就活に必須の自己分析。その重要性がわかったならば、早速始めたいところ。どのように進めていくのがベストなのでしょうか。就活アドバイザーの才木弓加さんにお聞きしました。
私が提案する自己分析法はとてもシンプル。ただ一つのテーマ「中学、高校、大学の3つの時代それぞれで、最も打ち込んだこと」についてとことん考えるという「ワンテーマ自己分析」です。
人は誰でも、真剣に力を注いでいることに対しては壁にぶつかっても乗り越えようと努力するものです。結果が出なければ悔しくなり、よい結果が出れば嬉しいと感じます。つまり「最も打ち込んだこと」のエピソードには、その人の喜怒哀楽といった感情の方向性や、得手不得手などの能力・特性が凝縮しており、分析材料の宝庫なのです。
自己分析をはじめるには自己分析用のノートを用意します。文具店で買えるような一般的なものでOKです。まずは中学時代です。自分を振り返り「最も打ち込んだこと」を書いてみましょう。例えば「サッカー部の活動」「受験勉強」というように、短い記述で構いません。これがはじめの一歩です。ここで注意すべきは、きれいごとにしないこと。他人に誇れることや、輝かしい実績などなくてもいいのです。
ある就活生から「部活に打ち込んだけれど、一度も試合に出場したことがありません。それでもいいでしょうか」と質問されたことがありますが、自分が自信を持って打ち込んだと言えるのであれば、まったく問題ありません。自己分析は、他人と比較して評価するものではないからです。
「なぜ?」の繰り返しから自分が見えてくる
次に「なぜ打ち込んだのか」と質問をノートに書きます。そして、答えを考えます。
ここが最も重要です。
できるだけ詳細に、その時の状況や感情を含めて詳しく書きます。例えば、「部活の顧問に言われた一言がきっかけで打ち込むことになった」といった場合、その一言とはどんな言葉か、言われたときにどう感じたのか、までを詳細に書くべきです。「なぜ打ち込んだのか」の回答に「楽しかった」「好きだった」といった漠然としたものしか浮かばないこともあるかもしれません。そんなときは、「なぜ楽しかったのか」「なぜ好きだったのか」と掘り下げていきます。
「なぜ」の問いかけを繰り返していけば、詳細なエピソードが必ず出てきます。 1週間考えても「最も打ち込んだ」ことが見つからないならば、当時のことを部活の仲間や親に尋ねるのもひとつの方法です。例えば、自分自身は部活を頑張ったと思っていたのに、親から「中学時代は部活よりも英語の勉強を頑張っていたわよ」と指摘され新たな気づきになる、といったパターンも多いのです。
とりあげる「打ち込んだこと」を変更したときは、またノートに書くところから始めましょう。徹底的に自己分析をするならば3~6か月ほどかけるつもりで、早めに取り組むことをおすすめします。
文・磯野佳世子
才木弓加・プロフィール
大学などでの就職対策セミナーの講師を務めるかたわら、自ら就職塾を主宰し、 直接学生への指導にあたる。就職本も多数執筆。就職情報サイト 「マイナビ」(http://job.mynavi.jp/)では、 イマドキの就活のノウハウを熟知した講師として、エントリーシート、面接、自己分析、 就活マナーなど、多方面から「才木流」の内定獲得術を伝授。著書に「自己分析の「正解」がわかる本」( 実務教育出版社) 「サプライズ内定」(角川マガジンズ)「面接担当の質問の意図」(マイナビ)など。