々にではありますが認知は広がりました。
そして現在、フランス国内にも多くの日本食レストランがありますが、中には間違った日本酒の取り扱いをする店があるそうです。例えば、日本人がオーナーやシェフでない日本食店の場合、「Sake」とメニューにあるのに出しているのは「白酒」だったりします。
これでは日本酒が醸造酒ではなく、蒸留酒と思われてしまいますね。蒸留酒は常温保存ができますが、醸造酒の日本酒には冷蔵保存が必要です。せっかく本当の日本酒を置いてあっても保存状態が悪ければ味が落ち、飲み手にいい印象を与えられません。
実際、ニセ日本酒を出すお店も多いようで、日本酒を蒸留酒と思い込んでいるフランス人もたくさんいらっしゃるようです。日本酒をおいしく飲んでもらうためにもこのような誤解をなくす努力が必要なのです。
■しかし、日本酒への評価は高い!
和食のブームによって、徐々に本当の日本酒に触れるフランス人が増えています。また、本当の日本酒を飲んだフランス人の評価が高いことも分かっています。
例えば、ジェトロによる2012年のオンラインアンケートでは、
●日本酒を飲んだ経験のあるフランス人の70%が「高く評価する」
と答えており、「非常に低く評価する」の8%をはるかに超えているのです。
日本酒を飲んだフランス人からは「とてもフルーティーで肉料理にも魚料理にも合う」などの感想が寄せられています。
日本の文化である日本酒がもっとフランスで愛されるようになるとうれしいですね。
データ出典:国税庁「酒類の輸出金額・輸出数量の推移について」
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/sake_...
データ出典:「フランスへの日本酒の輸出 ガイドブック」
http://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/070...
(高橋モータース@dcp)