「この仕事はオタクな人ほど重宝されます」エイベックスのYouTubeプロジェクトリーダーが思う“必須スキル”とは【エイベックス・エンタテインメント株式会社】
所属部署:エイベックス・エンタテインメント株式会社
デジタルマーケティンググループ デジタル・ディベロップメントチーム
経歴:2019年エイベックス株式会社に新卒入社。レーベルでのTikTok関連業務、サブスク・SNSを中心としたアーティストのデジタルプランナーを経て、デジタル・ディベロップメントチームにて、主にYouTube関連の業務に従事。現在は音楽系YouTubeクリエイター向けのMCNエージェンシー「muchoo」と、新規YouTubeチャンネルのプロジェクトリーダーを担当。学生時代から行っていたアカペラ関連の活動にも、大会審査員として参加するなど注力している。
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今回は「エイベックス」で働く先輩社会人にインタビュー。
エイベックス・エンタテインメント株式会社、デジタルマーケティンググループのデジタル・ディベロップメントチームで、新規YouTubeチャンネルのプロジェクトリーダーを務める星 瑛人さんに、日々の仕事内容や学生時代に取り組んだことについてお話を伺いました!
――星さんはどんな学生時代を過ごしていたんですか?
中学、高校はずっと合唱部に所属していました。大学では約200人が所属する大きなアカペラサークルに入り、代表も務めました。かなり大所帯なサークルなので、サークル内でもいくつかアカペラグループが存在したのですが、僕は4〜5組を掛け持ちして編曲やプロデュースなども担当しました。
――学生時代に一番頑張ったことは何でしょう?
大学時代の思い出といえば、やはりアカペラサークルでの活動に尽きますね。サークルに入った瞬間から「アカペラで日本一を目指したい」と決めて頑張って、4年生のときに出た大会では実際に優勝することができました。目標を一点に絞って努力したからこそ実現できたのだと思っています。
――仕事で役立っている学生時代の経験はありますか?
アカペラサークルでの経験になりますが、アカペラを歌うにはまず細かく楽曲を分析して、咀嚼して、編曲に落とし込んで行く作業が必要になります。大学4年間でいろんなアーティストや楽曲を細かく分解・分析してきた経験は、そのまま仕事で役立っています。例えば、あるバンドがヒットした理由を分析するときなどに、「きっと、こういうクリエイティブがウケているんじゃないか」と紐解くことができるんです。
――何か就活前にやっておいたほうがいいことがあれば教えてください。
僕の場合、就活前は自己分析に重点的に取り組みました。どの部活に入るか、どの授業を選ぶか……などなど、人生の分岐点に直面したとき、どういうポリシーで選択してきたかを思い返し、自分の意思を理解したうえで面接に臨むと説得力が増すと思います。
僕は自己分析した結果、「誰もが、自分の好きなことを『好きだ』と自信を持って言える環境を作りたい」と掲げて生きてきたことがわかりました。例えば僕は合唱部に所属していましたが、教室では運動部の人たちが目立っていて、あまり合唱部だと接点がなかったりします。そういうときも「どうすれば誰もが誇りを持てるのか」と模索してきたんです。
――今の会社を選んだ理由を教えてください。
エイベックスは、まさに「好きなことを『好きだ』と自信を持って言える環境作り」を体現してきた会社だと思ったからです。例えば、ユーロビートはかつてすごくマイナーで、日本で聴いている人はほとんどいませんでした。でも、エイベックスはJ-POPと掛け合わせることで、そんなマイナーな文化を盛り上げてきました。自分の指針とハモるところがあったし、就活中に「この会社しかない」と確信しました
――今のお仕事の内容を教えていただけますか?
エイベックス・グループの中で音楽事業を手掛けるエイベックス・エンタテインメント株式会社で、SNSやYouTube関連、特に今は音楽系のYouTubeクリエイティブやサポートサービス、対クリエイターさんの業務などにあたっています。メインの仕事のほとんどはYouTube関連ですね。
※現在担当している音楽系YouTuberのためのMCN エージェンシー 「muchoo」
――この仕事ならではの特徴的な作業について教えてください。
とにかくYouTubeを見る時間が長いということでしょうか。もともとすごくYouTubeを見る人間なので苦痛には感じませんが、本当に仕事で丸1日YouTubeを見ている日もあるくらいです(笑)。
YouTubeは使用しているアカウントによって表示されるオススメ動画がパーソナライズされるので、僕も例えば「歌ってみた系の動画探すためのアカウント」といった具合に、ジャンルに応じて複数のアカウントを持っています。リサーチしやすいようにアカウントを使い分け、あらゆる動画をチェックするというのは、まさにこの仕事ならではの作業です。
――実はあまり知られていない仕事の「秘密」があれば教えてください。
YouTubeを流し聴きしながら仕事をしている社員が多いということでしょうか(笑)。もしかしたら、一般的な企業だと、「仕事中にYouTubeを見ている=サボっている」と思われるかもしれません。しかし、うちはラジオ代わりの「BGM(Back Ground Music)」ならぬ「BGV(Back Ground Video)」としてインプットに役立てている社員が多いようです。
――今の仕事のやりがいを、どういうときに感じますか?
自分の手掛けた映像作品が形になった瞬間ですね。映像を制作する際は、キャスティングから制作、進行まで一手に担うので、実際に作品が公開されたときは嬉しいですし、ファンの反応も楽しみに見ています。ファンだけでなく、演者さんたちから「作品に参加してよかった」と言ってもらえたときはすごくやりがいを感じますね。
※2020年、2年目でTikTokバズが起きた際デジタルプランニングをしていたShuta Sueyoshi
――この仕事の面白いと思う点や魅力を教えてください。
僕はもともと、音楽を聴くこともアーティストを分析することも趣味だったので、趣味を楽しみながらお金をいただけているというのは、やはり魅力的だと思います。プライベートで楽しんでいることもそのまま仕事に直結するので、日々の生活のすべてが好きなことで満たされている感覚ですね。
――この仕事に求められるスキルは何でしょう?
この仕事では、アウトプットする作品やプロモーションする作品への「愛」や「好き度」が重要だと思います。だから、この仕事ではオタクと言われる人ほど重宝される印象があります。言い換えれば、熱量をもって好きなコンテンツを消費する「オタク力」が求められるかもしれませんね。
――これまで一番印象に残った仕事を教えてください。
以前、企画からローンチまでに1年近くかかったYouTubeチャンネルがあったのですが、この1本目の動画を公開できた瞬間のことは忘れられません。世に放たれる瞬間は、プロジェクトメンバーと一緒に会議室で見守りました。アーティストを起用したパフォーマンス映像のチャンネルだったのですが、準備期間に1年を費やすというのは、自分のこれまでの仕事の中では特別に長い部類に入ります。
――1年もかかったというのは、どういった理由なのでしょう?
映像はどういったフォーマットがいいか、継続してアップできるフォーマットになっているか、キャスティングはスタックせずに続けていけるのか……ということも考えましたし、収録の仕方も何度となくテスト撮影して、「いいクリエイティブになっているか」と議論しながら実験を重ねたので、結果的に1年もかかりました。当時はプロジェクトリーダーとして動いたので、これからのキャリアにとっても重要な経験だったと感じています。
――オフタイムの過ごし方についても教えていただけますか?
すごくインドア派なので、休日は家で1日中ゲームをやったり、アニメを見たり……今はゲームなら『モンスターハンター』、アニメなら『リコリス・リコイル』や『メイドインアビス』にハマっています。いずれも世界観が綿密に作られていてめちゃくちゃ面白いですね。あとは週1〜2のペースでサウナに行っています。
――プライベートの中で仕事に活かされていることはありますか?
サウナでいうと、リラックスタイムを作れることですね。サウナの中ではケータイも触れないので、デジタルデトックスもできて英気を養えています。また、アニメやYouTubeのオープニングやエンディング映像を見ることで、映像の構成について学ぶことも多いですね。こうして、プライベートで摂取するエンタメもすべてが経験値になっています。
――最後に、大学生の皆さんにメッセージをお願いします。
いろんな就活の方法やキャリアの作り方がありますが、個人的には好きなことを仕事にするのは、すごく幸せなことだと思っています。学生時代に頑張ったことは社会に出ても役立ちますし、好きなことを極めるのがキャリアの近道になるはずです。ぜひ、今頑張っていることに全力で取り組んでほしいと思います!
※記事内容及び社員の所属は取材当時のものです。
文:猿川佑
編集:学生の窓口編集部
取材協力:エイベックス・エンタテインメント株式会社