【身近なモヤモヤを解決!】ノンアル飲料なのにアルコールを飲んだ時のように気分が高まるのはなぜ? #もやもや解決ゼミ
日常に潜む「お悩み・ギモン」=「もやもや」を学術的に解決するもやもや解決ゼミ。今回は、「ノンアルコール飲料」がテーマです。近年の健康ブームで「ノンアルコール」の人気が高まっています。ノンアルコールなのに、「酔ったときのような心地よさ」が味わえるのも、人気を後押ししている要因のひとつ。なぜ、アルコールが入ったお酒を飲んだときのように気分が高まるのでしょうか?
食品科学・栄養科学を専門に、飲料や食品による気分転換効果を測定する研究を行っている、龍谷大学の山崎英恵教授に答えてもらいました。
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アルコールを飲んだときの記憶が作用している
アルコールが0%のノンアルコール飲料は、アルコールが含まれていないものですから、「酔う」ことはありません。では、なぜお酒を飲んだときのように気分が高揚したり、リラックスしたりするのかというと、そこには「脳の記憶」が関係しています。
ノンアルコール飲料は、一般的なアルコールが入ったお酒に似た味やフレーバーです。そのため、ノンアルコール飲料を飲んだ際に、本物のお酒を飲んだときの感覚が思い出され、その際の「高揚感」や「心地よさ」を感じることができるのでは、と考えられます。
また、香りの成分の中には、心地よくなったり、気分がリラックスしたりするような効果を持つものもあります。例えば、ビールの原料となるホップに含まれるリナロールは、柑橘香がする香りの成分ですが、このリナロールにはリラックスした気分を誘導してくれることがわかっています。
他にもさまざまな香りの成分が気分に影響することが知られています。ノンアルコールなのに、アルコールが入ったお酒のように、リラックスした気分が味わえるのは、こうしたことも要因のひとつではないかと考えられます。
私たちの研究で、ノンアルコール酒にアルコールを少しずつ添加し、0.5%、2.5%、5.0%と濃度を高めて実験を行ったところ、5.0%程度までなら、気分への効果はあまり変わらないことが分かりました。量でいえば200mlくらい、つまり最初の一杯ぐらいなら、アルコールが入っていてもノンアルコールでもどちらでももたらす効果は同じということです。それだけ、味やフレーバーの効果は大きいのです。
「安心感」もリラックスできる要因
他にも、「ノンアルコールだから酔っぱらってしまうことない」という、「安心して飲める」のも、重要な点。本物だと酔いがひどいと気分が悪くなることがありますが、ノンアルコールだとその心配はありません。その「アルコールが入ったお酒の負の部分がない」という安心感も、気分を高めたり、リラックスしたりできることに、少なからず寄与していると考えられます。
一方で、そもそも「お酒を飲んだことがない」という人は感じ方が大きく異なると考えられます。例えば、「お酒が嫌い」という人は、アルコール飲料に似た味やフレーバーのノンアルコール飲料を飲んでも、気分は変わらないか、あるいは嫌な気分になる可能性もありますね。
含まれる味や香りが気持ちに大きく影響する
その香りが好きか嫌いかによりますが、味や香りはリラックスできる効果がある、ストレスを緩和させる効果があるなど、私たちの気分に大きな影響を与えます。そのため、どの香りにどのような効果があるのかといった研究が行われています。
「香りによる効果」を踏まえた食品や飲料は、皆さんの身の回りに多くあります。例えば、気分を落ち着かせるジャスミンやラベンダーの香りを用いたお茶や、前向きな気分にさせてくれる効果のあるグレープフルーツを用いた食品などです。こうした、「気分に働きかける効果」がある食品や飲み物を楽しむ際は、含まれている成分に注目してみても面白いかもしれません。

◇けつろん!
ノンアルコール飲料なのに、アルコールが入ったお酒を飲んだときのように気分が高まったり、リラックスしたりできるのは「お酒を飲んだときの記憶と香り」でした。ただし、お酒を飲んだ経験の有無や、お酒が好きか嫌いかでも感じ方は変わるとのことです。
◇教えてくれた先生
山崎英恵先生
Profile
龍谷大学 農学部 食品栄養学科教授。専攻は食品科学、栄養化学。1970年大阪市生まれ。京都大学大学院農学研究科食品工学専攻、博士課程修了。博士(農学)。米国イェール大学医学部博士研究員、京都大学農学研究科を経て、現職。著書に「料理すること~その変容と社会性~(第3部「驚きを食べさせる」を担当)」「だしとは何か - だしの科学と機能」など。
文:大西トタン@dcp
編集:学生の窓口編集部



























