日本語の大きな特徴の一つである敬語は、日本人でも使いこなすことはなかなか難しいもの。例えば、「やらさせていただきます」。使う側が丁寧に言ったつもりでもどこか違和感が残りませんか。ここでは、この「やらさせていただきます」について、就活生と面接官の問答を紹介しながら解説していきます。
面接官:「日曜日にイベントがある場合でも担当していただけますか?」
就活生:「はい、やらさせていただきます」(※1)
面接官:「サークルではなにか役職についていましたか?」
就活生:「はい、所属していたテニスサークルでは部長をやらさせてもらいました」(※2)
「やらさせていただきます」は最近よく耳にする言葉ですが、これは間違った日本語であり、上記の答え方はいずれも不適格です。
※1)
面接官:「日曜日にイベントがある場合でも担当していただけますか?」
×「はい、やらさせていただきます」
「やる」「させていただく」どちらも自分が「する」ことを意味するので、重複しています。
△「はい、やらせていただきます」
重複はなくなりましたが、「やらせて」になると、消極的に「やる」と言っているように聞こえがちです。
◯「はい、喜んで担当いたします」
言い切ることで、はっきりとした自分の意見として伝わります。
※2)
面接官:「サークルではなにか役職についていましたか?」
×「はい、所属していたテニスサークルでは部長をやらさせてもらいました」
※1)と同様に重複しており、間違った敬語の使い方です。
△「はい、部長をやらせてもらいました」
敬語の重複はありませんが、「やらせて」だと請け負った感じに聞こえます。
◯「はい、部長をしておりました」
不必要な敬語がなく事実がすっきりと伝わります。
「やらさせていただきます」は明らかな誤用だとして、「やらせていただきます」について、文化庁の答申は以下のようになっています。
「(お・ご)……(さ)せていただく」といった敬語の形式は,基本的には,自分側が行うことを,ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われます。したがって,ア),イ)の条件をどの程度満たすかによって,「発表させていただく」など,「…(さ)せていただく」を用いた表現には,適切な場合と,余り適切だとは言えない場合とがあります」
物事の背景や文脈を考えて、敬語は正しく使う必要があります。これを機会に日常使っている日本語、敬語を考え直してみてはいかがでしょうか。
(マイナビ学生の窓口編集部)