声優・江口拓也「3カ月(仕事が)何にもなかった時もあった」人気声優&ゲームクリエイターの下積み時代 #ボクらの時代TheDeep
毎回さまざまなゲストが集って語り合うトーク番組『ボクらの時代』のオンラインイベントである『ボクらの時代 The Deep』。ここでしか見られない組み合わせのゲストたちによる、レギュラー放送よりも長い120分ノーカット、台本なしのフリートークで “生の声”を引き出し、本放送とは一味違うディープな話満載のトークドキュメンタリーをお届けします。
第4弾となる7月10日(土)に生配信された『ボクらの時代 The Deep』には、声優の江口拓也さん、島崎信長さん、アニメ脚本家でゲームクリエイターの山中拓也さんが出演し、それぞれの出会いについてや声優業界の内情、さらにはこれまでの苦労話など、さまざまな熱いトークが繰り広げられました。
(※島崎の崎はたつさき)
最初の2〜3年はトイレで泣きながら仕事していた
「いちばん苦労した時期は?」と江口さんに聞かれた山中さんは、「実はもともとゲームを作ろうと全然思ってなくて。カウンセラー(心理士)になりたかったんだよね」と打ち明け、2人を驚かせます。
大学3年生までカウンセラーになろうと思い、心理士の資格まで取っていたという山中さんですが、「僕、自分で言うのもなんなんですけど、優しすぎるんです(笑)」と明かし、「職業としてカウンセラーをやるって、人の心に対してドライじゃなきゃいけない。何百人も診るわけだから、落ち込んだ人を見ていちいち自分も落ち込んでちゃダメなんです。でも僕はわりと1人ひとりと向き合ってしまうところがあって。それで『(心理士に)向いてない』って言われて……」と、諦めた理由を振り返ります。
それまで目指していたものが急になくなり、「真っさらになった」山中さんでしたが、ふと「そういえば自分、ずっとゲームをやってるな」と気づいたと言います。そこで「そうだ、ゲームがあった」と思い、それまでとは畑違いのゲーム会社に入社したところから現在のキャリアがスタートしたんだとか。
でも、実は「ゲーム会社に入って、最初の2〜3年がいちばんしんどかった」そうで、「プログラマーとかデザイナーって、今まで自分が出会ってきた人間と違うんですよ。話してる言葉さえ別の言葉に聞こえるくらい。知識がないと付き合ってくれないし。だから、最初の2〜3年はトイレで泣きながら仕事してました(笑)」と話す山中さん。
島崎さんが「カウンセラーを目指して勉強してきたことが役に立つことはあったんですか?」と尋ねると、実は山中さんが28歳の時に作ったゲームソフト『Caligula -カリギュラ-』は、心理士になるために勉強していたことを詰め込んだ作品であることを明かします。
それを聞いた島崎さんが「モノづくりの仕事って、一度自分が挫折したことや諦めたことが全部役立っちゃいますよね」と言うと、山中さんは「まさにそうで。『カリギュラ』で救われたとか友達ができたとか、そんな話を聞くと、『カウンセラーになるのは諦めたけど、別の形で人を救うことができているのかもしれない』って」と、方法は違っても同じ目的を果たせていると実感した経験を告白します。
自己アピールがヘタすぎて全然ダメだった
一方、山中さんの新人時代の苦労エピソードを聞いて、「僕も初めての現場は大失敗だった」と明かした島崎さんは、ゲームの中の群衆の声の仕事で使い物にならないような声を出してしまったと言い、「そこからしばらく、そのマネージャーからの仕事はなかった(笑)」と苦笑します。
すると江口さんも「確かに僕らの仕事って表にアピールする必要があるけど、新人の頃はその前にまず事務所の人間に知ってもらって使ってもらわなきゃいけないもんね」と共感し、「オレも昔、3カ月何にもなかった時があったなぁ……。とにかく自己アピールがヘタクソすぎて、全然ダメでしたね」と、自身の新人時代を振り返っていました。
今は大人気の声優や売れっ子ゲームクリエイターも、最初から人気者だったわけではなく、無名の新人時代があって、現場で揉まれ、苦労しながら成長した歴史が人を支えているんだな……と改めて実感させられたクロストークとなりました。
生配信オンラインイベント『ボクらの時代TheDeep #4』
公演日程:7月10日(土)
江口拓也(声優)×島崎信長(声優)×山中拓也(ゲームクリエイター)
※島崎の崎はたつさき
7月18日(日)23時59時までPIA LIVE STREAMにてアーカイブ視聴が可能。その後、音声配信プラットホーム「Artistspoken(アーティストスポークン)」にて、配信される(有料/月額制)。
『ボクらの時代TheDeep』公式ホームページ
文:落合由希
編集:学生の窓口編集部