【後編】イベント『「強み迷子」の就活生に贈る! ESですぐ使える「あなただけの強み発見」セミナー 志望理由編 』レポート! エントリーシートをプロが実際に添削
就活解禁に合わせ、2月15日(水)に実施した土谷 愛さんによるオンラインイベント『「強み迷子」の就活生に贈る! ESですぐ使える「あなただけの強み発見」セミナー 』の模様をお届けします!
後編となる今回は、ワークショップを通じて、実際のエントリーシートの書き方について解説していただきました!
PROFILE
土谷愛(つちたに・あい)
◉――強み発掘コンサルタント。社会人向け自己分析講座「アドバンテージゲーム」主宰。
◉――売上ビリの落ちこぼれ営業時代、ひょんなことから「自分の強み」を見つけて社内1位、最年少管理職に。広告業界で約600本の記事制作を担当し、多くの顧客や部下と接し「人の強みを見つける力」を磨く。
◉――2018年、退職後に始めたブログで「強み発掘オタクがあなたの強み見つけます」という相談サービスを開始したところ、申し込みが殺到。「誰にでも輝く強みがある」という信念のもと、自己分析・強みの収益化・SNS発信などをテーマにオンライン講座を続々と開講。自分探しに迷う20~30代の会社員や主婦が口コミで集まり、総受講者500名超、公式メルマガの読者は累計7000名を突破。
◉――著書に『自分だけの強みが遊ぶように見つかる 適職の地図』(かんき出版)、『特別なスキルがなくてもできる 月収+10万円 こっそり副業術』(日本能率協会マネジメントセンター)、『自分を知る練習 人生から不安が消える魔法の自己分析』(青春出版社)がある。
ラブレター(エントリーシート)でマッチングするため重要なこと
それでは、ここからはワークショップに入ります。具体的にエントリーシートをどう埋めればいいか、事例を見ながら解説していきましょう。
前編でもお伝えしましたが、エントリーシートはラブレターです。いかに自分が会社の目指す理念に共感しているかを相手に伝え、エントリーシートを読んだ会社が「ぜひ一緒に働きたい」「うちでその理念を実現してほしい」と両思いになれればマッチング成功です。
実際にエントリーシートを書くとき、押さえるべきポイントは次の3点です。
1.「貴社の思いと自分の思いは一致している」
2.「貴社の求める人材と自分のなりたい姿が一致している」
3.「貴社が求めるスキルと自分のスキルは一致している」
この3つの要素が全部入っていると、めちゃくちゃ攻撃力の高いエントリーシートが書けます。恋愛でも同じですが、マッチ度が上がれば上がるほど「この人しかいない!」と思いやすくなるんですね。エントリーシートでも、そんな状態を作り出せれば勝ちだと思ってください。
それでは、事前に書いてもらった事例を紹介しましょう。
Mさんの場合、こんな感じに書いてくださいました。
すごくまとまっていますよね。面白そうだし、面接で直接話を聞いてみたくなります。私が人事担当者なら書類選考を通過させると思います。でもせっかくなので、もうちょっとここをこう変えればもっとよくなるよ、というポイントをお伝えしましょう。
まず、「道民に寄り添っている理念」に共感し、「北海道出身であり、北海道のために様々な活動をしてきたこと」によって「北海道のために力になりたいという思い」がある、と書かれています。ここであえて私がもう少し加工するなら、「様々な活動をしてきた」という部分ですね。これだと、初見では具体的に何をしてきたのかが想像できません。
ですから、「私は実際にこういう活動をしてきた」と具体的なものを書くといいでしょう。それだけでどれほど頑張ってきたのかというのが一発で伝わります。面接まで行ければそこで詳しく喋れますが、エントリーシートの段階で落とされてしまっては具体的なアピールもできません。なので、できるだけ文章でも具体的な内容を書くように心がけましょう。
「北海道のために力になりたい」とも書かれていますが、ここももっと具体的にするとイメージが湧くはずです。例えば北海道をどうしたいのかということですね。道民の生活を豊かにしたいのか、それとも北海道の魅力を全国に伝えて人を集めたいのか……など、具体性が増すと、面接官にも真剣度がより一層伝わります。
2点目は「テレワークやフレックスタイム制」がある点だと書かれていますが、これもテレワークやフレックス制があるとなぜ魅力的なのか、テレワークやフレックスタイム制を利用することで、どんなことが実現できるのかを書き入れるとわかりやすいでしょう。
例えば、「テレワークやフレックス制を利用することで、学びの時間が確保できるから魅力的だと思っています」と書くと、エントリーシートを読んでいる側もすっと入ってくると思います。
さらに言えば、自分と企業とのマッチングが大事なので、いろんな学問を学ぶことで企業側にどんなメリットがあるのかということまで伝えると、企業側はもっと喜ぶはずです。
例えば、「空いた時間を使って頼れる存在になりたい、組織を背負っていくスキルを身につけたい」といったことを書くと、「テレワーク制を使って、どんどん会社に貢献してくれようとしているんだな」といった印象を持ってもらえると思います。
3点目として、「ロシア語運用能力を活かして〜」とありました。ロシア語検定3級はすごいと思いますが、同時に懸念点も2つほど見つかりました。
まず、この内容が適切かを考えてほしいと思います。例えば、モスクワに派遣される特派員のポジションに本当に就けるのかという点。実際に配属される可能性が低い場合、書類審査の段階で、人事担当者は「結局、ロシアには配属しないしなぁ」と思ってしまうでしょう。であれば、ロシア語運用能力という強みではなく、もっと違う強みを選んで推したほうがいいと思います。
北海道のためにもどうしてもこの企業で働きたいというのであれば、特定のポジションでしか活かせない強みより、どんな部署でも活かせるような汎用性の高い強みを書いたほうがいいかもしれません。
もし、絶対に特派員として働きたいのであれば、なぜ特派員になりたいのか、もっと具体的に書いたほうがいいですね。ロシア語を使ってどんなことができるのか。お得意先と交渉できるのか、現地の人と日常会話ができるのかなど、具体性があると実際に活躍するイメージも湧くはずです。もしくは、「学生時代はロシア語の勉強をしたけど、言語習得能力が高いので、いろんな言語を習得できますよ」というアピールでもいいかもしれません。
「もし私だったらエントリーシートをこんなふうに書く」というポイントをお伝えしたので、ぜひ参考にしてみてください。
学生からの質問に答えるQ&Aコーナー!
それでは最後に、学生のみなさんからいただいた質問に答えていきたいと思います。
自分の強みと企業の理念がマッチしなければ、志望企業を変更するしかないのでしょうか?
土谷先生の回答:
自分の強みと会社の理念がマッチしない場合、理念以外のところでも、その会社に入りたいと思えるポイントがあるはずなので、理念推しではなく、「業界」「理念」「社風」「環境」「制度」「資源」「職種」「仕事内容」の8つの要素の中から違う切り口を選べばいいかと思います。
これまで留学やインターンのような大きな経験をしていない場合、どのようにアピールすればいいですか?
土谷先生の回答:
確かにそれはすごく悩みますよね。でも、「大きな経験がない」と感じるということは、「人を驚かせるような経験」だけを「経験」として捉えているのだと思います。しかし実は、例えば「今日は1日中、本を読んでいた」というのも経験といえば経験なんです。要するに、自分が何に時間を使ってきたかが重要なんですね。
「留学やインターンは経験していないけど、めちゃくちゃ漫画を読んできた」という人であれば、「これから世の中でヒットしそうなアニメの傾向がわかります」とアピールできるかもしれませんし、そんなことを言われたら「すごいな。ちょっと話を聞いてみよう」と思ってもらえそうですよね。
大きな経験である必要はありません。自分が時間を投じてきたことでいいんです。私なら自己分析について毎日3時間考え続けていますが、それでも「人と違うことを考えていそうだな」「意見を聞いてみたいな」と思ってもらえると思います。1日24時間をどのように使っているか、フラットに振り返ってみましょう。そして、その中で思ったこと、気づいたこと、学んだことなどについて語れれば魅力的だと思います。
いつもダラダラと長く説明しちゃうのですが、短くまとめるためのコツはありますか?
土谷先生の回答:
まず、短く伝えようと考えられていること自体が素晴らしいと思います。ダラダラと長く話している自覚がない人も多いですからね。
短くまとめるためのコツは、結論から話すことです。まずは結論を先に話してから、「なぜならこうだからです」と、文章を切って伝えていくといいと思います。結論から話すためには、質問されてから考え始めるのでは絶対に間に合いません。志望理由やガクチカなど、面接で聞かれそうな質問については事前に思考を一巡させておいて、ちゃんと結論から答える練習をしておくといいでしょう。
経験はいろいろとあっても、客観的な評価を示せる実績がありません。その場合、どのようにアピールすればいいのでしょうか?
土谷先生の回答:
時間を投じたことや頑張ったことはあっても、それをなかなか客観的に証明できないということですよね。めちゃくちゃわかります。むしろ、そういう人のほうが多いと思います。でも、客観的評価を証明できる表現というのは、順位や表彰された経験だけではありません。
例えば、「私は毎日このことに3時間を費やしてきた」という表現も客観的に伝わる内容になっています。「何年間続けてきた」や「週5アルバイトしていた」でも客観的に伝わりやすいので、まずは取り組んできたものの数字や時間を書き出して眺めてみましょう。
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文:猿川佑
編集:学生の窓口編集部