エイベックスの若手A&Rに聞く、新人アーティストの「発掘」と「育成」を通して感じる仕事の魅力【エイベックス・エンタテインメント株式会社】
所属部署:エイベックス・エンタテインメント株式会社
レーベル事業本部 第2クリエイティヴグループ クリエイティヴゼロユニット
経歴:2017年エイベックス株式会社に新卒入社。レーベル事業本部にて新規事業などに携わり、2年目でVTuberのプロデューサーとして制作業務を行う。のちに、デジタルマーケティンググループにて主にTikTokを担当。2021年度より新人開発・育成に特化した部署の“クリエイティヴゼロ”立ち上げに伴い、部署異動。現在は複数の新人アーティストのA&Rを務める。
「将来の“なりたい自分”がまだわからない」ーーそんな悩みを抱えるみなさんに、いろんな企業で活躍する先輩たちの姿を通してロールモデルを見つけてもらう企画「#お仕事図鑑」。
今回は「エイベックス」で働く先輩社会人にインタビュー。
エイベックス・エンタテインメント株式会社のレーベル事業本部で新人アーティストのA&Rを務める川毛美津希さんに、日々の仕事内容や学生時代に取り組んだことについてお話を伺いました!
――川毛さんは、どんな学生時代を過ごしていたんですか?
ひと言で言えば、「ないものは自分で作ってきた学生時代」でした。私はアイドルオタクなのですが、大学にアイドル好きが集まるサークルがなかったので、友達に声をかけてサークルを作りました。留学先の北京でも、日本の文化を中国に届ける団体「KAWAII JAPAN」を立ち上げるなど、常に「ないものは作っちゃえばいい」という考え方で動いてきたと思います。
※留学時代。KAWAII JAPANの活動は中国のWEBメディアにも取り上げられました。
――学生時代に一番頑張ったことは何でしょう?
留学中の「KAWAII JAPAN」の活動ですね。特にイベントには力を入れていて、現地のライブハウスと交渉してイベントを主催したり、カフェを貸し切ってメイドカフェをやったり、中国に進出している日本のアパレルブランドの協力を得てファッションショーを開催したり……。
一度、イベントの企画に集中しすぎて、集客や告知をすっかり忘れちゃったことがあったのですが、「コンテンツは集客がなければ成り立たないんだな」っていうことも、そのときに肌で感じました。
※留学時代。クラスメイトとごはん。
――仕事で役に立っている学生時代の経験 はありますか?
すべて役立っていると思いますが、就活中にエイベックスの面接官に「イベントを立ち上げるのも営業だよね」と言ってもらえて、すごくハッとしたのを覚えています。確かに、ライブハウスや企業との交渉も、すべて営業のお仕事と重なっている部分がありますし、知らず知らずのうちに営業力を身につけていたのかもしれません。
――就活前にやっておいたほうがいいことはありますか?
私がやっていたのは、とにかく過去を振り返ること。就活中はどうしても「自分は何がしたいのか」と未来のことを考えがちです。でも、人生のいろんなところに「自分のしたいこと」のヒントは転がっています。ですので、一度過去を振り返って、「自分年表」を作ってみてください。すると、「こういうときに心が動いたな」ということが整理できるので、就活中も軸がブレずに済むと思います。
――今の会社を選んだ理由を教えてください。
私は就活中に計48社を受けました。同期の中でも最多です(笑)。結局、ご縁があったのがエイベックスだったのですが、やはり自分の軸が決まっていれば、それに当てはまる企業かどうかが判断できます。
私の場合は3つのキーワードがありました。ひとつは「アジア」。今後、アジア市場がさらに広がると思ったからです。それと「イベント」、そして「アイドル」。この3つのキーワードのどれかに関わる仕事に就きたいと思っていたのですが、エイベックスなら3つ全部ができると思って、入社を決めました。
※大学時代。アイドルヲタクとして中国のGNZ48(広州)の公演を見にいきました。
――今のお仕事の内容を教えてください。
今の仕事は新人アーティストの発掘と育成です。これからヒットしそうな新人を見つけ、声をかけて曲をリリースしていくお仕事です。新人をどこで見つけてくるか各担当で分かれているのですが、私の場合は主にTikTokを担当しています。
――この仕事ならではの特徴的な作業は何でしょう?
普通は息抜きとしてTikTokを楽しむと思いますが、私の場合は仕事としてチェックしているという点が特徴的かもしれません。もちろんプライベート用のアカウントもありますが、基本的にTikTokは新人アーティストを見つけるための仕事用ツールとして使っています。
――実はあまり知られていない仕事の「秘密」はありますか?
秘密はないかもしれません。というのも、例えば不動産業者であれば、専門業者しか見られないサイトなどがあると思います。でも、私はTikTokから情報収集をしているので、皆さんが普段見ているものと同じものを目にしているんです。だからこそ、アンテナの張り方がとても大事になってきます。
※社会人2年目。エイベックス採用サイトのインタビューでまだ新しい社用PCを持って撮影。
――今の仕事のやりがいについて教えてください。
アーティストさんにお声掛けするということは、人の人生に責任を持って関わるということです。オーディションに受かったことで、地方から東京に出てくる子もいます。私の行動のひとつひとつがアーティストさんの人生に関わるわけですから、やりがいはもちろん、本当に強い責任感を感じています。
※2年目で担当した響木アオデビュー発表@渋谷。
――仕事の面白いと思う点や魅力は何でしょう?
「自分がいなかったらこの曲は世の中に出ていなかったんだな」という場面に毎月のように遭遇することですね。ファンの方がコメント欄に「この曲に勇気づけられています」などと書かれているのを見ると、本当にこの曲を出せてよかったなと思います。
――この仕事に求められるスキルは何だと思いますか?
ひとつの物事をどう深掘りできるか、どうディグれるかということだと思います。エンタメ業界で働くなら、ただ「面白い」と受け取るだけでなく、「自分ならこうするな」「売り文句をもっとこう変えればバズるんじゃないか」と、自分の視点を通して物事を見るスキルが求められるのではないでしょうか。
※1年目で台湾出張!中国語で会議に挑戦しました。
――これまで一番印象に残った仕事は何ですか?
2019年、MAGNET by SHIBUYA109(旧109メンズ)の屋上で、あるVTuberにデビューライブをしてもらったんですよ。大きなモニターを縦に設置して、VTuberが画面越しで歌を歌って、お客さんは会場でモニターの前で盛り上がる。バーチャルとリアルが繋がった光景を見て、「バーチャルでも関係ないんだな」って実感しました。 当時としてはかなり斬新なスタイルのイベントでしたが、先輩も上司も「やってみろよ!」って言ってくれたんです。本当に環境に恵まれていると思います。
※2年目で担当した響木アオデビュー発表。
――オフタイムの過ごし方についても教えていただけますか?
アイドルのダンスが好きなので、休日はダンススタジオを借りて、友達と一緒に振り付けを真似して踊っています。練習したダンスは、ときどき仲間内で集まって披露しています(笑)。
※週末は友人とダンス練習。練習したダンスを発表することも。
――プライベートの中で、仕事に活かされていると思うことはありますか?
楽しいと思うことは全部仕事にも活かされていると思います。例えば旅行中も「このお土産ビジネスすごいな」「グッズ作りに活かせないかな」なんて考えますし、趣味で踊っているときも「こういうふうに立ったほうがきれいに見えるんだな」といった発見がありますから、アーティストのジャケット撮影などでアドバイスしたりしています。
※パンダオタクのため、冬のリモートワーク時はパンダ部屋着を着ています。
――最後に大学生へのメッセージをよろしくお願いいたします。
私は就活中に数多くの企業を受けましたが、その経験からもやっぱり「粘り勝ち」はあると思っています。周りの友達にどんどん内定が出てくると、もしかしたら不安になるかもしれません。それでもまだ、粘っていいと思います。
私の場合は、一番最後に内定を貰ったのがエイベックスでした。少し長い就活にはなりましたが、最後の最後まで就活をしていたからこそ今があると感じています。志望業界が決まっている人は、最後まで諦めずに粘っていただければと思います。頑張ってください!
※記事内容及び社員の所属は取材当時のものです。
文:猿川佑
編集:学生の窓口編集部
取材協力:エイベックス・エンタテインメント株式会社