【なんで子供の頃は時間が長く感じたの?】専門家が解説! 大人と子供で時間の感じ方が違う理由は? #もやもや解決ゼミ

日常に潜む「お悩み・ギモン」=「もやもや」を学術的に解決するもやもや解決ゼミ。
今回は「大人と子供、時間の感じ方が違う理由」がテーマです。子供のころは「1日が長かった」のに、大人になると「時間が早く過ぎる」と感じます。時間そのものは変わらないのに、なぜ時間の感じ方が変わるのでしょうか?
実験心理学を専門とする、千葉大学大学院人文科学研究院の一川誠教授に答えてもらいました。一川先生は、実験心理学の視点で、人の時間や空間の認知についての研究を行っていらっしゃいます。

人間はどうやって時間の長さを認識している?
時間に関しては、目や耳のような直接的な「感覚器官」がありません。そのため,時間の長さについての直接的な知覚情報はありません。しかし、なんとなく「1分過ぎたかも」「今30秒くらいかな」と、時間を感覚的につかんでいるかと思います。
実は、私たちの脳のどこかに、一定のペースで神経信号を発信している発信器があると考えられています。この発信器から出る信号の蓄積量に応じて、「時間の長さ」を判断していると推測されます。
例えば、短い時間でたくさんの信号が蓄積すると、短いタイミングで時間を認識するので、「まだこれだけしか時間が過ぎていないのか」と、実際の時間が「ゆっくり」に感じます。反対に、信号の蓄積が遅いと、「あれ?こんなに時間が経った?」と、時間が過ぎるのが早く感じるのです。
時間の感じ方には「代謝」が関係している
「発信器から出る神経信号の数」に関わっているのが「代謝」です。発信器も体の器官の一つなので、代謝が激しいと発信される信号の数も多くなり、反対に代謝が落ちていると、発信される信号の数は少なくなります。代謝は子供の方が高いので、子供の方が「時間が経つのが遅い」「1日が長い」と感じやすくなります。
信号が発信されるペースは、1分であればこのくらい、30秒ならこのくらいのペースと、ある程度決まるものの、上述のように代謝によって左右します。そのため、運動したり、発熱したりして代謝が高くなると、大人でも時間が過ぎるのが遅いと感じます。また、1日の中でも、朝は代謝が低いので時間が早く過ぎますし、体が活発に動く午後になると、反対に時間がゆっくりに感じるようになります。
加えて、短い時間でどれだけ多くの出来事を体験したのかも、時間の長さの判断に用いられる要因です。一般的に、大人よりも代謝が高く、体をアクティブに動かせる子供の方が、1時間の中で体験できる事柄は多くなります。これも「子供の方が時間を長く感じる原因」のひとつといえます。

人間の体のどこかに、一定のペースで神経信号を発信している発信器があり、代謝によって発信量が異なるため、大人と子供で「時間の感じ方」が違うとのことです。一川先生によると、こうした「時間を認識する力」の研究は、例えば「行列の待ち時間を短く感じさせる」など、日常生活にも応用できるそうです。あっという間に時間が過ぎるようになれば、行列ができる店に並ぶのも苦にならないかもしれませんね。
◇教えてくれた先生
一川誠先生
千葉大学大学院人文科学研究院教授。1965年生まれ。1994年、大阪市立大学文学研究科後期博士課程修了、博士(文学)。山口大学工学部感性デザイン工学科助教授を経て、2006年に千葉大学文学部行動科学科心理学講座助教授に就任。2013年より現職。専門は実験心理学。実験的手法を用いて人間の知覚認知過程や感性の特性についての研究を行なっている。著書に『大人の時間はなぜ短いのか』『仕事の量も期日も変えられないけど、「体感時間」は変えられる』など。
文:大西トタン@dcp
編集:学生の窓口編集部


























