ITパスポート資格ってどんな資格?合格率や難易度、独学で勉強する場合の勉強法を解説!
ITパスポート試験は、IT・Web業界へ進むなら持っておいて損はないといわれている国家資格です。すでに業界にいる人の中には「メリットも意味もない」という人もいますが、そんなことはありません。
国家資格というと受験機会が少なく、申込までの道のりが長いという印象がありますが、ITパスポートは民間資格と同程度に受験しやすい環境が整っています。
今回は、そんなITパスポートについて紹介します。
ITパスポート試験(=iパス)とは
ITパスポート試験とは、ITに関する基礎知識を習得できる国家資格です。略して「iパス(アイパス)」と呼ばれ、親しまれています。
ITに関する基本事項を学べるとあって受験層も幅広く、学生や社会人、高齢者などITや情報社会に興味関心のある様々な人が受験しています。
ITパスポートは実務力より基礎知識を証明する資格
ITパスポートは、職場で即戦力になれる資格というよりは、その業界・職場にいる人たちが持っている共通認識(=常識)を持っていることを証明する資格です。
実践力という観点から見ると、オフィスソフトの実践力ならMicrosoft Office Specialist(通称:MOS)の方が上ですし、プログラミング系の知識と実践力ならLPICやAWS認定資格の他、それぞれのプログラミング言語の資格を取得した方が上です。
「ITパスポートは意味ない」という人がいるのはなぜ?
大学や専門学校でITやWeb系の知識を学んできた人にとってはあまりにも基本的な知識のため
「ITパスポートは取得しても意味がない」
「恥ずかしくて履歴書には書けない」
という人もいます。
しかし、中学・高校でITやインターネット機器についての学習機会がなかった世代や、ITとは無縁の業界・職種からIT・Web業界へ転職する人にとっては、「業界の人間が持っている共通認識」を学べる資格であり、取得する意義のある資格です。
実際、IT系業界の採用担当者の中には「未経験の人が持っていると、ある程度の共通認識はある人というイメージを持てる」という人もいます。
ITパスポートを取得するメリット
ITパスポート取得の最大のメリットは、IT・Web系に関する基本知識が手に入ることです。
この知識は、プログラマーなどの専門職として働く場合に限らず、事務職・営業職としても持っておきたい知識であり、IT・Web機器を活用して生活していく上でも必須のものです。
ITパスポート取得によって得られる知識は、たとえば
- ・情報セキュリティに関する知識
- ・情報モラルに関する知識
- ・情報システムやネットワークに関する基礎知識
- ・企業コンプライアンス・法令遵守に関する知識
があります。世代によっては学校では教えてもらえなかった知識も含まれており、こういった知識を体型的に学ぶことで業務や生活に役立てることができます。
ITパスポート申し込みから試験までの流れ
ITパスポートは、国家試験として初めてCBT方式を導入した資格試験です。CBT方式とは、コンピューターを利用して実施する試験のことです。
申し込みから受験当日、合格通知が来るまでの流れはこのようになります。
- 1.CBT試験受験のための利用者IDを登録する
- 2.ID登録後の画面から「試験会場」「試験日」「受験料支払方法」を選択する
- 3.試験当日に試験会場に行き会場のパソコンで受験
- 4.試験結果は試験終了後自宅のパソコンから「1」の利用者IDを使って参照する
- 5.合格発表は受験月の翌月中旬に発表
- 6.合格証書は受験月の翌々月中旬に発送
詳しくは公式サイトの「ITパスポート試験 iパスとは 試験の流れ」を参考にしてください。
ITパスポートなどCBT試験を受験する際の注意点
試験会場でパソコンを使用して資格試験を受験する際の注意点について紹介します。
この注意点は、ITパスポートに限らず全てのCBT試験に共通するものです。うっかりミスをしないように気をつけてください。
- ・受験申込時に設定したID・パスワードは当日も利用する
- ・受験会場では本人確認書類の提出を求められる
- ・受験票の郵送はない場合が多く、自分でプリントアウトする必要がある
- ・受験会場にあるパソコンは普段使っているパソコンと同一機種とは限らない
- ・時計やスマホは持ち込み不可なケースが多い
ITパスポートに関しては、遅刻制限がありません。受験時間内に間に合えば、受験可能です。とはいえ、当日は余裕を持って会場に着くようにしましょう。
ITパスポートの出題範囲について
ITパスポートの出題範囲は3つに分かれています。
- ・経営全般に関するストラテジ系:35問程度
- ・IT管理系に関するマネジメント系:20問程度
- ・IT技術に関するテクノロジ系:45問程度
合格するには、総合評価点が600点以上であり、それぞれの分野の評価点も300点以上である必要があります。
- ・総合評価の満点:1,000点
- ・それぞれの分野別評価の満点:1,000点
となっています。
2022年4月試験から出題範囲とシラバスが改定される
ITパスポートは、2022年4月の試験から出題範囲とシラバスが一部改訂されます。
これは、高校の共通必履修科目の「情報1」に対応するための処置です。
高等学校学習指導要領「情報1」に基づいて、iパスの出題範囲、シラバス等の見直しを実施し、プログラミング的思考力等の出題を追加することとしました。 (引用:ITパスポート試験における出題範囲・シラバスの一部改訂について(高等学校情報科「情報1」への対応など))
たとえば、期待する技術水準にプログラミング的思考力、情報デザイン、データ利活用などが追加されます。
これまでとは違う範囲の学習が必要になるため、過去の参考書や問題集とは別の対策が必要になります。
ITパスポートの試験会場
ITパスポートの試験会場は、各都道府県に1ヶ所以上あります。
会場は、パソコンスクールやコンピューター関連企業になっていることが多いです。
自分が受験したい会場の検索は、「ITパスポート試験 試験開催状況一覧」から検索可能です。
検索日から3ヶ月後までの試験会場を検索できます。
ITパスポートの試験日
ITパスポートの試験日は、各会場によって異なります。
たいていの都道府県で、月に1回以上試験が開催されているようです。こちらも詳しくは、「ITパスポート試験 試験開催状況一覧」から検索してください。
ITパスポート合格率・難易度
ITパスポートの合格率は、50%程度です。
「情報処理技術者試験 統計資料 令和2年10月度 ITパスポート試験」によると、平成23年11月試験から令和2年度10月試験までの累計受験者数は710,579人、累計合格者数は355,591人となっており、合格率(累計)は50.0%です。
ITパスポートの難易度は、その人がこれまでどの程度IT・Web系に関わってきたかに大きく左右されます。
人によっては「簡単だった」という人もいますし、「問題集を見ただけで挫折しそうだった」という人もいます。
全くの未経験からの受験者は「知らない、新しいことばかりで難しい」と感じることが多いようです。
ITパスポートを独学で取得するための勉強方法
ITパスポートは独学で取得可能です。
勉強方法は、経験者・未経験者問わずこのような形をとっている人が多いようです。
- ・参考書・問題集を購入する
- ・参考書を通して学習する
- ・問題集を解く
- ・参考書・問題集の学習を繰り返す
- ・目立った苦手分野がある場合はその分野を重点的に学習する
参考書は基本的には1冊を何度も繰り返し使います。
ITパスポート独学取得のための勉強時間の目安
ITパスポートを独学取得するための勉強時間の目安は、
- ・経験者:100時間程度
- ・未経験者:200時間弱
です。
3ヶ月から半年スパンで学習計画を立て、勉強を始める人が多いようですよ。
ITパスポート独学におすすめの参考書と過去問題集
ITパスポート独学のための参考書は、初心者ほど「図解が多く」「解説が丁寧でわかりやすい」ものを選びましょう。
参考書の多くはインターネット上でも試し読みが可能です。自分と相性が良さそうなものを購入しましょう。また、シラバス改定等もありますので、受験年度に合った参考書を購入することも大切です。
どんな問題が出るのか、どんな内容なのか気になるだけという人は、安くなっている前年度のものを中古で購入してもいいかもしれませんね。
過去問題集は、問題集として発売されているものもありますし、インターネット上に過去問題集を解けるサイトも存在します。
これも自分の都合のいい方を利用するといいでしょう。
ITパスポートはIT・Web系の常識を学習できる国家資格
ITパスポートは、IT・Web系の常識を学習できる国家資格です。
CBT試験で実施されており、試験回数も多いので時間ができたときにさっと受験できるのも魅力です。
就活でIT・Web業界を目指す人も、業務でそちらの知識が必要になった人も取得しておけば上級資格取得の土台として役立つでしょう。
(マイナビ学生の窓口編集部)