【お仕事図鑑】全米No.1バンカーに聞く 海外で活躍できる人材になるには?? #PYD JAPAN株式会社

編集部:ゆう

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酒井レオさん
PYD JAPAN株式会社代表

ニューヨーク・タイムズスクエアで生まれ育った日系アメリカ人。ワシントン大学卒業後、JP Morgan、Commerce Bank(現TD Bank)を経て、Bank of Americaに転職。2007年、歴代最年少で営業成績全米1位を獲得し、30代前半の若さでVice President に就任。同時にニューヨークにて米国政府認定のNPO法人Pursue Your Dream Foundation(PYD)を設立。2010年、日本支店としてPYD Japanを設立し、金融、IT、メーカーなどあらゆる業界を対象に、社長・役員のためのエグゼクティブコーチングから、マネジメント研修、新人研修まで幅広く指導を行う。2017年からLittle Monster Incというベンチャーキャピタル会社を共同パートナーと設立し、富裕層向けのプライベートバンクの代表も務める。

学生の皆さんの中には、「将来海外の企業で働きたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。とはいえ、海外で働くことはそう簡単ではなく、さらに活躍するとなるとさらに難しいものです。では、海外で活躍できる人材になるにはどうすればいいのでしょうか?

富裕層向けのプライベートバンクの代表、および「PYD JAPAN株式会社」の代表として、グローバル人材輩出のサポートを行っている酒井レオさんにお話を伺いました。

日本の古き良き精神が成功の鍵になった

――酒井さんはアメリカで生まれ育ち、「JP Morgan(JPモルガン)」や「Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)」といったメガバンクで仕事をされていました。当時はどのようなお仕事をしていたのでしょうか?

コーポレートバンキングといって、銀行に口座を持つ企業に対して入金、投資、融資といったファイナンシャルツールを提供する仕事をしていました。

――「Bank of America」時代には、歴代最年少で営業成績全米1位を記録し、30代前半の若さでVice Presidentに就任しています。それだけ高い評価が得られた要因を教えてください。

日本の古き良き精神といいますか、昭和的なメンタリティーが役に立ったと思っています。私の親は日本人で海を渡ってアメリカに行きましたが、物事に正しく向き合い、誰よりも努力することを幼いころから教えられました。大人になっても、父親はオフィスに朝早く電話してきて、私が誰よりも早く出社しているのか確認するほどでした。

――厳格な方だったのですね。

厳しいながらもしっかりと自分に向き合って支えてくれたのは良かったと思います。誰かが見守ってくれている、これは人を成長させる上で大事な要素なのではないでしょうか。また、アメリカンマインドは、変な言い方をすると「自分本位」ですが、他人を思いやるという日本的なマインドも役立ったと思います。

「人がしないこと」は常に意識

――仕事をする上で大切にしていることは何ですか?

「人がしないこと」を常に意識しています。ルールは破られるためにあり、ルールを超えて新しいルールが作られると思います。貫き通せる力があれば試す、その姿勢が重要です。どんな仕事、業界にもブルーオーシャン(未開拓市場)はあります。何より「チャレンジする気持ち」が必要なのです。その誰も飛び込もうとしないブルーオーシャンに「チャレンジする気持ち」が必要です。チャレンジといっても、きちんと「実行する力」が重要です。大抵の人は、1週間実行に移すことができないとその後行動することはなく、ほとんどがアイディアのままで終わってしまいます。

今日の服装もそうです。知り合いがデザインしたものですが、もし服の話題になった際、「知り合いがデザインした」と話せば、そこから新しい道が開ける可能性がありますまた、学生たちに「こんな格好の社長もいていいんだ」という、従来の社長像とは異なる姿を示すこともできますよね。みんな同じでは面白くないですから。ただ、勘違いしてほしくないのは、他と違うことをするといっても、「尖る」だけではなく、物事の先を意識することです。

――アメリカの企業は、そうしたチャレンジする姿勢を支援してくれるのでしょうか?

チャンスは企業が与えてくれるものではなく、自分が本当に興味があるものであれば自分から企業に持っていく。それくらいの姿勢が海外では大事です。

例えば、「Bank of America」のような企業になると、社会貢献は当たり前です。義務とまではいきませんが、ボランティアをすると評価されます。企業がさまざまな社会貢献団体と協力しているので、自ら動いて登録して、支援活動や社会貢献運動を行うという流れが出来上がっています。

――日本だと、そこまで積極的な姿勢を見せる人は少ないですね。

日本の場合、副業が認められていない企業も多く、活動の幅が広くありません。しかし、副業がもたらす「プラスのこと」も多いのではないかと思います。仕事以外の活動は、自分自身の幅を広げるだけでなく、仕事にも好影響をもたらすことがありますから。

私は、25年間サッカーコーチのボランティアをしていました。ある日、長男から末っ子まで7年間もの間3人の息子さんを僕に任せてくれたお父さんに誘われて彼のオフィスに行ったら、その人が大きな病院の経営者で、「ちょうど銀行を変えるタイミングだし、7年の付き合いがあるからお願いしようと思う」と言うのです。引き受けたら、額がなんと日本円で10億円ぐらいで……。

ボランティアであっても、他のコーチより優れた教え方をしようと本気で子供たちと向き合い、取り組んできたからこそ起きたことだと思います。普通に企業と企業でぶつかり合って10億円を任される方が難しいですからね。

他にも、大雨の日に、高齢の女性が忘れた傘を届けたことがありました。その時、僕は管理職の立場で、傘を届けるといういわゆる雑用のような仕事をしてくれる若手社員は大勢いたのですが、大雨で誰も行きたがらないので僕が引き受けました。大雨の中、隣の州のその女性の家まで傘を届けると、その女性は僕に感謝をし、名前を伝えていなかったのですが、しばらくしてその女性が僕を探し当て、うちの支店に口座を開いてくれました。銀行マンは、世間的に「偉そうなエリート」というあまりいいイメージを抱かれませんが、イメージとは真逆の行動をしたことでアジア人でも信頼を勝ち取ることができました。それもけっこうな額で。お金にならないかもしれないような、わずかなことが自分の人生に影響します。

英語でこんな言い回しがあります。”If you want to be a champion, act like a champion.”(チャンピオンになりたいのならチャンピオンのように行動しなさい。)仕事はみんな一生懸命して当たり前で、実は仕事以外にも一生懸命になれるかが大事。たとえ、お金儲けに関係なくても、誰よりも本気で、真剣に取り組む姿勢を大事にしてきたからこそ、今の自分がいます。お金だけが全てではないと知ってほしいです。

仕事はみんな一生懸命して当たり前で、実は仕事以外にも一生懸命になれるかが大事。チャンスはそこらに転がっていますが、人はそこに目を向けないのです。

価値観や感覚、スケールが変わることでビジネスチャンスも広がる

――海外で働くことでどんな経験が得られますか?

価値観や感覚が変わることでしょうか。日本だと、日本人を含めアジア圏の人間が9割です。これが当たり前の環境から、例えばアメリカに行くと、当然ですが道を歩いている人も全く違いますよね。最初は戸惑うかもしれませんが、次第にいろんな人種、いろんな人がいるのが「当たり前」になっていきます。こうした価値観・感覚の変化が自分の世界を広げ、新しい考えにつながります。

また、アメリカは移民の国です。アメリカンドリームを求めて世界中から人が集まります。なぜなら、人種、宗教、性別に関係なく、努力と熱意で誰だって這い上がることができるからです。その中で、様々な文化や経験を持つ人々と出会うことで、新しい価値観や考えに触れ、自分の世界を広げます。

そもそも、日本にいる外国人は日本が好き、日本に対して好意を持っている人が多いですよね。実際に海外に住むと、それまで経験していたものとは違う反応を経験するはずです。恵まれた環境での経験と、バイアスのない環境での経験は全く異なります。

また、その国を自分の目と耳で経験できることも大きいですね。直接その場で経験することは映像で見聞きするのとは大きく違います。特にアメリカの場合、ゴルフやバスケット、野球などスポーツは世界最高のものが楽しめます。世界最高のものを身近に体験できるのは、自らを成長させる意味でも重要です。

――価値観が変わるかもしれませんね。

スケールを広げることにつながります。日本にいると日本規模でものを考えてしまいますが、海外に出ることでより大きなスケールで物事を考えられるようになります。スケールが変わるとアイデアの幅も広がるはずです。そのため、もし行くとすれば、まず自分が何をしたいのか目的をはっきりさせ、できれば日本よりも経済が上の国に行くことをおすすめします。今ならアメリカや中国ですね。自分の国よりも熱量が高い国に行くことで、より大きなスケールで物事を考えられるようになります。

海外で活躍するには「負けない」という強い気持ちが必要

――海外で成功するために必要なことは何でしょうか?

誠実さや物事に正しく向き合う精神だけでなく、何より「負けない」という強い気持ちが必要です。海外で成功した日本人は、みんな持っています。しかし、最近の若い世代は、武士道精神なんていいますが、強い気持ちがなくなってきて残念に思います。戦後の日本は、多くの日本人を海外に送り、復興のために必死に頑張ってきたからこそ、世界経済第3位にまで上り詰めました。先人の努力があったから今の自分たちがいるということを今の若い世代は忘れがちです。

また、日本人は、海外では個の力は強いのですが和の力がありません。そのため、日本人同士での協力体制が敷かれておらず、海外で日本人のコミュニティは少ないのです。例えば、同じアジアの国でいえば、勢いのある中韓国は海外でコミュニティーが強力です。みんなで道を切り開こうとしています。しかし、日本人にはそれがありません。そんな中でも、前に進んでいかなといけないのです。

実際、日本人の精神は海外で高い評価を受けていて、スティーブ・ジョブズをはじめ、多くの著名人が日本の精神に惚れ込んでいます。にもかかわらず、協力体制がないため、それを発揮できていないことが勿体無いと感じますね。

――日本人同士で協力できる環境が少ないのですね。

日本人は物を見る目、つまり先見の明はあります。今流行しているアメリカのスポットの多くは、先に日本人が手を出していたエリアです。その後、韓国や中国が参入して、和の力で勢いを増しました。サンフランシスコをはじめ、大きかったジャパンタウンが韓国や中国の勢いに押されて規模が小さくなっていきました。これは個の力でなんとかなるものではないので、国や企業のバックアップが必要です。もっと海外で働く日本人を支える活動を国を挙げて行うべきだと思いますね。

在学中の準備が成功につながる

――海外で働きたい場合、学生時代にどのようなことをしておくといいでしょうか?

とにかく「準備をすること」です。例えば1年間海外に行くとして、準備不足でスタートが遅れると、それだけできることも少なくなります。結局満足に動けたのが最後の3カ月だけでしたとなれば、3カ月海外に行ったのと変わりません。

語学はもちろんですが、カルチャーや歴史を学ぶことも大事です。しかし、日本では学べるカルチャーはバイアスがかかっているため、現地に行った際に戸惑うこともあります。できれば現地の人とコンタクトを取り、事前に現地のことを知り、つながりを作っておくべきです。

現在、海外で頑張っている若い世代は日本にいるときから準備を頑張った人です。日本にいる間に現地の企業や団体と連絡を取り合うなど、日本にいてもできることに最大限取り組んでいます。

――準備する上でのアドバイスをお願いします。

「現実的でないことを追わない」ですね。例えば、アメリカにある大企業で働きたいといっても、そう簡単に連絡を取ることはできません。そもそも、アメリカ国内や他の国からも「その会社に入りたい」という人がいて、同じように企業にアプローチしようとしています。そんな状況で簡単にコンタクトは取れません。

つまり、インターンがしたい、ボランティアしたい人は数えきれないほどいるのです。そのため、自分にどんな価値があり、何を企業にもたらせるのかをアピールしないと道は開けないのです。例えば、「アメリカに留学した」だけでは話になりません。留学中に何をしたか、その経験から何ができるのかを数字化できるような人は、企業にも良いアピールができるかもしれません。

日本の学生は必死さが足りない

――海外で働きたい日本の学生に足りないものは何でしょうか?

大事なのは必死さです。パッションです。日本の場合、組織がなんとかしてくれる風潮のため、考えが甘いですね。真剣さが足りません。

そもそも海外は就職の仕組みが異なり、大学の評価が直接就職につながります。アメリカはGPA(Grade Point Average)という4段階評価の成績を基準に考えていて、GPAが3.5以上でないと優秀な企業に入れません。そのため、優秀な企業に入りたい学生はみんな必死に勉強しています。また、アメリカの学費はとても高額です。みんな借金をしてまで自己投資のために大学へ行きます。日本と異なり、組織がなんとかしてくれるなんて風潮がないので、個人が強い意識を持って、リスクを取ってみんな必死に勉強しています。単位ではなく成績を重視しているのです。

アメリカの大学生は、企業の募集タイミングに合わせ、GPAなどスキルセットを武器に自分を売り込んでいきます。アメリカでは空いているポジションを埋めるために人を雇いますから、新卒採用のような一斉の就職活動はありません。だから、大学を卒業したからといって、必ず仕事が保証されるとは限らないのです。

――就職に懸ける意気込みがそれだけ違うのですね。

日本とアメリカでは就職に関する必死さが違います。そんな中で、海外の企業を志望するのなら、並大抵の努力では通用しないと考えてほしいです。日本の学生も、大学の学費がどれだけかかっているのか理解すればいいと思います。ひとつの授業にどれほどのコストがかかっているのかを理解すれば、ひとつも単位を落とせないはずですよ。

――最後に学生へのメッセージをお願いします。

スティーブ・ジョブズが「Stay hungry, stay foolish.(ハングリーであれ、愚かであれ)」という言葉を残しています。生活が豊かな時代にハングリーな精神を持つのは難しいですが、豊かな中でも貪欲な精神を持つことが大事です。ひとつのことに満足せず、常に高いところを目指す気持ちを持ってもらいたいです。また、何歳になっても子供のような頭の柔らかさを持ち、日々学ぶことも大事。常にチャレンジする気持ちは忘れないでほしいですね。

他には、「NO」を「YES」に変えるという意識を持ってほしいです。人生では、どうしても「NO」を突き付けられる場面が多くあります。その「NO」をどうすれば「YES」に変えられるか、ぜひそのマインドを身に付けてほしいです。

 ――ありがとうございました! 

※記事内容及び社員の所属は取材当時のものです。

編集後記

海外で活躍できる人材になるには、日本人ならではのメンタリティーに加え、海外でも負けないという強い気持ち、また必死さが求められるとのことでした。日本人の持つ感性や考えは高く評価されてはいるものの、そうした必死さが足りず、活躍できていないケースが多いとのこと。もし海外で働くことを考えているのなら、簡単には通用しない、日本国内以上にライバルが多いことなどを十分に理解し、強い気持ちで挑むべきでしょう。もちろん、学生時代のうちに入念な準備をすることも忘れないようにしたいですね。

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文:高橋モータース@dcp

編集:学生の窓口編集部

取材協力:PYD JAPAN株式会社

Little Monster Inc.

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音楽、オーディオ、グルメ、そしてお酒と家族が大好きな、WEB編集者(歴17年)。自分の編集した記事が「誰かのなにかのキッカケ」になってくれたら嬉しいです。

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