名著がコミカライズされるまでの秘話~KADOKAWA『猫語の教科書』編集者さんの想いを出版甲子園の学生が聞いてみた!

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出版甲子園実行委員会のゆか(大学2年生)と、あい(大学1年生)です。

皆さんは、1964年にアメリカの小説家ポール・ギャリコによって書かれた『The Silent Miaow』という作品を知っていますか?“猫による、猫のための処世術を書いた一作”となっていて、『猫語の教科書』(筑摩書房)という題名で邦訳作品も出版され約20万部のベストセラーになった名著です。2024年7月、KADOKAWAからこの作品がコミカライズされ発刊されたとのこと!

本記事では、KADOKAWAで『猫語の教科書』の編集を担当された社員の方のインタビューをお届けします。普段なかなか聞くことのできない書籍編集の裏側を知ることで、読むのがもっと楽しくなるかもしれません。

『猫語の教科書』がコミカライズされた背景

今回お話を伺った担当編集者さんが所属するのは、KADOKAWAのビジネス編集部。てっきりコミック編集の部署から刊行されたものだと思っていたら、違うんですね!ビジネス編集部では、ビジネス書に限らず、歴史本や法律書、健康本など、学びのある書籍を幅広く手掛けているそうです。

『猫語の教科書』は「世界の名著を漫画で気軽に楽しみ、学びを得てほしい」という想いで始まったシリーズ・ KADOKAWA MASTERPIECE COMICS の第1作目なのだそう。プロジェクトメンバーのみなさんでアイデアを出し合いながら、約3年かけて出版まで漕ぎつけたシリーズとなっているそうですよ!

どのように漫画家さんを決めるの?漫画家さんとの秘話も…!

『猫語の教科書』で、ぜひ目を凝らして見ていただきたいのが、漫画で登場する個性豊かな猫たちの表情です。

漫画家さんを決める際には過去作品やX(旧Twitter)、pixiv(ピクシブ)などに投稿された作品を読んだりして、適任の方を探しているのだとか。本作は個性豊かな猫たちが活躍するお話なので、過去に猫が登場する漫画『吾輩は猫であるが犬』(祥伝社)が話題となった沙嶋カタナさんにお声がけしたそうです。

沙嶋カタナさんは、ご自身も猫を飼われている愛猫家とのことで、『猫語の教科書』に登場する猫たちの個性豊かで可愛らしい表情や仕草からも、沙嶋カタナさんの猫愛が伝わってきます。猫が好きな方なら「あ~、あるある!」ときっと魅了されるはず。

ちなみに沙嶋さんには、“印税が入ると、新しい猫が家を訪ねてくる”というジンクスがあるそうです!今回『猫語の教科書』が刊行された際にも、生まれたての子猫がふらっと現れたとのこと。「今ならあの家でたっぷりもてなしてもらえるぞ!」と、まるで猫間で情報がまわってるのか!?と、思うほどだそう。「タイミングを見はからって確実に飼い猫になる……まさに『猫語の教科書』の教えを実践していますよね(笑)」と、沙嶋さんは話していたそうです。

普段ビジネス書の編集している編集者だからこそ、活かせた強みは?

“楽しく読んでもらうだけでなく、そこからいかに学びを得てもらうか”という視点は、ビジネス編集部ならではの強みではとのこと。

表紙からもまるでビジネス書のようなスタイリッシュさも感じられ、装丁(そうてい)や構成など、いたるところにビジネス編集部ならではのこだわりが見え隠れしている一冊となった、と語っていらっしゃったのも印象に残りました。実際に手に取ってみて、中身が漫画であることに驚いた方もいるのではないでしょうか。
※装丁:製本の仕上げとして、書物の表紙・ 扉 とびら ・カバーなどの体裁を整えること。(コトバンクより)

また、原作のイメージをできる限り再現するために、舞台となったイギリスのコミュニティーセンターに資料を取り寄せたり、大使館へ連絡してみたり…漫画家さんが絵にしやすいようにかなり細かい気配りをされたそうです。

古今東西の名著とされる書籍をマンガ化するにあたり、編集者として気を付けたことは?

小説は受け取り手によっていろんな感想を持てるもので、同じ人が読んでも、読むタイミングによって好きなところが変わったりもします。さまざまな受け取り方がある中で、原作ファンの方が読んでも納得できるような漫画に仕上げるには、担当編集者自身の個人的な解釈や受け取り方になるべく偏らないようにすることをこころがけたそうです。そうすることで誰もが自分なりに解釈できるような懐の深さのある漫画を目指したと語られていました。

一方で、沙嶋カタナさんが漫画を描かれるにあたって、沙嶋さんが描くからこその魅力も伝えられるように配慮したとのことでした。

「原作者ポール・ギャリコが一番伝えたかったことは何か」、担当編集者さんと沙嶋さんで何度も議論を重ね、最終的に「人間は愚かで弱く、過ちも多く犯す生き物だが、最後に愛というものがある。それゆえ猫は人間を許し寄り添ってくれている」これが彼の一番伝えたかったことではないかと考え、作品に反映したそうです。

学びを得るだけでなく、原作への扉を開きたい!担当編集者さんの想いとは?

コミカライズされた『猫語の教科書』を読んだ方にとって、何かひとつでも学びや糧になることを得てもらう狙いがありますが、読んだ方が原作にも興味を持ってくれたらうれしいとも話されていました。「原作への扉を開きたい」というお言葉を担当編集者さんがおっしゃっていたことがとても印象的でした。

また、原作を読んだことがある方にも、本作品を読んで「もう一度原作を読もうかな」と思ってもらいたいと語ってくださいました。原作に戻ったり比べたりすることは翻訳小説やコミカライズ作品を楽しむ醍醐味のひとつもありますよね。

読者の方々にこの作品を原作と同じくらい自由に楽しんでもらい、各々の学びや楽しみ方を見つけてもらえたら嬉しい!とのことです。

取材を終えて

名著を漫画にして読むという KADOKAWA MASTERPIECE COMICS シリーズの第1作目。お話を伺い、担当編集者さんや漫画家さんがいかに原作を大切にしているかがひしひしと伝わってきました。原作を漫画で再現するための取材の数々についてもお話いただき、1冊の本が世に出るまでに注がれる想いの強さを改めて実感することができました。聞いている私まで「多くの人にこの本が届いてほしい!」と思いました。(by ゆか)

編集者さんの「名著を漫画で楽しく読んでもらうだけではなく、そこから学びを得たり原作を読んでみたりして欲しい」という“学び”に対しての真摯な想いに胸が熱くなりました。忙しい大学生活の中で忘れかけていた“学ぶことの喜び”を再認識できる取材でした。『猫語の教科書』やこれから刊行される同シリーズ作品に一読者として大きな敬意と愛を表したいと思いました。(by あい)

アメリカの小説家ポール・ギャリコの原作が漫画でいきいきと蘇った本作『猫語の教科書』の背景には、漫画家さんと編集者さんの原作と学びへの真摯な思いがありました。

「世界の名著を読んでみたいけど、文字で読むのは少しハードルが高い」「ちょっと知的な本を気軽に読んでみたい」という学生のみなさん…!まずは漫画を気軽に手にとってみてはいかがでしょうか。

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詳しくはこちら
取材・文/出版甲子園実行委員会 ゆか・あい
編集/学生の窓口編集部

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【HP】http://spk.picaso.jp/

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