【前編】参院選2022、Z世代の未来のために誰に投票すればいい? 考え方をたかまつななさんに聞いてきた

学生の窓口編集部

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第26回参議院議員通常選挙が始まり、7月10日に投開票が行われます。「若者の政治離れ」が叫ばれ、若年層の投票率の低下が問題視されている今、Z世代が知っておくべきことや考えるべきことは一体なんでしょうか。

今回は学生記者が、時事YouTuberとして、若者に社会問題を分かりやすく伝える活動を行っている、たかまつななさんにインタビュー。前編では、候補者の選び方や争点、若者の投票率を上げるためのアイデアについて伺いました。(後編はこちら)

<話を聞いた人>

たかまつなな さん
1993年神奈川県横浜市生まれ。時事YouTuberとして、政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題を分かりやすく伝える。18歳選挙権をきっかけに、株式会社笑下村塾を設立し、出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ SDGs」を全国の学校や企業、自治体に届ける。著書に『政治の絵本』(弘文堂)『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)がある。


<インタビュアー>

学生記者:畑山真帆(はたやま まほ)さん
県の選挙管理委員会の方々と主権者教育を推進する活動を行っている。趣味はラーメン屋巡りでアルバイト先の横にあるラーメン屋さんのまぜそばがお気に入り。

「人・政策」を軸に候補者を選んでみよう


−−候補者を選ぶ際は、どのような点に注目するといいのでしょうか?

「人」と「政策」の二つの軸で考えることをおすすめしています。

まず「人」とは、候補者の過去や人柄です。例えば候補者が、Twitterでどのような発言や表現をしているのか調べてみましょう。SNSの発信は人柄が出るものなので、人物像がイメージしやすいと思います。間違った発言をしたときの対応や、謝罪の姿で誠実さがわかる場合もあります。

もし余裕があれば、候補者に会いに街頭演説へ行くといいですね。例えば、街頭演説の野次に対してどのような対応をしているのかも、人柄を見る上で指針となります。

続いて「政策」とは、候補者が何を軸に活動しているのかということ。選挙ポスターには一言しか書けないため、その人が何を大切にしているかを調べ、賛同できるか考えてみましょう。

「人」と「政策」の二つのポイントを軸に、各社のボートマッチを活用したり、候補者が過去にどんな発言をしていたのかをホームページからピックアップしたりすると、見えてくるものがあると思いますよ。

−−私は今回「経済政策」を争点にしています。たかまつさんが注目している争点を教えてください。

世論調査でも高い関心が寄せられているのは「経済」と「安全保障」の2つです。今回の争点としても扱われていますね。

加えて「憲法改正」も重要となります。これまでは公明党が憲法改正に対するストッパーだったんです。しかし自衛隊の憲法への明記について、「引き続き慎重に議論していく」から「引き続き検討を進めていく」と変えたことで、改正が現実味を帯びてきました。各政党が憲法改正に対してどのような考えを持っているのかも注目になるかと思います。

個人的には、シルバー民主主義(編集部注:シルバー民主主義とは、高齢者が有権者の中で高い割合を占め、高齢者優先の政治になること)に対しても強い関心を抱いており、各政党の考えを元に投票したいですね。

「教育のアップデートが必須」若者の投票率を上げるには


−−「若者の政治離れ」が叫ばれている今、ネット投票が実現できれば投票率が上がると感じています。なぜネット投票が実現しないのか、実現に向けてどのような考えがあるのか教えてください。

ネット投票が大きく実現できていない理由の一つとしては、これまで当選していた政治家が落選してしまう可能性が出てくることが挙げられます。投票率が上がると、今まで獲得していた得票率よりもさらに多くの票を集めなければいけません。その際に落選してしまう可能性を政治家が感じてしまい、積極的に取り入れにくいのだと思います。

しかし、海外に住んでいる人が投票しづらい問題も抱えているため、総務省をはじめ、実現に向けて進んでいくと考えられます。

ただそこで、壁となるのが「個人情報の確認や照合をどうするのか」という問題。日本共産党は、ネット投票は賛成しているものの、「マイナンバーの活用は認めない」と話しているので、活用に賛成している政党と対立するでしょう。

また投票を強要させられた場合にどうするかの問題もあります。すでにネット投票を導入している国では、上書き制度を実施しています。その場で投票を強要させられても、再投票すれば上書きされる仕組みです。このような工夫が、日本でどの程度受け入れられるのか。

−−若者の投票率を向上するにはどうしたらいいでしょうか? アイデアがあれば教えてください。

主権者教育のアップデートです。「社会を変えられる方法はたくさんあって、その一つが選挙なんだよ」ということを、教育の過程で伝えるのが非常に重要ですね。

もちろん選挙は行くことがゴールではなく、実現したい社会をつくるための一つの手段です。選挙以外には自分が出馬したり、メディアに連絡をして世論に喚起をしたりと、さまざまな手段がありますが、選挙は社会を変えられる大きな方法として知っておく必要性がありますね。

単純に投票率を上げるために投票所を増やしたり、選挙に行ったら商品が割引になるようなインセンティブを与えるアイデアもあります。しかし、きっとそれだけではあまり意味がないんですよね。理想社会の実現に向けてどうしたらいいのか、教育の場で「社会を変えられる手段がある」「変えた事例があること」を丁寧に伝えていくのが大切だと思います。

−−日本は平和で安全だからこそ、選挙に行かないのでしょうか?

そう思ってしまうのも無理はありません。ただ、日本の情勢を考えれば考えるほど、今の若者は損をしているので選挙に行くべきなんですよね。

例えば、60歳以上と19歳以下の方の、一生涯に受け取る受益と負担の差は1億2,000万円以上違うと試算されています。またコロナ禍によって普通の学生生活が送れなくなりましたよね。高齢者にとっては重症化を回避するための政策が必要になってきますが、学生にとっては重症化率が低いため、感染予防だけではなく、経済活動や学生生活を取り戻す政策も必要になってきます。ですが現状では、若者に対する対策がないため、ずっと損をしている結果となっています。

今、若い人の自殺率が増え、生きづらさなどメンタルヘルスも問題となり、若い人の非正規雇用など低賃金なども問題になっています。「平和だからこそ選挙に行かなくてもいい」と言える状況ではなくなってきているんですよ。だからこそ、「知識を得て行動に移しましょう!」と学生さんにはお伝えしたいですね。

YouTubeやボートマッチ、身近なものを活用して政治を勉強してみよう


−−選挙や政治に興味を持ったあと、どのように勉強するのがおすすめですか?

ぜひ笑下村塾や、たかまつななチャンネルを見ていただけたら嬉しいです(笑)。

たかまつななチャンネルでは、10分で分かる政党の解説や、党首の対談などを短い動画で発信しています。まずはそこから興味を持っていただき、もっと知りたい場合は詳しいコンテンツを見てもらえると深く学べると思いますね。

あとは各メディアのボートマッチを行ってみること。質問に回答するだけで「この政党があなたの考え方に近いです」と投票へのサポートをしてもらえるんです。これを使って自分にはどんな政党が合うのか調べてみるのをおすすめします。

あとはハードルが少し高いですが、政党の公約を読んだり、新聞社の争点ごとの分類表を確認したり、記者クラブが主催で行っているYouTubeを見るのも勉強になります。余裕があれば、街頭演説へ行き、来ている人の年齢層や温度感を観察してみましょう。ネットだけでは計りきれない情報が収集できると思いますよ。

−−たかまつさんが政治に興味を持ったきっかけを教えてください。

小学四年生のときに、アルピニストの野口健さんの環境学校に参加したのがきっかけでした。富士山にバスやトラックなどが不法投棄されている現状を見て、「ひどい」と感じたんです。そのときに、「ゴミを拾って得をする人はいない」と感じ、「税金はこんなときにこそ使うべきだ」と気づいたんです。「このような社会問題を解決するために政治があるんだ」と興味を持ちましたね。

−−子どもの頃から、社会問題や政治に対する意識を持ち続けられたのはなぜでしょうか?

もともと矛盾が苦手で、社会に関する不条理さを許せない私の性格が影響していると思いますが、野口さんの「大人はこういう問題を、見て見ぬフリをするから君たち子どもが変えてほしい」という言葉が、強く印象に残っていることが大きかったからです。

大人になると利害関係が発生して、おかしいことを「おかしい」と言えなくなってしまいがちです。私も活動を続けている中で、政治家との繋がりも増えてきました。もちろん忖度はしませんが、小学四年生のときの私と、今の私とどちらが自由かといえば、四年生のときの私の方が自由でした。そんな気持ちがあるからこそ、今も活動が続けられているのだと思います。

あとは「場」があったことも影響しています。中高生時代に読売新聞で子ども記者をしていて、70本ほど記事を書いていたんです。取材をして情報発信ができる場所があったことと、最前線で活躍している人と話せる機会があったこともきっかけとなっていますね。

−−−−−−

たかまつさん、ありがとうございました。
後編では、参議院の役割や、若者の行動意識について伺います!

<取材後記>
たかまつななさんにお話を伺った中で最も印象に残った言葉は、「社会を変える手段の1つが選挙であり、若者が政治に参加することで政策がロングスパンになる」というものでした。例えば、環境問題についても過去の人が決めた政策が回りまわって災害に繋がっています。これからを生きる私たちやこれから生まれてくる子どもたちが苦しい思いをしなくて済むよう、啓発活動を行う立場として投票の重要性を伝えていきたいと思いました。

文/田中青紗
インタビュアー/畑山真帆(学窓ラボ)
編集/マイナビ学生の窓口編集部

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