「望遠鏡」でどこまで遠くの宇宙が見えますか? #もやもや解決ゼミ

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望遠鏡でどこまで宇宙が見える?(pixta)


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今回のテーマは「望遠鏡でどこまで遠くの宇宙が見えますか?」です。「宇宙、それは最後のフロンティア」なんて言葉もありますが、夜空の星にはロマンがあります。さて、現在望遠鏡でどこまで遠くを見ることができるのでしょうか。

今回は、小惑星に自身の名前が付いている※天文学者、鳴沢真也先生にお答えいただきました。

※2023年11月、『国際天文学連合』(IAU)が小惑星26828を鳴沢先生にちなんで"Narusawa"と命名しました。この小惑星は北海道のアマチュア天文家の男性2人が発見したものですが、東亜天文学会に所属しているので、命名提案権を同会の山田義弘理事長に一任。山田理事長は、これまでの研究成果などから鳴沢先生を選びました。

これ以上遠くは見えないという限界がある!

まず「これ以上遠くは見えません」という原理的な限界があります。「事象の地平線」というのですが、宇宙にも地球の水平線や水平線みたいなものがあるのです。水平線の先は望遠鏡を使っても見えないでしょう?

この事象の地平線が138億光年遠くにあって、ここが原理的な限界です。いくらすごい望遠鏡を使ってもそれ以上遠くを見ることはできません。

最近の天文学者は望遠鏡を覗かない

天文学者というと、皆さん望遠鏡を覗いている姿を思い浮かべるかもしれませんが、それは200年ぐらい前の天文学者です。現在の天文学者は望遠鏡を覗きません。

望遠鏡は、電子的に処理された観測画像を得られるものとなっているので、肉眼で見て観測したりはしないのです。

宇宙から来る光は望遠鏡に装着された半導体に当たると電子に変換されますが、光をデジタル信号に換えて、それを基に画像を生成したり、いろいろなグラフを作ったりして分析するのです。

天文学者が手で望遠鏡を動かすこともありません。座標を入力すれば、望遠鏡が自動でそこに向いてくれます。ですので、最近の天文学者の大半は星座もあまり知りません。

また、リモートで望遠鏡をコントロールできますから、望遠鏡が設置されている現地に行かなくてもいいのです。自宅でも望遠鏡を動かして観測できるようになっています。

138億光年から「40万光年手前」まで観測できた!

↑「ウィルソン山天文台」にある「フッカー望遠鏡」(本文参照)PHOTO(C)Craig Baker

では、どのくらい遠くまで見えるのか?ですが、「覗いて見える望遠鏡」で世界一大きいのは「フッカー望遠鏡」※ですが、鏡の直径が2.5m。この望遠鏡を使うと、恐らく120億光年先の銀河を見ることができます。

※アメリカ合衆国のカリフォルニア州ロサンゼルス郡にある「ウィルソン山天文台」に設置されています。

↑西はりま天文台(pixta)

私が勤務していた「西はりま天文台」の望遠鏡は直径2mです。「フッカー望遠鏡」よりもちょっと小さいサイズですが、こちらを使ってもなんとか120億光年先をかすかにではありますが、見ることができました。

ですので「約120億光年先」――これが覗いて見る望遠鏡の限界です。

では、現在の観測に使われる「撮像する」望遠鏡で見られる限界はというと……。厳密にいうと違うんですが、最近の望遠鏡は、まあ簡単にいえばデジカメみたいなものです。

アメリカ合衆国のNASAが直径6mの「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」を宇宙に打ち上げていますが、これを使うと――はるか遠方は誤差が大きくなるので正確には分かりませんが――ひと声、137億光年先が写ります。

宇宙にあるので、空気の影響を受けず、より遠くをシャープに撮像することができるのです。

また、光ではなく電波を用いて宇宙を観測することもできます。宇宙全体からは電波が出ているのですが、電波望遠鏡はこれを捉えます。

すでに1964年には、ビッグバンから40万年たった後に発せられた電波を観測することに成功しています。

限界である138億光年の「40万光年手前」まで観測できたのです。これは、ビッグバンによってこの宇宙が生まれたことの決定的な証拠であり、すごいことです。


◇けつろん!

「どこまで遠くの宇宙が見えますか?」については、そもそも観測の限界は「138億光年まで」だが、その40万光年手前までは電波望遠鏡で捉えることができる、となります。覗(のぞ)いて見る望遠鏡を使った場合には、約120億光年先まで見える――です。


◇おしえてくれたせんせい

鳴沢真也

Profile
『兵庫県立大学』自然・環境科学研究所勤務。理学博士。

1965年、長野県生まれ。福島大学卒業、同大学院修了。広島大学で博士号取得。宮城県立高校の理科教諭を経て、1995年~2023年『兵庫県立大学 西はりま天文台』勤務。2023年4月から現職。

天体物理学とSETI(地球外知的生命探査)を専門とする。2005年に望遠鏡「なゆた」で日本で最初の光学SETI(OSETI)を開始。2009年に行われた全国同時SETI観測実験のプロジェクトリーダーを務める。『宇宙から来た72秒のシグナル』(2009年)、『へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星』(2016)、『連星からみた宇宙 超新星からブラックホール、重力波まで』(2020年)など著書多数。

文:高橋モータース@dcp
編集:学生の窓口編集部

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