【どうする⁈ 闇バイト対策】「知っていても防ぐのが難しい……」闇バイトのリスク回避に必要な3段階の備えとは? #あつまれ!_おどおど学生。
近年、「闇バイト」という言葉を耳にする機会が増えました。その危険性や違法性については、多くの人がすでに知っているはずです。
それでもなお、闇バイトに関わってしまう人が後を絶たない。
この現実は、この問題が「知識が足りなかったから」「常識がなかったから」という理由だけでは説明できないことを示しています。なぜなら、闇バイトが悪いことだという認識自体は、知識としては誰でも理解できることだからです。
本稿では、闇バイトの背景にある構造と人が追い込まれたときに起こり得る判断の揺らぎに目を向けながら、なぜこの問題が「他人事」では済まされないのかを考えていきます。
元凶はどこにあるのか?
まず、はっきりさせておきたいことがあります。闇バイトの元凶は、人を平気で騙し、他者を利用することに罪悪感を持たない人間が存在するという事実です。
人の不安や弱み、焦りにつけ込み、場合によっては「正しいことをしている」「役に立っている」といった感情さえ利用する。そうした倫理観から大きく逸脱した存在が、この問題の出発点の一つにあります。
ただし、そうした人間を断罪することと、「どうすれば闇バイトに巻き込まれずに済むのか」を考えることは、別の話です。
重要なのは、最初から関わらないために何ができるのか。そして、仮に接点が生まれてしまった場合に、どうやってそこから距離を取るのかを、現実的に考えることです。
「わかっている」はずなのに、なぜ誘いに乗ってしまうのか……
もちろん、誰もが常識的に考えれば「おかしい」「怪しい」「危ない」と感じるはずです。それでも誘いに乗ってしまう背景には、さまざまな事情があります。
たとえば、違法性や問題があると理解しながらも、目先の金銭を選択してしまった。
その背景には、将来に及ぶ影響やリスクを十分に見積もれていなかったという現実があるかもしれません。あるいは、家庭の事情で明日の生活に困っていたり 、「未成年だから大丈夫だろう」と安易に考えてしまったりすることもあります 。
こうした事情があるとき、人は普段通りの冷静な判断ができなくなります。特にインターネットの匿名性が人を大胆にさせ、一時的に規範意識を低下させる「ネット人格」の状態では、普段なら選ばないはずの選択肢に飛びついてしまうリスクが高まります。こうした心理状態は、決して特別なものではなく、誰にでも起こり得るものなのです。
研究と実践から見えてきたこと――塩田先生との取り組み――
こうした問題意識のもと、LINEヤフー株式会社では、CSR活動の一環として、青少年向けの情報モラル教育に継続的に取り組んできました。その取り組みの一つとして、静岡大学の塩田真吾先生と連携し、闇バイトをテーマとした教材開発と共同研究(※)を行いました。
この研究と実践を通して強く感じたのは、闇バイト対策は「知識を伝えるだけ」では不十分だということです。必要なのは、以下のようなステップを踏んだ「闇バイトのリスク回避に必要な3段階の備え」です。
<ステップ1>
「自分ごと」として考えることがすべての出発点
「自分には関係ない」と思った瞬間、考えることは止まってしまいます。
塩田先生との教材でも重視されているのが、この「自分ごと化」です。 「もし本当にお金に困ったら」「追い込まれた状況に置かれたら」――自分にも起こり得る問題として捉えることが、すべての出発点になります。闇バイトを"遠い世界の出来事"にしない。そこからしか、次のステップには進めません。
<ステップ2>
想像する力と、情報を見極める力を鍛えること
前提としての「自分ごと化」の次に必要なのは、少し先を想像する力、そして目の前の情報を見極める力です。
その仕事を引き受けた先に、どんな未来があるのか。良い結果だけでなく、悪い結果や取り返しのつかないリスクも含めて、複数の可能性を思い描けるかどうか 。
併せて、「ホワイト案件」「即日即金」「荷物を運ぶだけ」といったSNS上の甘い言葉に潜むリスクを見抜く力も不可欠です。
具体的な勧誘フレーズを分析し、自分がどのようなシチュエーションであれば誘いに乗ってしまう可能性があるかをあらかじめシミュレートしておくような学びが有効です 。
想像力と見極める力を働かせることで、「警察に相談する」「信頼できる大人に相談する」といった行動も、いざという時の現実的な選択肢として浮かびやすくなります。
<ステップ3>
一人で抱え込まないことが、最大の予防策
闇バイトに関わった人の多くが、すぐに警察へ相談できるわけではありません。
すでに関わってしまったという「後ろめたさ」や、自分にも責任があるのではないかという不安が、相談への一歩を重くしてしまうからです。
しかし、最初から「悪いことをしよう」と考えていた人ばかりではなく、結果として加害の側に立ちながらも、心理的には強く追い詰められ、孤立している場合も多いのです。
だからこそ、困ったときは相談していい、助けを求めることは恥ずかしいことではないという認識を、社会全体で共有していくことが重要です。
もし、すでに関わってしまい、自分や家族への脅迫を受けて動けないのであれば、警察庁が「相談があれば本人だけでなく、家族も保護する」と異例の呼びかけを行っていることを思い出してください。
*警察相談専用電話「#9110」: 事件化する前の不安や悩み事も受け付けています
*消費者ホットライン「188」: 怪しい勧誘やトラブルの際の窓口です
追い込まれた判断を生まないために、私たちが考えるべきこと
闇バイトをなくすことは、簡単ではありません。しかし、「自分には関係ない問題ではない」と考え、想像し、情報を見極め、相談できる環境を整えていくこと。その積み重ねが、闇バイトに巻き込まれる人を一人でも減らすことにつながるはずです。
そしてもう一つ。自分自身が、いつか誰かにとっての相談役になれるよう、日頃から意識しておくこと。それもまた、この問題に向き合うための、現実的で大切な行動の一つではないでしょうか。
※関連リンク
・闇バイト防止教育:"闇バイト"を自分ごととして考える
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/csr/article/056/
・闇バイトに注意!あなたを犯罪に巻き込む手口
https://guide.line.me/ja/security/illegal-parttimejob.html
文: 西尾勇気(LINEヤフー株式会社 サステナビリティ推進CBU CSRユニット)
編集:学生の窓口編集部


























