過去の失敗が頭から離れない…「フラッシュバック」の正体とは? 『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』#Z世代pickブック
こんにちは! Z世代ブックピッカーのひっきです。
心理学に関心がある人は多いと思いますが、SNSなどでもよく目にする「フラバ=フラッシュバック」とはどんなものなのでしょうか?
今回は「フラッシュバック」について、公認心理師・みき いちたろう氏の著書『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)よりお届けします。
フラッシュバック(恥の感覚、自責感など)
「フラッシュバック」とは、不意にトラウマ記憶が蘇り、再体験することをいいます。戦争を描いた映画などで、帰還した元兵士が庭でくつろいでいると、ペットの犬が茂みを通りガサガサッと音を立てた途端に戦場の光景が蘇り呼吸が荒くなりドッと汗をかいて、といった場面がありますが、PTSDによるフラッシュバックの典型的なシーンです。
実際には、フラッシュバックにも様々な種類、程度、現象があり、トラウマを理解するためには、フラッシュバックの身近な例について知る必要があります。
従来は重篤なケースをもとに言語的フラッシュバック、認知的フラッシュバック、行動的フラッシュバック、生理的フラッシュバックといった分類が用いられてきましたが、ここではより身近な特徴をもとにご紹介したいと思います。
恥や惨めさのフラッシュバック
まず一つ目は、「恥や惨めさのフラッシュバック」です。過去に自分が行った言動や体験が極度に恥ずかしく惨めなものに感じて、記憶が思い出されるとその場で声を上げたくなったり、独り言を言ってしまったり、いても立ってもいられなくなるようなことです。こうした恥や惨めさのフラッシュバックは発達性トラウマなど日常で慢性的なトラウマを負ったケースにとても多いのです。
恥や惨めさのフラッシュバックでは、例えば恥や惨めさを想起させるような過去の写真や映像などを見ることができないことがあります。恥ずかしさが湧いてきて冷や汗をかき、思わず声を上げたくなります。他人が恥をかいたり、笑われたりしている様を見て自分も恥ずかしくなることを「共感性羞恥」といいますが、例えばテレビ番組を見て自分の恥ずかしさを掻き立てるような場面を見るとチャンネルを変えたりすることもあります。
自責のフラッシュバック
もう一つよく見られるフラッシュバックとして、「自責のフラッシュバック」があります。自分の言動を振り返って自分を責める感覚が湧いてくる。頭の中で自分を罵倒する、自分を責めるのです。「死ね!」と声が漏れることもあります。
自責は、半ば人格化しているケースも多々あります。独立した人格のように、もう一人の自分が自分を責めてくるのです。自責は、それまでの人生の中で受けた他者の言葉、汚言などを内面化したものであることが多いです。
こうしたフラッシュバックが引き起こされる状況を回避するようになり、行動が制約されることもしばしばです。常にフラッシュバックが起きないように、起きたときに反応が外に漏れ出ないように、自分の内面をコントロールしようと努力しています。それが不自由さと疲労をもたらします。
実際には、恥や惨めさのフラッシュバックや自責のフラッシュバックはしばしば複合して生じます。
例えば、過去の失敗が思い出されて、「うわー」と声が出そうになったり、ついつい顔を覆いたくなる、独り言を発してしまう、といったことは身近に起きるフラッシュバックの症状ですが、恥や自責があわせて襲ってきます。発達性トラウマ、複雑性PTSDなど慢性的なトラウマの場合、トラウマの原因となった出来事が襲ってくることだけでなく、トラウマを負ったことでうまくいかずに失敗した出来事、自暴自棄になって起こしてしまったこと、他者を傷つけてしまったことなど、派生して生じたことが蘇ることもとても多いです。
あるいは、自分の人生全体を恥だとしてトラウマとは関係ない過去や最近の出来事が否定的に想起されることもあります。こうした際にも恥や惨めさと自責などが複合して襲ってきます。
その他、様々な形で現れるフラッシュバック
思考がぐるぐる回ってシミュレーションを繰り返す、というのもフラッシュバックの一種と考えられます。過去に負ったハラスメント体験など、屈辱的な状況を反芻して、次はどう対応しようか、どう言い返そうか、といったことが止まらなくなるというものです。過去のトラウマ体験を投影するような対人で恐れや不安を感じたときにもぐるぐる回るシミュレーションは生じます。
さらに、フラッシュバックに関連した事象ですが、過去の人間関係をすべて切ってしまうこともあります。過去の人間関係に触れることで、そのときの惨めさが蘇ることから逃れるためです。
その他、なんらかの感情を伴うフラッシュバックもあります。例えば、不安や怒りのフラッシュバックです。不安や怒りなどの感情が押し寄せてきてその感情が収まらない、というようなことです。パニックが伴うこともあります。なぜ、感情が出てくるのかについて、ほぼ無意識下で生じているために本人も認識することができません。通常は感情調整の問題とされますが、フラッシュバックの一種だと捉える必要があります。
また、キレたり(行動的フラッシュバック)、過去に受けた虐待の跡が身体に浮き上がったり(生理的フラッシュバック)ということもあります。性的なハラスメントを受けた方が、異性の匂いや仕草を感じて気分が悪くなる、動悸がするといったこともあります。
フラッシュバックが強い場合は、いわゆるパニックと似た症状を引き起こすこともあります。
重いケースでは、フラッシュバックとあわせて人格が変わることがあります。否定的な認知と相まって認知や記憶が歪んでしまうこともあります。例えば、医師やカウンセラーから普通に診察、カウンセリングを受けただけですが、「ひどいことをされた」「こんなことを言われた」と後にクレームとなって担当者が驚く、といった場合はフラッシュバックに伴う認知や記憶の歪みなどが考えられます。
Z世代ブックピッカーのレビューコメント
「フラッシュバック」の事例は、漫画やドラマなど、様々なコンテンツでもよく描かれているので、過去のトラウマが起因しているということをイメージしやすかったです。「共感性羞恥」という言葉は、最近よく使われているなという印象ですが、他人が恥をかいている様子から、自分の過去の恥や惨めさも想起しているのだということを知って驚きました。様々なフラッシュバックが複合して起こるという特性ゆえに、苦しんでいる人が多いのだろうと思います。
『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』
著者:みき いちたろう 発売:2023年2月17日 定価:1,320円 (税込み)
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
詳細ページ:https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2934-4
書籍レビュー:
読み終わる頃には、今までうまく言語化できなかった不安な感情が何だったのか気付けるようになると思います。「自分を大切にすること」は当たり前にすべきことなのに、意外とできていなかったことに気付かされました。また、人を尊重するためには、その人のことを受け入れることから始めますが、自分の想像の及ばない人に出会ったとき、「何かしらの生きづらさを感じているのではないか」と想像を働かせ、受け入れ、尊重できるようになれたら良いなと思いました。




























