【お仕事図鑑】常に時代の一歩先を見る力がブランドを成長させた。人気ファッションブランドを支える企画の仕事とは? #株式会社ストライプインターナショナル
株式会社ストライプインターナショナル MD・企画
2000年に中途入社し、入社から現在まで『earth music&ecology』の企画を担当。ブランド当初のストリートファッションから、OLへ向けたオフィスカジュアル、CM放送後の“ナチュかわ”スタイルなど時代に合わせたヒット商品を生み出し続けている。
『earth music&ecology』は、使い勝手の良いナチュラルなデザインや購入しやすい価格が特徴のファッションブランドです。特に学生など若い世代から高い支持を集めており、中には「このブランドに携わる仕事がしたい」と思う人もいるのではないでしょうか。
今回は、人気ファッションブランドに携わる仕事とはどのようなものか、『earth music&ecology』の企画を担当する大松澤佳成江さんにお話しを伺いました。
2000年から携わるブランドの母
――まず自己紹介をお願いします。
2000年に途中入社という形でストライプインターナショナルに入り、そこから『earth music&ecology』に携わっています。このブランドが誕生したのが1999年なので、ブランドが生まれた翌年から現在までずっと一緒です。
――ブランドの歴史の「ほぼ全て」に関わってきたというわけなのですね。
もうわが子のような存在です(笑)。最初から企画として入り、幾つものプロモーションに関わりました。例えば宮崎あおいさんに出演していただいたCMや、最近だと広瀬すずさんに出ていただいたCMなどの制作、また商品計画を担当しました。
「企画」という立場ではありますが、プロモーションを含め商品に関わることの一連全てに携わっています。例えば、過去の売り上げ分析や企画の立案から実現、商品のサンプル作成、発注、納品といった、「商品がお客様の手元に届くまで」の幅広い範囲の業務が担当です。
――より具体的に教えてください。
例えばですが、週の始まりはまず売上分析を行います。仕掛けたアイテムがどれだけ売れたのか、どんな商品、色の服が売れたのか分析します。その分析を基に、今度は販売促進やMD(マーチャンダイザー:商品の総合的なプロデュースを行う仕事)、VMD(ビジュアル・マーチャンダイザー:ビジュアル面で店舗や商品展開のサポートを行う仕事)といった各セクションが集まって戦略を立てます。
とはいえ、内部だけを見ていては情報が集まらないので、マーケットを見たり、競合するブランドやお手本になるようなハイブランドのリサーチをしたりします。ファッションに関する情報は常に調べて、こんなものが作りたいと考えるだけでなく、デザインを検討したり、素材を集めたりといった作業もしています。
プロモーションに関しては、販売するアイテムができあがるまで立案から3カ月くらいかかるので、このスケジュールを踏まえて、3カ月後にどんなプロモーションを展開するのかを考えます。ここでは広告宣伝を行う会社など外部の方と協力して作る形です。デスクワークもありますが、ずっと動き回っていますね。
現場に足を運んでお客様目線で考える
――商品を企画する際に意識していることはなんでしょうか?
私が商品を考える際は、必ず店舗に足を運んで、どのようなお客様が『earth music&ecology』の服を買ってくださっているのかを見るようにしています。その上で、どんな立ち位置の服であればお客様が買ってくれるのかを考えます。
――それはなぜでしょうか?
商品を企画する際は、販売データだけでなく、パリコレなど年2回あるコレクション情報やトレンドを盛り込みます。しかし、トレンドをそのまま入れ込むとニーズに合わないこともあります。そのため、お店でどんな人がどんな服を買っているのかを自分の目で調べて、「お客様目線でトレンドを落とし込むこと」が必要なのです。
――『earth music&ecology』がこれだけ大きな支持を集めた理由はなんでしょうか?
ファッションに敏感で、こだわりを持ってコーディネートできる女性がいる一方で、ファッションのことは全く分からないという女性も多くいます。自分で服を選ぶのが簡単ではないのです
『earth music&ecology』は、そうした女性でもかわいくなれる服を提供したい、どんな場面でも安心して着られる服を提供したいという思いが込められています。この「女性を応援する安心服」でありたいという思いが、年齢問わず受け入れられている理由なのかなと思います。
他よりも先んじたプロモーションが成功の鍵
――ヒットの要因は他にどんな点が挙げられますか?
時代、時代に合わせたプロモーションを他よりも先んじて展開してきたことも大きいと思います。
例えば、2000年代は雑誌の勢いが強かった時代で、ファッション誌を買いあさり、本を参考に服を買う人が多くいました。当時は10店舗しかないような状況でしたが、早い時期から多くの雑誌にプロモーションを展開しました。
2010年代に入ると、ファッションブランドのCMプロモーションが珍しい時代だったにもかかわらず、巨額の費用を投じてテレビCMを展開しました。社運をかけた、一大プロジェクトでした。その影響は大きく、10%ほどだったブランド認知度が97%まで上がりました。
2020年以降はテレビを見る人が少なくなり、インフルエンサーなど「顧客に近い存在」の影響力が強くなりました。弊社でも早い段階からインフルエンサーに協力してもらってプロモーションを行ったり、販売促進の社員がインスタライブで商品情報を発信したりしています。
このように、「時代を先取りしたプロモーション」を展開してきたことが現在の人気につながっていると感じています。
企業のチャレンジ精神がブランドの成功にも影響
――『earth music&ecology』というブランドに携わる面白さやりがいを教えてください。
2000年からずっとこのブランドで仕事をしていますが、常に違うことにチャレンジできています。ストリートブランドから始まって、駅ビル出店の際はOL系の服を作り、CM展開をする際にはカジュアルな服が流行しそうだということでブランドを大きく転換しました。
常に時代の先読みをして、恐れることなくブランドの方向を変えています。そのため、常に新鮮な気持ちで仕事に取り組めています。シンプルに楽しいです。
――難しいチャレンジもあったのではないでしょうか。
正直、難しいと思うことはありません。難しいと考えるより先に「どうすれば乗り越えられるのか」を考えているので、「難しいなぁ……」と感じるひまがないのかもしれません(笑)。でも失敗は多いです。
昔、「ファッションだけではだめだ!」と洋服以外のことにも挑戦したことがありました。ブランドのコスメや家具、食品、家電などに手を広げ、「ピンクのカレーを作るぞ!」と1年間くらい服から離れて別のことばかりしていました。
しかし、リリースに至ったのはコスメだけで他は実現できず、そのコスメも全く売れませんでした。苦い経験です。
――それだけチャレンジさせてもらえる会社でもあるのですね。
いろんな意見に耳を傾けてくれる会社だと思います。だからこそ、『earth music&ecology』では他がしていないことに先駆けて挑むことができました。
同僚にもショップスタッフからスタートしてデザイナーになった社員や、ブランドディレクターになっている社員がいます。相応の努力や知識、力量は必要ですが、チャレンジさせてもらえる環境なのはありがたいですね。
――最後に学生へのメッセージをお願いします。
私は子供のころからアパレルやファッションが大好きです。ファッションは人の気分に影響します。着ることで気持ちが和らいだり、気分がよくなったりと人を幸せにしてくれるかけがえのないものだと改めて実感しています。
今、私は好きなことを仕事にできていますが、好きなことだと一生頑張れます。皆さんにも、ぜひ自分が夢中になるものを見つけてもらいたいです。
その夢中になれるものに一生懸命打ち込めば、気が付いた時には満足できる結果もついてくるのではないでしょうか。
――ありがとうございました!
※記事内容及び社員の所属は取材当時のものです。
編集後記
幅広い年齢層に支持される人気ファッションブランド『earth music&ecology』。その企画に携わる大松澤さんの仕事について伺いました。リサーチから商品の企画、販売、プロモーションと多岐に渡る業務に携わり、ブランドの方向性を決める。慌ただしい日々ではあるものの、非常にやりがいがあるとのことです。将来ファッション業界で働きたいという人は、こうした企画の業務にも目を向けてみてはいかがでしょうか?
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編集:学生の窓口編集部
取材協力:株式会社ストライプインターナショナル