「作品を通して“思い”を伝えられる」エイベックス・ピクチャーズのプロデューサーに聞く、「映像ビジネス」のお仕事とは?#エイベックス・ピクチャーズ株式会社【お仕事図鑑】

編集部:ゆう

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瀬戸 麻理子(せとまりこ)さん

エイベックス・ピクチャーズ株式会社 プロデューサー


新卒から映画会社に入社し、その後、松竹株式会社にてアニメ、映画、ドラマなど様々なジャンルの作品のプロデューサーを務める。現在は、エイベックス・ピクチャーズ株式会社に所属し、プロデューサーとして映画、ドラマなどの企画制作から作品出資など、多岐に渡る映像ビジネスに携わっている。近年のプロデュース作品に、映画『溺れるナイフ』(2016年)、映画『さよならくちびる』(2019年)、ドラマ『きのう何食べた?』(2019年/2020年)、映画『劇場版 きのう何食べた?』(2021年)、映画『ヘルドッグス』(2022年公開予定)などがある。

アニメーションや実写など「映像コンテンツ」を手掛ける、エイベックス・ピクチャーズ株式会社。企画から作品公開まで、制作に関わる全ての責任を担っているのが“プロデューサー”です。

今回は、『溺れるナイフ』(2016年)、『劇場版 きのう何食べた?』(2021年)、など数々の人気映画を世の中に生み出している、プロデューサー 瀬戸麻理子さんにインタビュー。

仕事の内容や楽しさ、映画・エンタメ業界を目指す学生がやっておくべきことについてお話を伺いました!

企画の立ち上げから二次利用まで、全ての責任を担っている仕事

――事業内容について教えてください。

エイベックス・ピクチャーズ株式会社は、アニメーションや実写など「映像コンテンツ」を中心とした事業を展開しています。「エイベックス」と聞くと、音楽の会社だと思う人も多いかもしれません。しかし、主力事業である音楽以外にアニメ・映像事業や、デジタル・プラットフォーム事業など、総合エンタテインメント企業として幅広い事業を行っています。アニメ・映像事業は、主に子会社である弊社が担当しています。

――コロナが蔓延した直後〜現在の、映画・エンタメ業界について教えてください。

コロナ禍では制作が延期・中止になる映像作品が多く、大きな影響を受けました。撮影が止まったとしても、いつ再開するのかすぐには目処が立たず、先行きの見えない日々を過ごしていました。加えて、映画やドラマには大勢のスタッフ、キャストが関わるため、今までよりも厳重な管理体制になったと感じています。

社内としては、すぐに現状をポジティブには捉えられなかったのですが、チーム内で日々できることを話し合っていました。出社する機会も減ったため、社内でのコミュニケーションの取り方を変えたり、会議のやり方を見直したりしていました。

一方、ステイホームの影響で配信サイトの需要は伸びています。今後もコンテンツの幅はますます広がっていくと予想できます。

――プロデューサーの仕事内容について教えてください。

前提として映画配給会社のプロデューサーと、制作会社のプロデューサーとでは役割が異なっていることもありますが、弊社の場合ですと、基本的には企画の立ち上げから作品の完成、作品の一次利用(興行や放送)、二次利用(パッケージ化・TV放送・配信・海外販売等)までの全ての責任を担っている役職となります。

企画立案、キャスティング、スケジュール管理、ロケ場所の交渉、撮影など、企画〜撮影まで、作品を完成させるまでの過程はとても大変です。「原作が面白いから」だけではなく、ビジネスとして成立させるためにはどのような内容がいいのか、毎回頭を悩ませています。そのため、撮影が終了するとようやく第一段階を突破したと感じますね。

その後は公開・放送に向けてさまざまな形で世の中に宣伝をしていきます。特に映画の場合は宣伝が重要になります。プロデューサーとして、作品を通して伝えたいことを共有し、宣伝チームと方向性をすり合わせながら戦略を練ります。多くの人に見ていただけるように、どれだけのことができるのかを考える作業が第二段階となり、作品の完成に繋がっています。

「これは映像化したら売れる」を見抜く視点の磨き方

――企画を立てる上で大切にしていることを教えてください。

観客の一人として、自分が「観たい」と思えることと、ビジネスとして成功するかどうかどちらも兼ね備えていることを基準に考えています。

私が企画を立てる際は、世の中に出ている作品や、原作になる可能性がある漫画や小説などをチェック。常にさまざまな情報が入るようにしていて、「映画になったら」という観点で物事を見るように意識しています。

――「これは映像化したら売れる」と思える視点は、どのように磨けばいいのでしょうか。

世の中には「売れているもの」と「売れていないもの」の差があります。それぞれの結果を、自分なりになぜ「成功したのか」「失敗したのか」と分析してみるといいでしょう。

分析する際に、数字を参考にするのもおすすめです。例えば映画ですと、興行収入やランキングの上位に入っているもの。ドラマですとSNSの反響数といった、「この作品は世の中でどのくらい受け入れられているのか」をチェックすると、だんだんと「これは売れる」という感覚が磨かれると思います。

学生さんでしたら、仕事だとは思わずにミーハーな気持ちでSNSや雑誌、テレビなどのランキングを見る癖をつけるところから始めてみてください。

――仕事のこだわりを教えてください。

自分の意見を明確に持つことです。一作品で100人以上の方とコミュニケーションをとる仕事だからこそ、どんな人・場面でも自分の意見を明確に持って話をするようにしています。意見を伝えられると仕事もスムーズに進みますし、コミュニケーションも円滑になりやすいです。

併せて、場の空気作りも意識しており、「会ってよかった」「またもう一度会いたい」と思ってもらえるように心がけています。

「作品を通して人に思いを伝えられる」プロデューサーのやりがい

――映像業界に入社前後で感じたギャップはありますか?

制作の裏側を知ることになるため、一時期は映画のことが嫌いになりました(笑)。

画面の向こう側で見ているときとは違い、「実はこんな仕組みで出来上がっている」や「さまざまな人たちがこのように働いている」といったように、知らなかった面が見え、ギャップを感じてしまったからです。純粋に映画を楽しめなくなってしまい、一時期はプライベートで映画を観ないようにしていました。

しかし、やはり根っこが「映画好き」だったので、いつの間にか回復していましたね(笑)。

映像業界ですと、プライベートでも作品を観るだけではなく、常に新しいものや情報をキャッチしなければなりません。私はそういったキャッチアップが好きでアンテナを張るのが苦ではないものの、仕事とプライベートの境目を作ることは意識しています。

自分で休む日を決めて、その期間は仕事のことは考えないようにしたりしています。忙しいときと忙しくないときの差が大きい仕事だからこそ、自分の中でメリハリを作ることは大切だと感じます。

――忙しい日々の中、頑張り続けられるモチベーションについて教えてください。

作品を通して“人に思いを伝えられる”ことが、大きなモチベーションになっています。

私は世の中に作品を出していきたい気持ちが強いです。この仕事は見てくれている方のリアクションがすぐ隣で分かるんですよね。例えば、映画の上映が終わったあとに、隣の席の方が「とてもよかった」と泣いている場面に遭遇することもあります。人に思いを伝えられるところは、何よりの頑張る原動力だと思います。

――仕事の楽しさについて教えてください。

映画やドラマなど、映像が好きな方々と繋がれるところでしょうか。もともと私は趣味が映画を観ることで、「洋画のパンフレットを作りたい」という気持ちから映像業界に入ったため楽しさを感じています。また、横の繋がりがどんどん増えていく業界なので、他社の方から「最近この作品が面白いよ」や「今度こんな企画をします」といったお話を聞ける機会も多く、「趣味のお友達」が増えていく感覚があります。自分の好きなことについて話せる人たちと繋がれるのはこの仕事の楽しさの一つだと思います。

映画・エンタメ業界を目指すなら、世の中にアンテナを張っておこう

――入社後、どのような人が活躍できると思いますか?

私も中途入社して4年目なので、正解かどうかはわかりませんが……「自分はこうなりたい」といった、意志を持っていると活躍できるチャンスが広がっていくと思います。大きい組織の場合ですと、希望部署への異動が叶わない可能性もありますが、弊社は割とチャンスが巡りやすい会社だと感じています。自分がどうなりたいのか、何がしたいのかをしっかりと持っているといいかもしれません。

――学生時代にやっておいた方がいいことはありますか?

常に新しい情報に触れておくことですね。現在公開されている作品を観に行ったり、本屋に行って新刊をチェックしたりと、自分がお客様としてエンタテインメントを楽しんでおくといいですね。情報を仕入れるだけではなく、お客様目線を知っておくと、作品を手掛けるときに役立つと思います。

――どのような人と一緒に働きたいと思いますか?

さまざまな人がいて良いと思っています。

働く中で大切だと思うのは、抱え込まずに「つらい」ときは「つらい」と素直に言えること。キャパシティがいっぱいになったときに、周りにSOSを出すのが申し訳なくなったり、恥ずかしいと思ったりして口に出せない人もいます。

ですが、その人がどのくらい業務を抱えているのか、上司が気づいていない場合もありますので、抱え込まないで素直に言う気持ちは持っていてほしいですね。

――ありがとうございます!最後に学生へメッセージをお願いします。

エンタテインメントの仕事は、真面目に考えるだけでなく「こうしたらもっと面白くなるのでは?」と、深掘りしていくことが大切だと感じています。勉強や就職活動で忙しい毎日だとは思いますが、少しでも映像業界に興味がある方は、「面白さ」を自分なりに分析しながら、作品を観ていただけたらと思います。

※記事内容及び社員の所属は取材当時のものです。

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文:田中青紗(たなか あさ)

編集:学生の窓口編集部

取材協力:エイベックス・ピクチャーズ株式会社

https://avex-pictures.co.jp/

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