“商社”という場所を通じて、自分が何になりたいのか考えよう。商社を目指す就活生が知っておきたいこと【伊藤忠商事株式会社】
所属部署:情報・金融カンパニー 通信ビジネス部
経歴:1996年生まれ、東京都出身。大学では総合政策学を専攻し、留学も含め国内外で活動。多領域で変革を起こす経営人になりたいという思いから、2019年に伊藤忠商事に入社。 情報・金融カンパニーの通信ビジネス部に配属され、携帯補償ビジネスや 中古携帯販売等の携帯のバリューチェーンに携わる。直近ではSDGsの観点より 全国に眠っている中古携帯を掘り出すプロジェクトを実施。
「将来の“なりたい自分”がまだわからない」ーーそんな悩みを抱えるみなさんに、いろんな企業で活躍する先輩たちの姿を通してロールモデルを見つけてもらう企画「#お仕事図鑑」。
今回は、繊維やエネルギー、化学品、住生活など幅広い分野のビジネスをグローバルに展開する大手総合商社「伊藤忠商事株式会社」で働く先輩社会人にインタビュー。
中古の携帯電話を取り扱うビジネスを担当する足立絵理子さんに、学生時代のお話や商社を目指す上で意識したこと、現在の仕事内容などについて伺いました。
――どのような学生時代を過ごしていましたか?
大きく二つのことに力を入れていました。一つ目が留学です。大学3年生の半ば〜4年生の頭までの半年間、アメリカ西海岸のサンノゼ、いわゆるシリコンバレーと呼ばれる地域へ行っていました。
※留学時代
留学先ではアプリ開発を行う授業があり、一緒にモノを作り上げる経験をしました。私はアプリ開発に関して専門的な知識はありませんでしたし、何かコードが書けるわけでもありません。ですが現地のSEの方や専門的に学んでいる方とコミュニケーションをとって、一つの目標に向かってジェネラリストとして関係者をまとめ、アプリを開発していく過程に対して面白さを感じました。
また、大学スポーツの事業化・収益化の仕組みづくりについて学びたいと思っいていました。私の大学では他大学との大会が大きなイベントの一つにあるのですが、事業収益が難しい状況でした。そこから企業や地域がスポンサーとなって収益化を図る仕組みのあるアメリカの大学スポーツに興味を持ち、スポーツとマネジメントの授業を取っていました。一学生のジェネラリストとして現場を知るという行動を実践できた貴重な経験になりましたね。留学でのこの二つの経験は、まさにジェネラリストとして物事を動かしていく経験であり、総合商社を志望するきっかけの一つになりました。
※留学時代
もう一つがファミリービジネスの研究です。特に日本のファミリービジネスの、経営者を見据えて育った2代目以降の後継者の人物像に、フォーカスを当てて研究していました。経営者の方々へのインタビューを通して、人生をかけて会社を背負う経営者の想いを知ると同時に、私自身の中でも「経営人」が一つのキーワードになり、就活の軸にもなりました。
――就活では幅広く業界を見ていましたか?また、伊藤忠商事に入社を決めた理由を教えてください。
最終的に商社に行きたいと思っていたものの、狭き門ですのでアプリ開発の経験を活かし、IT系やメーカーも見ていましたね。
伊藤忠商事に決めた一番の理由は、OB・OG訪問をしていく中で、勤めている先輩たちが非常に楽しそうだった印象を抱いたからです。様々なことに挑戦している様子が、学生目線からでも感じられたことが大きかったですね。
――就活でやって良かったことを教えてください。
学生生活を振り返り、自分が持っているエピソードを具体的なものから集めて抽象化し、「なぜ私はこの軸で歩んできたのか」とノートにまとめたことです。
一枚で分かるような図式を作ると、自分の軸に納得がいくんですよね。「このような軸があるから私は将来こんなことがしたいんだな」と、行きたい業界や職種が見えてきたと感じています。
軸を見つけて自分で納得ができるようになっていると、面接で多角的な質問がきた場合でも「この例を話そう」と、軸に沿った回答ができたのでやっていて良かったです。
――総合商社の内定を目指すために、意識するべきことはありますか?
商社という場所を通じて、自分が何になりたいのか、何ができるのかという目線でESや面接に備えるといいと思います。「商社って何?」と感じる学生さんも多いはずです。私も4年間働いていますが、商社は一つの事業で成り立っているわけではないため、一言で説明することはまだまだできません。商社の全てを理解して面接に臨むのは難しいです。だからこそ「商社とは」と理解するのは大切ですが、それ以上に商社を通じて自分のやりたいこと、できることを考えていくのが必要なのではないでしょうか。
また、面接では簡潔に物事を伝えましょう。面接官が学生に対して聞きたいのは、どのくらい会社について理解しているのかではなく、学生として自分を理解できていて、それが相手の会社とどう合致するのかを明確に提示することです。「こんな経験がありこれが私の軸です。御社ではこのような活躍ができます」と、一本の軸を通して話ができるといいですね
――1年目から現在の仕事について教えてください。
1年目は主に数字管理の仕事を行っていました。携帯補償ビジネスを扱う部署で、実績をまとめたり予算を作ったりしていました。2年目以降は営業を担当しています。携帯電話を販売していくビジネスとして、全世界の弊社の駐在員と連携をとり、各世界のバイヤーを通じて携帯電話の販売をしています。
現在は中古携帯電話を取り扱うビジネスを中心に行っています。2022年2月に行われた、家庭で使用されていない携帯電話端末をファミリーマートで回収する実証をはじめ、皆さんの家で眠っているような携帯電話をいかに集めるかというプロジェクトの企画・実施をしています。弊社ではSDGsとしての取り組みも意識しており、古い端末を現代に活かすことで環境に良い変化を与えられないかと奮闘中ですね。
――仕事の面白さを教えてください。
新しい事業として一から事業設計をしていくところでしょうか。もちろん私が決定するわけではないですが、自由に挑戦させてもらえているところに面白さを感じています。今任されている商材を使ってどのように世界に踏み込んでいけるのか、考えることが楽しいですね!
――仕事の大変なところを教えてください。
今担当している業務以外にもさまざまな業務があるため、途切れずにタスクが降ってくるところでしょうか。今何が重要なのか優先順位をつけて作業をするのが難しいです。効率よく業務をこなすことがまだまだ課題だと感じています。
――この仕事に求められるスキルを教えてください。
コミュニケーション能力です。ただ話をするだけではなく、今何が求められて、何を発信したらいいのかという感覚ですね。
私がコミュニケーション能力を鍛えるために日々意識しているのが、さまざまな立場に立って物事を考えること。商社は何かのプロフェッショナルになるよりも、多様な人たちを繋げていく役割です。そのためにはあらゆる立場に立って、自分が何をしないといけないのかを考える必要があります。さまざまなところにアンテナを貼り、今世界では、現場では、何が求められているのか、いち早くキャッチする習慣をつけると鍛えられると思いますよ。
――ありがとうございます。最後に学生へメッセージをお願いします。
自分のなりたい像が商社にあるのならば、弊社は非常にいい環境で挑戦ができる場だと思います。商社に入るとさまざまな人たちを巻き込んで、大きなプロジェクトが動かせます。自分一人だけではできないことを成し遂げられるので、そのような環境でチャレンジしたい人にとっては成長できると思いますね。ぜひ“自分のなりたい姿”をイメージしながら就活をしてください!
※記事内容及び社員の所属は取材当時のものです。
文:田中青紗
編集:学生の窓口編集部
取材協力:伊藤忠商株式会社