冬になるとなぜ人恋しくなるの? #もやもや解決ゼミ
日常に潜む「お悩み・ギモン」=「もやもや」を学術的に解決するもやもや解決ゼミ。
夏に比べると秋はわびしくなり、冬になると寂しく、人恋しく感じるようになります。しかし、なぜ冬になると人恋しくなるのでしょう?
その理由について早稲田大学 国際教養学部の森川友義教授に聞きました。森川教授は政治学が専門ですが、「恋愛学」の研究者としても知られ、各種メディアに恋愛学の大家として登場していらっしゃいます。
冬に人恋しくなるのはなぜ?
まず前提として、冬になったときに、恋人がいる人は「人恋しくならない」ということであり、恋人がいない人が人恋しくなるということです。
恋人がいない人はたくさんいますが、ポイントとしては季節的に冬だからこそ「人恋しくなるのはなぜか?」ということになります。
その上で、冬に人恋しくなる理由として以下の4つが考えられます。
●恋人と別れる季節は冬が多いため
●休日が多く、カップル向きのイベントが多く、恋人がいない状態を余計に寂しく感じる
●冬にはセロトニンが減少するために、不安に感じることが多い
●恋人の存在・接触は体温を引き上げてくれるために、寒い冬には特に有効である
季節との関係は?
『マイナビウーマン』のアンケート調査によると、季節ごとの別れの割合は以下のようになっています。
第1位 春34.0%
第2位 冬28.7%
第3位 夏22.0%
第4位 秋15.3%
(『マイナビウーマン』2016年9月、Webによるアンケート。有効回答数150件、22~34歳の働く女性)
春は「卒業」があってもともと別れのシーズンですからそれを勘案すると冬は別れの多い季節。ですから、夏や秋と比べて冬は人恋しくなる季節といえます。
また冬は、クリスマス・イブ、クリスマス、年末年始、バレンタインデーとイベントが多いですね。その上、大学生の場合には冬休み(2週間程度)、春休み(2カ月程度)と休日も多いのです。カップル向きのイベントが多く、自由な時間も多いとなれば、恋人がいなくて寂しいと思う時間も長くなります。そのため人恋しく思うのです。
冬には、ホルモンの一つである「セロトニン」の分泌量が減少しますが、これも影響していると考えられます。セロトニンの分泌が減ると人間は不安を覚えます。そのため人恋しくなるのです。セロトニンは日光に当たると分泌されますが、日射量の少ない冬にはどうしても分泌が減ります。
さらに、体温の影響もあるでしょう。人間は恒温動物であり、体温は一定ですが、それは内臓の話。内臓から離れれば離れるほど体温は下がります。例えば、内臓が37度とすれば、皮膚では26度くらいで10度も低いのです。特に冬は寒いので、余計に体の外側の体温は下がっています。従って温かくしてくれるものが欲しい。恋人との接触によって体を温めてほしいと思うようになるわけです。
というわけで、冬には人恋しくさせる要素がそろっているのです。だからこそ人恋しくなると考えられます。
いかがだったでしょうか。非常に説得力ある説明だったのではないでしょうか。できれば冬になっても人恋しくならないように彼氏・彼女にそばにいてほしいものですね。
イラスト:小駒冬
文:高橋モータース@dcp
教えてくれた先生
森川友義先生 Profile
早稲田大学 国際教養学部教授。Ph.D.(政治学)
1955年群馬県生まれ。1979年、早稲田大学政治経済学部卒。1984年、ボストン大学政治学修士号取得。1993年、オレゴン大学政治学博士号(Ph.D.)取得。外資系銀行、総合商社、国連専門機関(UNDP、IFAD等)、外務省国連代表部、米国アイダホ州立ルイスクラーク大学助教、オレゴン大学客員准教授、早稲田大学国際教育センター准教授等を経て、2004年より現職。『改訂版 大学4年間で絶対やっておくべきこと』(KADOKAWA、2019年)、『入社3年目までに絶対に知っておきたいこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2018年)、『黄昏流星群学~54歳からの恋愛聖書~』(小学館、2018年/弘兼憲史さんとの共著)など著書多数。