“不安”を“前向き”に変えてくれた留学経験者たちのリアル体験談!「トビタテ!留学JAPAN 留学体験発表会」をレポート

ガクラボメンバーで現在大学3年生の優太です。
今回、私は2025年12月14日に法政大学市ヶ谷キャンパスで開催された、官民協働海外留学支援制度『トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム』の留学体験発表会を取材しました。留学に興味はあるものの、これまで海外で生活した経験がなく、言葉や文化の違いに対して漠然とした不安を抱いていました。しかし、今回の取材を通して、実際に留学を経験した高校生や大学生のリアルな声に触れたことで、その不安は少しずつ和らぎ、留学に対する印象が変化しました。未知の世界への不安だけでなく、挑戦をすることで得られる学びや成長の大きさを知り、留学は『不安なもの』から『前向きに考えたい選択肢』へと変わりました。
トビタテ!留学JAPANとは?
「トビタテ!留学JAPAN」は2013年に開始した、政府だけではなく、官民協働のもと社会総掛かりで取り組む「留学促進キャンペーン」です。第1ステージ(2013年度~2022年度)では、主な取り組みである、民間寄附による海外留学支援制度『日本代表プログラム』において約9,500人の若者が採択され、グローバル人材としての成長を遂げているそうです。2023年度から第2ステージ(2023年度~2027年度)を実施しています。
「看護を変えろ!診療看護師の活動を学ぶ」 大阪医科薬科大学 看護学部看護学科 渡邉優太さん
世界最先端の診療看護師(Nurse Practitioner:以下NP)を学ぶため、アメリカで医療と教育の両面から学びました。「看護学生は留学に行かないほうが良い?」「課題、実習、定期テストで時間がない?」「院生になってからではだめなの?」留学を考える過程で様々な意見をもらうことがありました。でも、「自分は今行かないと意味がない、こういうキャリアを積みたいから今行きたいんだ」と、行かないほうが良いのかなと息苦しく思ったこともありましたが、渡航したアメリカでは人の優しさや尊さを感じることができ、自分を応援してくれる人がいるんだと思いました。自分の殻を抜け出せたし、海外に行くことの意味を感じました。
病院実習や大学講義を通じて、医療の重要性やNPの役割や仕組みを理解しましたが、日本ではまだ認知が低く、留学やテーマへの理解も得にくい中で支えてくれた方々や、諦めず挑戦した経験は、国を超えて未来を変えられると信じる原動力となりました。
「ロボットによるスタンダップコメディの研究」 芝浦工業大学 工学部 電子工学科 ウォンカム真生路(マイケル)さん
AIロボットは人々に明るい未来を届けられるのか。この問いのもと、作業機械から人の心に寄り添う存在へ進化するロボット研究に取り組みました。ゲームを止めたいのに止められない、ホームスクーリングをしていた高校生時代。かつての自分のように、孤立や依存で苦しむ若者を救いたい。ロボットというと“生活を効率化すること”に目を向けられがちだと思いますが、人を幸せにするロボットを開発したいと思いました。「人はどうすれば幸せになれるのか?」工業大学ではこういう研究は難しいため、ロンドンではクリエイティブロボティクスのパイオニアの先生に師事し、この研究をすることができました。留学先では会話型ロボットに文化の異なるコメディアン・ペルソナを統合し、2度のロボットコメディを実施。その成果を国際学会で発表し、論文投稿も行いました。
ロンドンで一番ウケたコメディは、ChatGPTからジョークが出たら「つまんねーな」と突っ込むスタイルで、人間とロボットとの掛け合いを観客が笑ってくれました。このユーモアシステムを医療や教育現場に持っていくために、今は基盤を作っているところです。メンタルヘルスや孤独解消に応用し、自身の弱さとも向き合いながら、テクノロジーで人を支える未来を創りたいと考えています。
「主権者教育・シティズンシップ教育」と「若者の政治参加」 中央大学 法学部 宇惠野珠美さん
若者の投票率が高く民主主義指数でも上位を誇るスウェーデンとドイツで、「日本版・連邦政治教育センター」創設を目標に留学しました。以前「具体的な時事問題が学校で取り扱われないのはなぜ?」と思い、 “たま時事活動”という時事ネタを取り上げて発信する活動をしていました。そこから主権者教育を考え始め、日本には主権者教育を支える取り組みが不十分だと感じました。日本にも連邦教育センターのような役割を担う場所を作りたい。スウェーデンは若者の投票率が8割もあるため、10か月間、学校訪問や政党青年部への参加、民主主義フェスティバルの取材を実施し、民主主義がしっかりしている国の主権者教育を見てきました。
ドイツでは3か月間のインターンをし、最初は「ドイツ語ができないとだめだ」と言われましたが、熱意を買ってもらえました。そして次第に、「もし日本で、あなたが主権者教育をやりたいなら協力する」と言ってくれました。政治教育を担う公的機関やNGOで学び、教育によって民主主義を支える仕組みを探究しました。来年は選挙権年齢18歳引き下げから10年。日独コンソーシアムの立ち上げを目指しています。熱い思いがあれば道は開ける、大学院ではメディアの視点で研究を進めたい。共同通信社で4年間インターンをした経験も活かし、コンストラクティブジャーナリズムを軸に、“どれだけインプレッションを稼ぐか”ではなく、メディアはもっと対話を促すことができるのではないかと考えています。
「アイルランド×日本の教育をテーマに日本の教育問題の解決に取り組む」静岡文化芸術大学 国際文化学科 佐々木楓さん
将来高校教員を目指す立場として、大好きなアイルランド・ダブリンの高校で学校フィールドワークを行いました。現地大学に通いながら、高校でアシスタントとして日本語授業をサポートし、独自の教育制度「トランジションイヤー」を参加観察しました。日本食レストラン訪問や大学授業体験の引率も行い、興味の積み重ねが進路につながること、支える側として学びを広げる意義を実感しました。
また、私はずっと「普通になりたい」と思っていました。そんな自分が先生になりたいと思っています。留学は、とにかくやってみる行動力と自分ならできるという自信を持つこと、今の興味関心の積み重ねが人生になるし、予想もしなかった世界での経験ができる。アイルランドでは、生徒たちの成長に一番のやりがいを感じて、自分も伴走者のような教員になりたいと思いました。それが具体的にどんな存在かわからなかったけれど、「私もわからないから一緒にがんばろう」といえる存在がきっとそうなのかなと思います。生徒たちはちょっと興味をもっても、本当にやりたいかわからない。私は生徒たちの目を見て、表情を見て、目の色が変わるときに背中をポンと押したい。生徒のことをよく見たい。そんな先生になりたいと思います。
「チベット仏教僧院留学」東京大学 文学部 乾将崇さん
留学は門、入ってみないとわかりません。大学でチベット語を学び、14世紀の本を読んでいます。高野山でも4か月修行しました。チベット仏教の僧侶の様子を知りたくてトビタテに挑戦し、僧侶たちとチベット語で問答をしていました。帰国後はチベットの僧院についてウィキペディアを書いているので、読んだら「これ乾が書いてるんだな」と、僕のことを思い出してください。
ハーバード大学では宗教と学問が融合しています。自分もそのパイオニアになりたいと考えていて、これからアメリカの大学院に7年ほど行ってきます。人類が今まで思いついていないことを積み上げていきたい。チベットの門での学びから、“門は入ったら出ないといけない、出ないと理解されない” ということを学びました。出方がわかると様々な門に入っていける、これからも様々な門に入ってみたいと思います。
「若者の自己表現と居場所のヒント」島根大学 医学部 沼田実久さん
児童精神科医を目指す医学生で、将来は子供のメンタルヘルスをみる医者になりたいと思っています。自分が生きづらさを感じていたこともあり、島根で出会った演劇のコミュニティで、感情を開放できる場所があることを知りました。自分がマイノリティだけど強い、自分の居場所を作るという気概。そこから「演劇療法」に関心の持ち、留学先のデンマーク、イギリス、トルコでは、障害をもった子供やその裏にある家庭環境に触れ、教科書では見られない、生の体験を得ました。
私は、自分の生きづらさを抱えている人が吐き出せる、聞いてもらえる場所を作りたいと思っています。居場所は人によって違うと思いますが、否定せずに聞いてくれる人や場所、それが“居場所”だと思います。居場所は自分の力で見つけていかなくてはいけない、留学先で心に残った言葉は、「マイノリティは自分で自覚できない、一歩外に出ないと自覚できない」ということです。そういう経験がない人は自分がマジョリティだと思っているし、無意識の差別にも繋がると思う。自分が普段関わらない人と関わること、都会はコミュニティができやすいのでそういった利点も活かしながら、日本全国に発信するような活動ができたらと思っています。
「重度知的障害者の働き方を変える!」東京科学大学 環境・社会理工学院 茂呂征弥さん
重い知的障害を抱えた人を巻き込んだ、新たな参加型デザイン手法を確立し、彼らの働き方を変えたいと思っています。フィンランドのオウル大学では、参加型デザインを体感し、当事者目線を重視した新たな開発手法を目的とする研究に取り組みました。
私の兄は重度知的障害者で、その経験を背景に、重度知的障害者の家庭内教育と身辺自立療育の成功事例を基にした研究に取り組んでおり、重度知的障害者の方とのワークショップを今後実施予定です。障害者の方が上流に参加することで、日本の従来のプロダクトアウトが変わっていく。今の障害福祉は、課題を発掘して終わっているところがあります。デザインリサーチャーのいいところは、工学のところまで、社会に届けるところまでを担っているところです。課題を発掘して工学に繋げ、あわよくば作るというところをやっていきたい。重度知的障害がある人でも目線や表情で感情を読み取ったり、家族との関わりを通して意見を聞いたり、文字が書ける人もいます。今後はニューロデバイスの活用についても着目をしていて、脳波、脳科学の活用も検討していきたいと思っています。
「持続可能なまちづくり × 行動デザイン」慶應義塾大学 総合政策学部 磯野アサさん
「デザインで持続可能なまちづくりを実現する」をテーマに、世界一周留学に挑戦しました。米国ポートランド州立大学で都市のサステナビリティを学び、欧州や中米ではエコビレッジや国際NGOでボランティアを実施。計画から交渉まで自ら行う中で多くの困難に直面しましたが、人とのつながりに支えられ乗り越えました。楽しさが人と環境を結び、持続可能性を育むことを実感しました。
留学先は5か所で、世界一周旅行のようでした。良いことも課題も現地の人に聞く、自分の手を動かすということは、トビタテだからこそできたと思っています。夢は公に宣言すべし! 着いた当日にスーツケースが壊れたりしましたが、どんなに大変でも新しい発見や気づきが合って面白い。持続可能なまちづくりや、ものを大切にする心、もったいない精神、サーキュラーエコノミー。留学は行きたい気持ちだけでは足りなくて、準備がとても大切だと感じました。
「ゴールキーパーとして世界へ!」市川高等学校2年 松倉七海さん
日本では人気が低い女子サッカーのゴールキーパー(GK)が、なぜ強豪国では支持されているのかを探るため、アメリカのIMGアカデミーのサマーキャンプに参加しました。60カ国以上から集まった選手と共に、1日4時間の練習やリーダーシップ、筋力トレーニング、回復方法の授業を受講。
そこで、人は3種類の環境で成長できると思いました。自分が一番レベルの低い選手でいるとき、周りについていかなきゃいけない。次に真ん中のレベルにいるときです。真ん中のレベルにいるときは、どう突出した存在になるか。キャンプ後半の第三週は参加人数が減り、“一番責任感がある人”として自分の存在を確立しました。3種類の環境を経た中で、自分のレベルが一番低い環境が一番合っていると感じました。この学びを忘れたくない、一ミリも無駄にしたくなくて、毎日ノートに残しました。
アメリカにしかいない友達もできました。留学というのは、とにかく人との関わりで、留学は絶対に一人ではない!これだけは本当に覚えていてほしいと思います。
ゴールキーパーは背が高くてごつい人というイメージがあり、自分のように小柄な人が目指すイメージがないかもしれません。でも自分はスポーツが得意です。そしてゴールキーパーは、強豪国の中では取り合いになるようなポジションです。また、Jリーグの2025シーズンでは、鹿島アントラーズの早川友基選手が、15年ぶりにゴールキーパーとしてMVPを受賞されました。これをきっかけに、ゴールキーパーの魅力に気づいてくれる人が増えると嬉しいです。
練習で苦労したのは、フロリダが今住んでいるところの何倍かというくらい暑かったこと。午後にクールダウンしたら鼻血が出たり、慣れない環境で3週間一人でというのは自分にとって大変なことでした。でもそんなフロリダの強い日差しや多くのハプニングを乗り越え、学生アスリート育成の在り方とGKの価値を学びました。
取材を終えて
トビタテ留学発表会を取材し、留学は語学力の向上だけでなく、自分自身を大きく成長させる経験だと感じました。発表者たちは、現地での失敗や困難も率直に語り、それを乗り越えた過程から多くの学びを得ていたのが印象的です。また、留学の目的や学びの形は一人ひとり異なり、自分なりの課題意識を持って行動することの大切さが伝わってきました。今回の取材を通して、挑戦する勇気が新たな可能性を広げることを実感しました。





































