働く仲間の成長を“見える化”! コナズ珈琲が始めた新しい取り組み「マハロ制度」に注目
就活生や経営を学ぶ学生さんは、「人的資本経営」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これは社員を資源ととらえ、その価値を最大化して企業価値を高めようという考え方で、2023年3月から大手企業約4,000社に情報開示が義務化され、注目が集まっています。
この人的資本経営をさらに発展させた「心的資本経営」を推進しているのが、丸亀製麺など複数の飲食ブランドを展開するトリドールホールディングスです。
創業者で代表取締役社長の粟田貴也さんは、グループブランド「コナズ珈琲」の新しい人事評価制度の発表会に登壇し、その背景にある考え方を語りました。
心的資本経営とは何か
トリドールHDは心的資本経営を、
「従業員の“心の幸せ”と、お客様の“心の感動”を共に重要な資本ととらえ、どちらも満たし続けることで持続的な事業成長を実現する経営思想」
と定義しています。
粟田さんは、この考え方に至った背景をこう話します。
「多くのお客様は商品だけでなく、作られる過程や体験価値にも興味を持っています。モノを売るから、体験を売るという考え方に変わっていきました」
実はこの発想は、丸亀製麺の原点でもあります。丸亀製麺では、国産小麦・水・塩のみを使い、店内で粉から麺を打つ「手作り・打ち立て」を全店舗で実施しています。効率化とは逆行する“非効率の良さ”に価値を見出し、体験価値を提供してきたことがブランドの特徴です。
「手作り・打ち立てを大切にして体験価値を作ってきました。従来の効率化とは逆の発想ですが、この独自性が今日まで続く理由だと考えています」(粟田さん)
この体験価値が「お客様の心=感動」を生み、働く従業員の「心=ハピネス」とつながる──これが心的資本経営の根幹です。トリドールHDは、この循環を「ハピカン繁盛サイクル」と呼んでいます。
“心の充足”が企業成長のエンジンになる
粟田さんは、心的資本経営の本質を次のように語ります。
「売上や利益を追求するほど、働く人の心の充足が重要になります。スタッフの心が満たされてこそ、お客様に感動を届けられるのです」
そのために欠かせないのが、自分を理解してくれる仲間とのつながりです。安心できる職場で、仲間に理解されていると感じられることが、働くうえで大きな支えになると言います。
「今まではトップダウンの外発的動機が成長エンジンでした。それを社員の内発的動機へと変換する。それが心的資本経営の最も重要なポイントです」(粟田さん)
コナズ珈琲が導入した独自の評価制度「MAHALO(マハロ)」
この“内発的動機”に基づいた人事制度として、グループであるコナズ珈琲が導入したのが「MAHALO(マハロ)」です。代表取締役社長の阿部和剛さんは、制度の狙いをこう説明します。
「マハロは、人の要素に着目した取り組みです。仲間の成長にどれだけ貢献したかを可視化し、組織の成長につなげます」
飲食店の評価は通常、売上・利益、品質、サービスなど定量的な指標が中心です。しかしマハロでは、これまで見えづらかった「仲間の成長への貢献」を評価軸に加えています。
阿部さんは、現場で耳にした声が制度の着想になったと話します。
「『●●さんのおかげで成長できました』というスタッフの声をよく聞きました。仲間の成長の裏には必ず誰かの貢献がある。その行動に光を当てたいと思ったのです」
マハロの仕組み
マハロは次の3つで構成されています。
●全従業員の年間成長度合いを評価
●成長に応じて「成長感謝ポイント(MAHALO)」を付与
●仲間から贈られたMAHALOを集計し、貢献度として支援者に還元
従来の定量評価は継続しつつ、マハロで“人の成長”にフォーカスすることで、個人のペースに合わせた成長を正当に評価する仕組みになっている説明します。
「覚えるのに時間がかかる方でも、自分のペースで成長していけば、それは立派な成長です。その歩みをきちんと認めたいのです」(阿部さん)
もちろん、人が人を評価する以上、周囲との関係性による偏りのリスクはあります。しかしそれ以上に、仲間の成長を支え合う文化を重視したいとして、導入したそうです。
インターンが体験できる?“成長の可視化”
大学生がもしコナズ珈琲のインターンに参加すれば、マハロを通じて自分の成長を実感できるはずです。
「多くの企業が“成長を評価する”とうたっていますが、実際にその成長がどれだけ見える形になっているかというと、まだ十分とは言えません。マハロは、行動や数値として自分の成長を確認できる仕組みです。 だからこそ、学生の皆さんにとっても「自分はどこまでできるようになったのか」「どんな力が伸びているのか」を実感しやすい環境になるはずです。働くことを通じて得られる成長を、自分の目で確かめられる体験になるでしょう」
「1〜2ケ月でもできることが増え、『もっとできるはずだ』という実感が得られます。短期間で“自分は成長している”と確信できる体験は、学生さんにとって大きな財産になるでしょう」
マハロ制度は、仲間の成長を支え合う姿勢を評価として見える形にした取り組みです。 心的資本経営という考え方のもと、従業員の心の充足とお客様の感動を両立させようとする姿勢は、これからの働き方を考えるうえでも大きなヒントを与えてくれます。
人の成長を中心に据えたこの仕組みが、今後どのような広がりを見せるのか注目したいところです。





























