【お仕事図鑑】本質を見極め、一歩踏み込んで考えることがヒットにつながる。カンロの『ピュレグミ』に携わる仕事の魅力とは？ ＃カンロ株式会社
カンロ株式会社 マーケティング本部ピュレグミ・カンデミーナブランド室長
1998年入社。営業職、開発部門を経て2019年1月に『ピュレグミ』『カンデミーナ』を担当するピュレグミ・カンデミーナブランド室長に就任。
2020年度にマイナビ学生の窓口が実施した「2020年に大学生がもっとも持ち歩いたお菓子ランキング」では、カンロの『ピュレグミ』がTop5に入りました。グミといえば子供向けのものが多いのですが、『ピュレグミ』はパッケージも味も少し大人向けで、特に20～34歳の女性から高く支持されている商品。
今回は、『ピュレグミ』のブランドマネージメントを担当する木本康之さんに、『ピュレグミ』に携わる仕事の面白さや商品の魅力などを伺いました。
データに現れない「本質の部分」を見極めることが大事
――まずどのような仕事をしているのか教えてください。
現在、『ピュレグミ』のブランドマネジャーとして、ブランドに関わる全ての業務を管理、実行しています。具体的にいうとピュレグミの商品開発、戦略立案、プロモーションの立案・実行を室員と共に行っています。売上計画、利益計画の作成・管理といった部分も私の仕事となります。
特に大きく関わっているのがブランド戦略の立案です。どんな商品を発売し、どのタイミングで商品のリニューアルをするのかといった施策を考え、戦略に落とし込む作業です。同時にプロモーション施策も、タイミングや費用、プロモーションの内容を考え、戦略に落とし込みます。
また、来年はいくらの売り上げを見込むのかをシミュレーションすることも大事な仕事です。このような作業を行い、『ピュレグミ』全体のブランド戦略を作っています。
――新しい商品を生み出す際に意識していることを教えてください。
「市場データ」にとらわれ過ぎないように意識しています。市場分析をしてロジックやストーリーを組み立てることは大事ですが、それだけではヒット商品は生まれません。20年間やってきた私なりのひとつの結論です。市場から得たデータがこうだからとそのまま発売しても売れません。
私はよくブレークスルーを「飛ぶ」という言葉で表現しますが、ヒット商品を作るには、分析結果を踏まえ、そこからさらに一歩踏み込んだ考えを持つ、発想を飛ばす必要があります。
つまり、お客さまが本当に求めるものは何かという、「本質の部分」を見極めないといけません。
――「本質の部分」を見極めるために取り組んでいることはありますか？
やはり「幅広くアンテナを立てること」ですね。常にいろんな情報を得られるようにしています。店頭情報、商品情報、小売店のデータはもちろん、テレビやネットに出ている情報も幅広くチェックしています。範囲を限定せず、さまざまな分野の情報を得ることは、データの裏側を見極めるのに役立つと思います。
看板ブランドを背負う重圧と面白さ
――これまでの成功経験を聞かせてください。
2019年にブランドマネジャーになってからさまざまなチャレンジを行ってきました。そのひとつが「ポケモン」デザインの商品開発です。2020年6月に第1弾を発売してから、現在第5弾まで発売しています。
最初はポケモン社からお取り組みのお声掛けをいただいたのですが、私は当初、ポケモンはやや低年齢層向けコンテンツだと思っていました。
しかし、同じブランド室の女性社員から「子供のころにポケモンに親しんで育った人が大人になっており、ピュレグミのメインターゲットである大人女性にも人気が高い」という意見を聞き、親和性の高さを感じて、商品化の挑戦を決意しました。
――ポケモンとの共同開発が成功した要因はどんなことでしょうか？
ピュレグミは大人女性がメインターゲットなので、大人の女性がかわいいと思えるデザインを追求したことが、1番のヒットの要因だと考えています。
また、同時に公開したSNS施策もこれまでにないぐらい反響がありました。事前にワクワク感を醸成させ、現実が期待を上回ったこともヒットした要因だと思います。
――『ピュレグミ』に携わる面白さや魅力を教えてください。
『ピュレグミ』は弊社で最も売り上げが大きく、商品認知率も高い看板ブランドです。看板ブランドのマネジャーとして、その成長に携われるのはやりがいがありますね。成功をつかむことができれば喜びも大きいです。
ただ、責任は非常に重いです。両方の肩にものすごく重いものが乗っかっています(笑)。
「情緒的価値」がピュレグミの魅力
――『ピュレグミ』はどのような経緯で誕生したのでしょうか？
来年で『ピュレグミ』は発売から20周年を迎えます。実は『ピュレグミ』が発売されるまで、日本のグミ市場には子供向けのグミしかありませんでした。弊社でも子供向けのグミを販売していましたが、それだけでは市場成長に限界があると感じ、大人の女性に向けた商品を開発することになったのです。そうして生まれたのが『ピュレグミ』でした。結果的に『ピュレグミ』は大人の女性をはじめ多くの人に受け入れられ、グミの新たな市場を切り開いた存在となりました。
――これだけ長く愛されている理由はなんでしょうか？
『ピュレグミ』と他社商品の一番の違いは「情緒的価値」だと思います。おしゃれでかわいい大人向けのフルーツグミ、というブランドならではの価値が何よりの優位点です。私もブランドを預かる立場として、どのようにすれば「情緒的価値」という一番の魅力を強化できるのかを、常に考えています。
――2020年には『ピュレリング』という新しいタイプの『ピュレグミ』が発売されました。
従来の『ピュレグミ』は大人の女性向けの商品ですが、よりブランドを大きくするためには子供のころから『ピュレグミ』に親しんでもらいたいと思っていました。そこでお子様も楽しめる『ピュレグミ』を作ろうと考えました。
子供向けグミは小粒のアソートタイプが人気ですが、ピュレグミをただ小粒にしてアソートタイプにしても面白くありません。そこでピュレグミの真ん中に穴を開けることにしました。こうすることで見た目がリング型になり、指に通して遊んで楽しむこともできます。狙いどおり、『ピュレリング』はヒットしました。
先ほどお話しした、「市場で人気だからといって同じことをするのではなく、一歩踏み込んだ考えをすること」が成功につながるのです。
お菓子を通じて面白いという思いを伝えられる仕事
――『カンロ』と出会ったきっかけを教えてください。
前職は服飾関係の企業でしたが、そこでの仕事は合わず1年で退職し、次に就いたのがカンロの営業の仕事でした。お菓子メーカーに入ったのはたまたまでしたが、自分たちで考えて作った商品をお客さまに食べてもらい、ダイレクトに評価してもらえるのはすごく面白いと感じましたね。
お菓子を通じておいしさだけでなく、楽しい、面白いという思いを伝えられます。これは弊社に限らず、お菓子メーカーのいいところなのかなと感じています。
――『カンロ』という企業の魅力はなんでしょうか？
弊社の魅力としては「社員のことを考えた、社員を大事にしている企業」という点でしょうか。社員のことを考えて大事にしている企業だからこそ、お客さまに寄り添った商品が生み出せているのかもしれません。
特に弊社の商品は、お客さまに「おいしい」と思ってもらえるよう「味」にこだわっています。5回10回と何度も繰り返し試作を行い生み出された味ですので、弊社のグミを食べる際は、ぜひ「味」を意識して食べてもらいたいです。
――最後に学生へのメッセージをお願いします。
今は新型コロナウィルスの影響で、学校に行く機会や友達と遊ぶ機会が減り、就活も難しくなったと思います。ただ、苦しい状況だからこそ負けずに頑張ってもらいたいです。
私たちもそうした頑張る若い世代を応援しています。頑張ろうと思った時や、気分をリフレッシュしようと思った時に『ピュレグミ』を食べてもらえると、うれしいですね。
――ありがとうございました！
※記事内容及び社員の所属は2021年10月取材当時のものです。
編集後記
大学生にも人気の大人の女性向けグミ『ピュレグミ』のブランドマネージメントの仕事や面白さ、商品の魅力を伺いました。なんとなく食べている人が多いかもしれませんが、『ピュレグミ』にはこれだけの熱い思いが込められているのです。また、その味もこだわりのポイントとのこと。次に『ピュレグミ』を食べる際は、普段よりもじっくりと味わってみてはいかがですか？
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編集：学生の窓口編集部
取材協力：カンロ株式会社
